2016年2月12日金曜日

16008 表現の自由とその値段(1)


16008


表現の自由とその値段(1)

(国の統治と境界の限界;1人あたりのGDP他の数字の違いから考えたこと)

民主主義国と、表現の自由を制限された国とでは統治の限界が違うのだろうか。

人が消されても統計に表れなければ安全な国や町であろうか。簡単には答えられない。 法治が同一条件でないから比較はむつかしい。単なる相対的な比較からでは答えがえられない。不都合な事実を合法的に納得させるプロセスのコストの違いなのか。自由とそれに伴う自己責任・リスクのある米国と、何がどれだけ起こっているか発表せず、虚偽を広報する中国との比較は、先進国と新興国というだけではない。日本のように、おもんばかりで公表を控えるのは、市民へのサービス精神の欠如か、メディア人の打算や保身なのか。
            
生活の状態がある程度に達したら、幸福の追求度により統治機構や透明度を変えるべきではないか。つまり人は囲いこむものではなく、来たがるような器=国にしなければ、自由を求めて出て行ってしまう。そのためには通気性のよさが求められ、民主国なら留まって、党派で議論できるのだが。人質をとるような国では比較するレベルでもないのだ。

同じ民主主義でも、自由放任+市民となる出入りは規制、自由には責任つき+出入りは規制、のいずれかがG7といえそうだ。
      
自由と民主とはいうが、行政の財政の(無)責任度ははどうか。その原因は
  • 財政赤字度(社会保障、年金)か、
  • 気温差か文化の違いか、
  • 人口によって統治に限界はあるのか。  
どの1つをとっても、その数字が信用できなければ、比較はむつかしいが、少しチャレンジしてみたい。
GDPの定義で悪貨は良貨を駆逐するか?

ケインズ経済学を駆逐するつもりかは知らぬが、信じがたいことに、EUでは計測できない数値(麻薬ディーラーや売春婦の経済貢献)もGDPに加えることになった。GDPが増えれば、GDPに対する債務額の比率は少なくなるというTyler Durden;07・08・2014)
財政の責任度の比較をする際に、投資リスクを較べるには、赤字国債の比較する際にGDP比率をくらべるから、GDPのほうを先回りして、計測できない数字を水ましし始めた。

米国もGDPの範囲を13年から小幅な改定を始めている。こちらはまともな考えであるようだが、余り複雑化すると利用価値が減るのではないか。最近では研究開発費を投資に含める改定がある。税法と同じで、誰も読まないほどの膨大なルールを作って煙に捲く(のではないか)http://www.bea.gov/national/an1.htm)                   

中国でも研究開発費だという。研究費がない製造業は、下請け製造、コピーか模造であり、おかしいと感じたのだろう。リバース・エンジニアリングで他国品をコピーするモノから鋳型費用も研究開発費とすることで、GDPの数値(non-GAAP GDP)を数パーセント加算することになるのかと疑問視されているようだ。中国会計制度は02年に遡り統計が改定され13年から変わるという。(バンクオブアメリカのSylvia Sheng氏のレポート)

こんな風に各国がGDPの定義をひろげて、計測できない数値を加えだすと、たしかに売り上げは増えるだろうが、いつまでも増やせる訳ではない。結局は1番まじめにやっている国の数値だけが信頼性をもつから、日本が模範であってほしい。(日本の場合は目一杯に信用を使っていないというが)

中国の2014年の貿易額は4.3兆ドル(507兆円)3.4%増

日経新聞には中国税関総署が13日発表した2014年の貿易統計によると、輸出と輸入を合わせた貿易総額は4兆3030億ドル(約507兆円)となり、前の年に比べ3.4%増となった。前の年に比べ伸びが4.1ポイント鈍り、(略)目標とした7.5%増の水準に届かなかった。13年まで2年連続で縮小した日中貿易は前年からほぼ横ばいとなった。

米国向けや東南アジアなど新興国向けに支えられ、14年の輸出額は前年比6.1%増と比較的堅調だった。ただ13年と比べると、伸びは1.7ポイント縮小した。
輸入額は内需の弱さを反映し、0.4%の微増に(略)。貿易収支は3824億ドルの黒字だった>という、、。

名目GDPと実質の違い

一体中国の経済は減少しつつあるのかについて、国の発表する数字はあてにならないと云われるが、それでは何が信用できるのだろうか。
中国の最重要点は信用を確立することであろう。                

