2015年10月21日水曜日

15223 不動産の投資環境の整備を急ぐべき ビル施工など品質もペナルティーで決まる時代?

15223

不動産の投資環境の整備を急ぐべき


ビル施工など品質もペナルティーで決まる時代か

国や自治体の行政罰がゆるく被害者が救済されないと、放っておくと米国のように民事訴訟だらけになる。弁護士は別として、あまり訴訟社会になるのも困る。
罰則で損害賠償の上限を決めるのに役立つ方法を工夫すれば、訴訟が何年にもわたることが減り、その分投資リスクの少ない国になる。買った人がバカを見るのが1番ハイリスク低級な投資市場で、それでは買い手が減るのです。

防止方法として、
① 見えない構造上の重要な部分の施工は、きちんと完工記録に登録させ、施工者と施主の連帯責任とし、購入者が閲覧できるようにする。
② さらに、積立金の管理を行う機関をつくり、そこが土木工事費の何パーセントかを供託金として預かり改修や改善をおこなう費用にあてるなども考えられます。1種の保険的なリスク分散の考えですが、業者がお互いにきちんと仕事をするようになれば、投資家は安心です。
業者同士で業界の都合でものを決めないメカニズムとして、監視機関がいるかもしれません。
米国では完工保証のボンドを積むことを入札条件にする場合も多い。これをビルの基礎杭だけは期間を長くしてはどうでしょう。
③ 転売に制約期間を設け、1定期間(例えば10年とか)沈下が起きないと確認された建物とされれば、施主も沈下が起きないように、最大の注意を払うようになると思う。

もっとも自分が施主側だったら、それは短期的には取引のハードルで、所有権の自由の障害だと反対するかもしれないが、投資の拡大と購入者保護という観点も、長期では無視できない。地震国だから仕方がないと考えず、100年くらいもつ建物を建てようと購入者が声を上げなければ、消費者庁の仕事になるのか。
不動産の値段が下がらない工夫こそ、業界の繁栄に繋がるという考えがないと、土木工事によい人が集まらないと心配です。 (支持力計算;   http://www.pile.com/reference/SoilAmericanRock03/PileDrivingResistance.pdf) 

最近では横浜の住宅の基礎杭の支持力不足という建物が部分沈下した事実があるケースでは、住居の転売価格の下落などで、購入者(住人)は損害をうける可能性がある。

こうしたケースでは施主である発注者は、鉄筋コンクリート杭を打ち込んだ場合は、支持力の計算は土質によりパイルハンマーの打ち込みで00cmとか一定の深さを沈む打数(その数値をN値;表)が、設計者の要求する数値に達していれば合格。その場合は検査官が立ち会って、打数と沈下寸法を記録してあるから、検査官が仕事をしていれば記録がのこる。  (私は30代の前半、米国で杭打機の販売をおこない、辺ぴな現場で仕事が終わるのを待たされ、その間に技術者に教わった支持力の計算を思い出し、思わずこのケースに目がいったしだいで、ご容赦あれ。なおこうした知識はあとで宝になります)

建物のの重量に安全係数を掛けた数字は、支持杭の支持力の総和でささえられている。その後、フリクションパイルという考えが加わり、土がもつ粘度も沈下を抑える支持力という考えが加わったと理解している。  

問題は鉄筋コンクリート杭を打ち込むと、相当に大きな騒音・振動がでる。そこで、街中では嫌われないよう場所打ち杭が使われ(大口径のオーガーというドリルのお化けのようなものを使う)、長いパイプを立てて中をオーガーで掘り沈めてゆく工法がとられる。一定の深さ(地層)に達した場合、鉄筋かごを入れ生コンを打設する。これだとパイプと鉄筋かごの長さ、コンクリートの量(やスランプなど)を記録しなければならない。この検査人(第3者)の立会いが問題のようだ。

