2019年8月8日木曜日

190808 MMT・信用貨幣と起業家の育成・経営の発展のモデルを(3)

190808
MMT信用貨幣と起業家の育成・経営の発展のモデルを(3)

中小企業の起業が似ている理由

MMTを知ったのは最近になってだが、余り珍しくもない感じで受け止めたのは下にのべる経験からだ。それは80年に起業した後、借金はできるだけ避けて、自己資金のなかで会社を経営しようと日本的な優等生の方針を決めたこと。いわゆる無借金経営だ。
これが日銀や政府の緊縮財政のようで、それが経営上は少資本では、キャッシュフローに注意をとられストレスが大きく、中小企業には苦労のおおいポリシーだと気づいたのだ。2,3年して銀行残が少し増えたら安定するから、銀行ローンを運転資金用に一定額の自動枠を設定してもらい、気分的にもかなり楽になった経験から来ている。大体、無借金経営かは別に、米国では小売業の商店やレストラン以外は、中小企業は支払いも小切手(郵送)で入金する小切手は銀行口座に送られ、会社からわざわざ銀行に預金に行く人間はおいていないのだ。

私がかなり深く関与した1会社は、無借金で経営してきた30人余りの墨田区の印刷会社(印刷業界では中堅のサイズ)との付き合いがあった。この会社の創業社長は非常な頑張り屋で、日本では珍しい新技術のラベル印刷機を導入することに決めた。
驚きは米国に留学した若い女性を通訳につれて単身乗り込んできた50歳に近かいころだ。英語もできず、それで印刷機の運転操作から修理まで、すべての要点を習得して帰られたが、その熱意と勇気にほだされたのだ。
何人も連れてくる余裕はないし」というが、呉服屋の息子で、知り合いのすすめで印刷会社を始めたらしいが、10歳ほどしか違わない。放っておけない、何か助けたくなる人柄がある人だった。

両極端な例としてもう一社は、商社時代に空中作業車を導入すると決めたレンタル会社であった。商社金融を利用するために商社と組んでいた。自己資金を超えた機器をリースで供給する会社をJVででつくり、社業を急速に伸ばした会社だ。つまり借金の塊のような会社を創り仲介させたのだ。協定書の条件では国産建機以外は、仕入れは自由だとか(写真はシザーズリフトの1例)

無借金経営では成長が難しい

たまたまだが、両社とも創業者は30代に脱サラで独立し、新しい道を(技術的に)拓いた手法が似ていたと感じたのだ。
だが実際は両社の違いは大きな差になった。
前者が無借金で、35人くらいの印刷会社で年商10憶円+。
後者は1970年代から15年あまりで、160店舗、1,400人、年商5600憶円、商社と合弁でリース会社を造り、仕入れはこのJVが代行していた。
(一寸自慢めいて聞こえるかもしれぬが、私は商社時代の734年に、このレンタル会社に空中作業車(写真)を可なり強く売りこんだが、国産を選んだ。
10年後には殆どのレンタル会社が扱う人気機種になった。
独立したらこの社長が尋ねてきてシカゴにJV会社を立ち上げたが、82年には移動式トイレを強く薦め、そちらは15万棟以上にそだち、日本では全国に普及した。印刷会社には、液晶の変色技術、後にホログラム原板技術のライセンスで、セキュリティー認証の分野にも使われている。)

要するに超シンプル化して言えば、資本金300万円で会社を始めるにしても、創業前に初期に何をしたいか決めて、仕入れ先、売り先、主たる商品やサービスを決めておくのだ。
会社の限られた資本金でも1人か2人の社員の給与、事務所経費ほかで、稼がねば1~2年しか続かないと一寸試算すればわかるからだ。

その間は自分の給与を払えるまでの期間を、できるだけ短くするために、最善の努力で売り、リピートを受注するか利益を蓄積し、一応の格好の付くカーブを形成するような実績作りをするのだ。

           (注;グラフは概念図であるが、創業者のエネルギーの投入量を赤破線で示したが、これが自分の給与・経費であり、総経費にプラスされれば、採算分岐点が1年遅れるのが分かる)。
今の時代なら、IT系でも同じことだろうが、クラウド・ファンディングで1千万円では足りないだろうが、投資が集まれば、多少高給でも払え、参加してくれる人材が得やすいかもしれない。

