集団的自衛にみる、モノを決めさせない戦術?
(選択肢を減らすことの重要性)
憲法を変えずに、法解釈で集団的自衛の範囲を変更しようとする政権に対し、反対する野党が、変更する場合としない場合の比較を提供せず、問題点を指摘する数をどんどん増やす。十分な検討が終わっていないというが、問題点の指摘をふやすだけであり、要するに大衆は比較対象がないと、どちらがよいか判らないから現状維持だということになる。
自衛官は誰が守るのかというような議論まで飛び出して、国民を守るのか自衛官を守るのかと混乱させる。立法の場で学者の解釈を聞くのは、司法との混乱ではないか。
反対する側は、フェアな比較をする義務はないから、変更した場合の問題の数を羅列すれば、混乱し不安に感じる大衆は、面倒だから現状維持を選ぶのだ。
ものを決めるのには、何を選ぶかという選択条件を考えて、優先順位をつける必要がある。卑近な例をあげればギフト選びがある。つけ加えるなら、目的は冠婚葬祭か、お祝いか慰めか、手土産かだ。まずは予算、相手の必要なもの、好みくらいである。
選択について実験したという役立ちそうなレポートがあったので、以下引用させていただく。
『選択肢が増えすぎると決めかねるといった弊害がでることはなんとなく認識しているものの、実際に実験を行ってみた結果があるというのは非常に興味深いです。
どんなビジネスにも共通する根本的な考えだと思いますので、ぜひ読んでいただければと思います。 ここから---------------------
■ 選択肢が多いということ
選択肢は良いことです。ただ、人々が忘れているのは、それが悪いことでもあることです。自由と選択肢には負の側面があるということは今まで無視され続けていました。
以後の説明は、ひたすら悲観的です。負の側面を列挙します。忘れてはいけないのは、選択肢というのは良いものであるということです。ただ、思ったよりもすばらしくはなかっただけです。
■ 選択肢の多さは機能麻痺(Paralysis)を引き起こす
あまりに選択肢がありすぎるために、結果としてどれも選ばない
● ジャムの販売を行った実験
○ 24種類のジャムを試食で置いた
○ 6種類のジャムを試食で置いた
→ 24種類のジャムを置いた方が人々は興味を示した
→でも、実際に購入した人は6種類を置いたときの方が10倍だった
● 大学での宿題
○ エッセーのトピックは30種類から選べるようにした
○ 6種類のトピックから選べる方もやった
→ 6種類のトピックの方がエッセーの提出量が多かった
● Speed Dating (合コン、ねるとん?)
○ 一日でのお見合いの12組を行うよりも6組の方がカップルができあがった
● 401kの選択肢
○ ファンドの数を増やした方が従業員が参加しなかった
○ ファンドの種類を10個増やすと参加率が2%下がった
● スーパーマーケットでの展示品の数を減らす実験
○ 強いブランドが良く売れる
○ その店の独自ブランド商品が売れなくなる
○ 高い物が良く売れるようになる
○ 客はものの種類ではなく、棚に置いてある量を気にする
→ 商品がいっぱいつまれていればそれで良い
○ 商品を減らしたことによって、いっぱい買うようになるし、満足するようになる
→ 品数を減らした方が全体的な売り上げは伸びる
もし、あなたが探しているものが何であるか良くわかっているのであれば、選択肢は多い方が良いです。
選択肢が多い方が、本当に欲しいものが何かをわかるからです。
ただし、そのような事はほとんどありません。例えば、車の詳細な機能を全部羅列して買う人はいません。いくつかの基準、例えば安全性などをもとにどの車が良いか選ぶというのがほとんどです。
■ 最悪の選択を誘発する
Speed Datingで相手を選ぶ基準を、賢い事、魅力的であること、笑わしてくれる事、やさしいこと、理解してくれる事、知的であること、イケテルか、など多くの基準を持ちすぎると、結果として人を選ぶときに単純化しすぎてイケテルかだけを基準に選んでしまう。そして、次の日の朝に起きて過ちを後悔する。
あまりに複雑すぎる要求は単純化されてしまい、最悪の選択をしてしまうことになる。401kで選択肢を与えすぎると、何も考えずに銀行に預ける人が増えていく。ダーツでどれかを選ぶ方がまだマシ。
■ 満足度が低くなる
● 後悔する
○ 選択肢が多ければ多いほど、あっちの方が良かったかもと思ってしまう
○ 選択肢が2個ならば自分の選択に迷いは生じないかも知れないが、選択肢が200もあれば
誰でも迷ってしまう
○ 後悔してしまうと、選択肢に対する満足度が下がる
● 魅力が薄れる
○ アンケートの謝礼として2ドル、もしくは2ドル50セントの価値があるペンを選べるようにする。
→ 75%の人が良いペンを選ぶ
○ アンケートの謝礼として2ドル、もしくは2ドル50セントのペン、もしくは安いペン2本を選べるよ
うにする。
→ 45%の人がどちらかのペンを選んだ
→ 良いペンを使うのと、2本あることを天秤にかけたところ、片方の利点が他方の欠点に見
えてしまって、ペン自体に対する興味を失ってしまう。
○ 結局、選択肢が少ない方が満足度が高くなる
● 期待が大きくなりすぎてしまう
○ 選択肢が多くなってくると、良いものでは満足しなくなる
○ 考えうる最高のものでないと満足しなくなる
○ 結局、選択肢を増やす事は人々の期待を大きくするだけだ
● 自分を責める
○ 最高の選択ができなかったのは何がいけないのか
○ 選択をした自分が悪い
○ 2つのジーパンからしか選べなかったら、悪いのは世の中だ
→ 200種類から選べた場合、選んだ自分が悪い
■ どうするか
● 専門的なエージェントを雇って選択をしてもらって結果だけを見ればこのような問題は発生しない
○ エージェントは選んだものを使うわけではない
○ そのため、選択に対する自責の念にはかられない
○ 選択をする人と、エクスペリエンスをする人をわける
○ 自分で選んだよりも満足する エージェントがあまり知識が無い人でもこれは成り立つ
● Richard Thaler 「Libertarian Paternalism」
○ 運転免許取得時に臓器ドナーになるかどうかを聞かれる
→ アメリカでは28%が同意、85%が制度に賛成
→ ヨーロッパでは90%が同意
→ 違いは、アメリカではYESというとドナー、ヨーロッパではNOと言わなければドナー
→ どちらも、チェックボックスをチェックするという行為には違いはない
● 最終的には、人々が何もしないときに何を選択させるかというのが非常に重要である
○ 何もしないときには良い事が起きるようにしてあげることが重要なことである
○ defaultが何かを考える事は非常に意味がある
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