1ヶ所だけ深い場所があったような報道だが、そこだけパイプの長さを継ぎ足したものを用意していたかどうか、納期優先の圧力があったかなどの議論があるのだろうが。

(今回の地層がどういうものかは、ボーリング調査と専門家の判断が不可欠。地下鉄工事を経験した人の話では、横浜の土丹はシカゴのダウンタウンのハードパン層と非常に近く、スプーンやナイフを突き立てても入らない固さだといわれた。
シカゴの100建てのビルの横のホテル・コンドビルの支持杭は、土丹にとどく拡底(ベルボトム)場所打ち杭が打たれたと記憶します)
(写真は70年代に電車の走行を止めずNY市地下鉄J駅工事に使われ高い評価をうけた日本の技術;施工住友アメリカ、機器・利根ボーリング、レンタル・三菱商事。)

オリンピックのロゴのケースでは、こちらは芸術的な判断が加わるから、判断が複雑になるのだろうが、デザイン盗用があったとされれば、被害者(発注者)は損失を被っている。これについてはライフ誌の記事を引用したい。

【五輪ロゴ】デザイン盗用、米国なら50億円の訴訟も (フォント・着色は編者)       ライフhttp://www.mag2.com/p/news/25914) 


答えは、巨額の賠償金も請求可能な訴訟システム

アメリカの場合、たとえ刑法上は微罪であっても、損害賠償で支払う金額がめちゃめちゃ高額になることで、類似犯罪を抑止する効果を高めている感じになってるんです。
これが日本とは大きく違うところ。
例えば、子どもの「いじめ」問題でも、学校や学区や市などに、いじめを放置したという理由で、巨額の賠償金が請求されるケースが多々あるんですね。
例えば、
  1. 同性愛者の中学生6名がいじめ対策を何もしない学区(school district:教育を統括する地方行政組織)を訴え、50万ドル(1ドル=120円換算で6,000万円)で和解。学区からの同性愛者の権利に関する和解金としては、この案件が米国史上最高額の記録を更新。2012年。ミネソタ州。
    Plaintiffs in Anoka-Hennepin bullying lawsuits happy with settlement
  2. 殴られるなどのいじめにより足に麻痺が残った中学生が、やはり学区を訴え、420万ドル(5億4600万円)で和解。2012年。ニュージャージー州。
    New Jersey bully’s paralyzing punch nets $4.2M settlement
  3. 学校の食堂で殴られ片目の視力を失った中学生が、市を相手に賠償金1,600万ドル(19億2,000万円)の訴訟。2012年。ニューヨーク州。
    Teen says bullies beat him, sues New York schools 
などなど。
それでも、子どもの「いじめ」は完全に無くなったりはしませんけど、数億円、十数億円もの賠償金が請求される可能性があるということになると、それなりに一定の抑止力が働くわけです。デザイン盗用についても、だいたい同様の考え方。
今月8月にあった訴訟結果でも、以下のような最新のニュースが報じられています。
高級ファッション・ブランドのトリー・バーチ(Tory Burch)のロゴマークと同じデザインのジュエリーを、勝手に作って販売しただけでなく、訴訟されると、逆に、トリー・バーチを訴えたり、証拠を隠滅するなど、悪質なデザイン盗用を行ったニューヨークに宝石店を持つ宝石販売業者の「Lin & J International」に、賠償金4,120万ドル(約50億円)の支払いが命じられました。
高級ファッション・ブランドのロゴマークと同じデザインのジュエリーを勝手に販売してたことや、態度が悪質だったことなども勘案したうえでの巨額の賠償金だとは思いますが、それでも、4,120万ドル(約50億円)って、結構、すごい金額ですよね?
ここまで巨額の賠償金を請求される可能性があるとなると、デザイン盗用なんてバカバカしくてやってられません
たぶん、デザインを盗用しても、盗用した方がお得になるくらいペナルティが軽いと、類似犯罪、つまり、デザイン盗用を抑止できないと考えているのだと思います。
今の日本の法律では、こんな巨額の賠償金請求は、できませんから、このアイデアをそのまま取り入れることは難しいと思いますが、一応、念のため、ご参考まで。
image by: Shutterstock

著者/りばてぃニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。

0 件のコメント:

コメントを投稿