最短で採算分岐に達するために取った手段

始業半年くらいで、手持ち資金が150万円に半減していたとして、仮に70万円の機械やサービスの注文を取ったら、契約時、中間時、納入時に1/3ずつ分割で払うとしても資金が足りず、資金ショートを起こさぬ為には、顧客に同様の支払い条件で払ってもらう必要がある。
だが現実は甘くなく、顧客としては資本金が無くなりそうな相手(信用の低い会社)に前金を払うこと自体がリスク感があるはずだから、早くその状態から脱したいのだ。これは不足を経験した人でないと予感が難しいかも知れぬが。

現実は給与面では創業者の個人負担で行われるケースでは、その給与は総経費に加算され、マイナスになるから、借り入れとして計上すべきであるが、この借入を容易にできれば、起業しやすい投資環境となり、日本も米国のように急成長するであろうと言いたいのだ。これをリスクにしないように、昔もL/C(銀行保証)を頼むとかも有るが、えらい心理的な負担である。尤も、現在なら上述のクラウド・ファンディング(他人の投資で会社の株式を買ってもらう)方法もあり、シカゴの日系弁護士事務所も積極協力してくれる。

自分が100%株主にこだわる人は、自分が経営の知識も経験も少ないと知っているためワンマンでやりたいだ。自分が良く知らないと認めて、知っている人に範囲を決めてやらせる知恵があれば、急速に伸びることができる。

学校のクラスでビリで最下位と自慢していたレンタル会社の社長が、身をもって話し教えてくれた。「やれそうなら、アメリカにいる人がやってみたらどうです」が私の3社のJVの社長辞令だった。彼は色々の職を経験したばかりか、膨大な本での勉強もしていた。

クラウド・ファンディングなどの手法を使わないと、自社の資金が一定の毎月の資金繰りを賄えるようになるまでは、バットを短く持ち、非常に小規模なビジネスを行わざるをえないので、失敗できず経験を積めないと感じる。これが上の印刷会社の例であり、この期間を2~3年としても、もう少し短縮するためには、銀行から借り入れをして、3~4か月分の購入額に見合う額をもっていた方が遥かに楽だ。三橋貴明氏と
「日本の未来を考える勉強会」ーよくわかるMMT(現代貨幣理論)解説ー平成31年4月22日 講師:評論家 中野 剛志氏 https://www.nicovideo.jp/watch/sm35369317、を是非お奨めする。

事実、レンタル会社は間に商社とのJVでファイナンスをしてくれるリース会社を創設し、そこを通して(短期リース)レンタルをして15万棟の移動式トイレで急拡大し日本一の座を長く維持したと理解している。 という訳で、日本人だけでなく、ベトナム、インドなどのやる気があり日本で起業したい外国人も仲間に加えて、チャンスを与えるサクセスストーリーが増えてくれることを願っているのだ。

借金をできるかが成功の秘訣と言われた米国の銀
(起業しやすい=借金しやすい環境を造る)

MMTはその意味で、借り入れを極力ゼロに近づける「返済が完了目標の経営」よりは、更に貸し込もうとする点で現実的だし、借りる側も無理をしないで経営できる。全額返済では困ると言われたこともある。
借金の返済するために経営するよりは、集中すべき重点が会社の生産性の向上、つまり顧客の生産性の上がる工程や商品を推奨する調査や、合理化の余地を造るイノベーションに頭や時間を回せるのだ。
景気の先行きが分からず、むしろ消費税など民需から資金を吸い上げるネガティブ政策をする国と、何でも製造コストが下がる設備をいれて、4年リースで操業費を下げるポジティブな将来に賭けてみるか。20年ゼロ成長などあり得ぬ人たちが、政策を指揮してい続けうる国。
Charting the U.S. personal savings rate from 1970 through 2018.
70年代にはMMT現代貨幣理論は無かったのだろうが、親方日の丸の日銀や、政府機関が資金を持つより、それを回転させ利益を生むことを仕事にする民営の方が、利益が上げやすいのだ。いやそれとは別に、政府や日銀のサイドが金を持たず、これは民間が持つべき金であるから、政府側が赤字だと民側が黒字になり、投資に回る。