古い話しだがウイキーリークによれば、<中国のGDPは参考までの数字で、もっと信頼できる数字は電力消費量だ>という現首相の数字の推定値は幾らかという話しである。(Platts.comSebastian Lewis 氏は輸入
資源やオイル価格が大幅に下がれば、実質GDPも下がるはずと疑問視する。

上のグラフは中国政府がスムーズにしたという実質GDP(青線)と発電量の比較だが、電力が前年から急落しゼロ成長で実質GDPの横ばいがありうるのか。
下の名目GDPの方が実態に近いのではないかという。下は名目GDPと輸入の比較だ;(原油、鉄鉱石、石炭)
(名目が実質より上ならインフレ、下ならデフレ経済になる。青がGDP、赤が電力、輸入資源)

10年ほど前だが、上海から輸出して香港で戻せば、輸出の金額が増やせるという意見も、VATの還付に関連して現地で聞いたことがある。

財政バランスの悪化は重要な診断書か?

EU式は文化か産業の違いかも知れないが、地中海周辺国では財政規律の問題を残すし、ギリシャなどをみると、参加国が完全自治では財政・金融などはうまくゆかないようだ。
産業別でどの地域でも必要不可欠な産業は、補助金・支援金の日本式もある程度は必要かもしれない。これから国の構造をめぐり議論があるべきだろう。

統計でも、大本でごまかして皆が疑わなければ、具体的な問題が生じた時はそれがガン細胞のように肥大化し、それで大きく間違うリスクの可能性があると判ってきたのだ。似て非なるものかもしれないVWの排気ガステストを思い出し、ドイツ人もこういう大国的な考えに汚染されたのかなと感じた。

AIIBで中国式がうまく行くかは、2~3年みないと分からない

従来の裏づけのない通貨拡大も破綻に瀕しているように見えるし、そこに数字の根拠の点で作為ある操作が明らかになりつつある通貨が加われば安定化するだろうか。
元の価値が上がると呼びかけ投資を招きたいが、輸出市場では元安にしたい。つまり元高に上げたいのか下げたいのか判らない通貨が加われば安定化するとも見えない。そこで数字を不透明にする。こんなレベルの信頼度の国の経営する銀行に投資するのは、金融のプロでなくても危険だと感じる。どのようなキャッシュフローになるか、時間をかけて見守らねばできないだろう。上のグラフが正しければ、中国はデフレの罠にはまっている。


EU
では難民問題が加わり国内が治安で流動化するから、国別の仕切り(国境別)を上げて域内の就労者の出入りを絞り、時間と経費をかけて財政を安定させねばならなくなる。
不穏な年初だが、いえる事は、どこの大国も相手の存続を脅かすような追い詰め方はするべきでないし、専守防衛と相互依存しかないだろう。その点で、中国の南シナ海での人口島は無駄な巨額投資で、経済が自由な国では、リターンのない投資はありえないのだ。

米国びいきと云われても仕方がないが、いま世界を見渡して、自力で生きてゆける国は米国が群を抜いて安定しているが、14年第4四半期から、市民はぐんと慎重になったちう。これは中東の不安定化、EUの不安定化に対する警戒感からだ。
米国の弱体化と逆宣伝するのは、出来の悪かった生徒がテストそのものを廃止しようと主張するのに似ている。法治が機能しないのでは統治ができる筈も無いと考えれば、倫理ゼロ、腕力だけで治めうるのは、プリミティブな社会だけであろう。

新興国とはいえ巨大児が倒れたら、他の国は大波を受けるのはまぬかれないという話しに触れたが、巨大国がおかしくなれば、何百倍で取引先の各国が大なり小なりの被害をうける。それをミニマイズするためにどうするか、判っているようで以外に未知な分野が残っている。

防止するには、透明性をもった会計法の採用であり、国有企業は民営化して民事的な国際取引にするしかない。外国での企業買収を行えば、その国の資産をどういう交換レートでどう計上するかが、国際的に共有できなければ、投資の安全性が高まらないどころか見えないおそれがある。その辺の投資家の危惧を理解しないで、銀行を開くから投資してくれと云われて投資する人は、誰の金をどういうリスクで投資できるのかを明確にすることが求められる。



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