(息抜きの余談だが、FEDのデータによると、11%位の貯蓄率だった米国の貯蓄率は今世紀に入っての20年弱は4%代におちている。一概にいえないが、少し貧しくなったか、08年のサブプライム(リーマンショック)からは、信託投資に切り替えている)

そのメカニズムを、エルク・グローブと言う当時3万人位の町のローカルバンクの若い責任者から聞いた話だ。米国では企業は、いかに借金を早くできるようになるかが成功の秘訣だと言われたが、半分はピーンと理解していなかったのは大手商社にいたからだろう。 (外国人就労者は免許証を取る前に年金局から個人番号を取る必要があり、この番号は所得税の申告のため雇用の条件でもある。従って脱税のモグリはあり得ない。
そして誰でも取れるガソリンスタンドのカードを入手し、ビザなどのクレジットカードを取る。雇用があれば銀行口座はすぐ開いてくれるローカル銀行がある。)

信用の秘訣は、ローカル銀行が貸したくなる人間になること
① 借金の返済を間違いなく2~3年続けること。つまり数社への返済がすべて順調なら、返済する能力が証明できるただし、返済したら、次の借金には更に応じやすくなりますという。(40余年の生活で、米国で銀行さんには普通の店のランチを馳走になったが、こちらがご馳走した記憶はない。)取引先のクレジットマネジャーの評価が良ければ、新規取引先も増やしやすい。
② 貯金もできるから、それを頭金にすれば、その4倍まで、あるいは年俸の2.5倍までの家が買える。(人の金を道具に、さらに貸し出すチャンスに狙っているのだ。この互いがハンターで居られる関係が、アメリカの良いところと本音の底で思っている。
③ これを担保にすれば、大体必要な運転資金が借りられ、会社が起業できるのだ。
これが、MMTの説明に非常に似ており、プライマリーバランスを目標にする(いわゆる無借金経営にちかい目標にする)経営よりはるかに安定成長しやすい企業経営になるのだろう。大企業は別として、少なくとも中小企業には伸びやすい経済環境であった。

外国人が起業したくなる国になる

日本はギネスブックの長寿企業でNo.1だそうだが、それはそれで喜ばしい。
だが現在の起業数で考えると、外国人が起業してくれて、日本人や外国人を雇い、長く働き孫会社を起業してくれる環境を作る方が早い。
仕事を覚えてから若者が起業しやすい社会にする方が、間違いなく数の上でも発展するだろう。新興国から来て昼夜を構わず土曜も働いてくれるハングリーな人達である。
無論不正なことをしないように、外国人を見張り、予防措置を善導するのも大事な仕事だ。そうした環境づくりに行政官が役立つよう、人材、金融、起業、その他の面で貢献するサービスをしてくれたら、はるかに将来の発展のためになる。
過去の関係を捻じ曲げて、おかしな文句ばかりを付けてくる隣国と、無駄な時間を使うより、将来の発展を協力しあうほうが、はるかに建設的な仕事ができると考えるのだ。

GAFAなど国家より巨大すぎる情報会社は、日本では分割させる

MMTに限らないが、すでに議論されてきたことを、学者が彼らの専門用語で批判しあっているにすぎないように感じるのだ。大きなコンビニが新たな試みをして、さっと隣国の詐欺のプロが悪用して損害が発生した。これをどうすれば防げたか、それは既に実績のある人材や経営者に相談する仕組みが欲しい。
(民主主義の維持という経済政策と政治政策的な抑止均衡論で、通貨理論を抑えうるか疑問である。中央銀行以外のビットコイン他の通貨創造をどこまで許すか。みな理論に基づいて新たなリスクを点検はできないのだ。)

私見乍ら、GAFAは巨大になり過ぎており、アルファベットやフェイスブックも、それらのコピーの中国企業も、国より大きな存在は民主主義を超えた存在であり、その指導者は単独であるべきではないと考え、集中排除法で分割を主張すべきと考える
個人のe-mail数、顔認証写真や携帯番号を価値資産・データとし、貨幣と同様にデータ管理会社に課税するか。情報・デジタルデータ=仮想通貨とみなしGAFA分割論(独禁法 )が続くかも重要な議論であろう。 )

単年度予算と別に毎年GDP比2~5%の長期計画で成長をはかる

GAFAの逆に、民意を逸脱した自滅的な縮小経済は、一種の自滅願望とも言え、やはり好ましいものではない。現在の政権は国民給与をさげ、GDPの成長率でも右下がりのカジ取りをしてきたという。
もちろん外交面で友好国との外交ができる人材がいなかったことも大きな理由と言われる。だが政治は第1が経済であり、無論外交や憲法が下支えするものでなければなるまい。
現実に経験の後は後継者が居らぬ場合は、経済面で現在の政府が成長戦略を持たず、或いは結果が得られない場合は、5年なり10年で政権交代すべきだ。
交代が難しいのは野党が外交と国防で知見が無さすぎで、不安があり過ぎだからである。
これも私見だが、外交と国防で、それなりの価値観に基づく政策がない野党は、多数党には認めないという資格審査機関が欲しい。逆の資格を認めない法制度があっても良い。日本国の利益にならぬ利他政策の持ち主が戦争を始められても、止めようがないからだ。経験者を与党から引き抜ければ、交代も円滑化も知れぬ。これには異論もあるでしょうから、ご意見をお寄せください。(sk@saas.itaoffice.comまで)
  • WSJ紙では『日本の銀行、高い配当利回りが映す「緩慢な死」WSJBy James Mackintosh 2019  5  22  14:00 JSTマイナス利回りは銀行の逆風債券利回りがマイナスに転じるなか日本の銀行のバリュエーションは低下日本の銀行の株価純資産倍率云々と、緩慢な死に向かうと警告している。
完全雇用に近い日本は就労者が2百万以上減少し、低金利政策で0.5%近辺、米国でも2%+でうろうろしている。互いに発展モデルを造らず来たからだ。

過去に軍国主義に踊らされ抑制が利かなくなった早熟民主主義の反省で、低成長をできなかった反省が日独にあると想定し、その防止策を議論すべきと思う。一歩譲って軍が内閣の総辞職権を持った時期の防止策でも良い。
隣国でミサイル開発を進め、中国も自称6%の成長率を唱え、ルール無視での米国通貨での自由貿易を主張し、周辺諸国の市場を引き込もうとする攻勢をかける国がある。
この隣大国はMMT理論で自国通貨での最大限の成長を狙った与信発行を行っているという。これに急ブレーキをかけて不況に落ちる恐れもある。ならば、ミサイルで国を守るか、経済成長で、負けずに成長を図るか、残された政策には、無為無策はあり得まい

米国が妥協を許す対中貿易赤字のドルが、そのまま必需品の輸入に使われ彼らの対外投資に使われる。米国は対中でバランスを交渉のスタートにせよと私は米国では議論していた。それで中韓がどう苦しむかは、そこからの交渉で、経団連も早く目が覚めたはずと思う。ベトナム・インドは大喜びであろうが。

アジアの理想郷を造る

新たな国土改造論で、すっかり変わった気候変動に合わせ、100年から200年の長期計画で、山を削り海抜50メートル以上の高台をつくり、平地から移住することで、津波、洪水、土砂災害に強い国土を造るべきだ。
それに南アジアの諸国からも人材の教育もかねて参加を呼びかければよい。その為には北海道・東北4~5県、関東・中部の山脈、関西以南、四国、九州7~8広域で、山岳地開発と海浜地帯の高原作りに、大きなプロジェクトを立ち上げて、100~200年で大計画を考えよう。

南アジア人、インド・インドネシア地域の人々にも定期後退の参加型開発を実行するのだ。領土紛争のある諸国は遠慮願い、公用語は日英語とし、各国が投資に参加をゆるす
ものとすれば、猛暑の季節も比較的温暖な高原生活が可能になるはずだ。
プロジェクトにはG7各国が基本設計に加わり、10年交代でマネージメントは入れ替える。年金の資金や各国からの投資を招くが、基本法は日本法、警備・国防は合同委員会とするが、国有企業は許さないものとする

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