上手に忘れて脳内整理&大雑把に流れをつかむ
下村和宏 (博士、ノースウエスタン大) (カッコ、着色、フォント編者)
自分がストレスを感じなくなると上達する
“覚えることは最低限にとどめ、困った時にその限られた知識でどう対応するか”―― これは数学の授業の際、私が常に念頭に置いていることである。その理由は皆に脳内の自由度を保ってほしいから。人は“忘れてはいけない”と思うと、それがストレスになって脳を自由に働かせることができなくなる。
例えば、高校数学に余弦定理 (よげんていり*;Law of Cosines) という有名な公式がある。教科書を見ると、たいてい6つの式がある。
これらを全部覚えるのは愚の骨頂。“忘れてはいけない”というストレスで思考回路が止まる。だから一つだけ覚える。あとは式を変形すればいい。 その式の変形はものの10秒で終わる。このことさえ覚えていれば、あなたの脳内自由度はぐっと上がるだろう。数学は思考回路が止まったら、それはもう拷問以外のなにものでもない。(*とっくに正弦定理を忘れた人は;ttps://www.juku.st/info/entry/85)
これらを全部覚えるのは愚の骨頂。“忘れてはいけない”というストレスで思考回路が止まる。だから一つだけ覚える。あとは式を変形すればいい。 その式の変形はものの10秒で終わる。このことさえ覚えていれば、あなたの脳内自由度はぐっと上がるだろう。数学は思考回路が止まったら、それはもう拷問以外のなにものでもない。(*とっくに正弦定理を忘れた人は;ttps://www.juku.st/info/entry/85)
とはいえ、人間の記憶力にも限界はある。だから、どこか外部にバックアップを持っておかないといけない。 「忘れないようにメモを取りなさい。」 これは誰しも子供のころから親や先生に言われてきた言葉であろう。私は最近になって、これは「安心して忘れられるようにメモを取りなさい。」だと思うようになった。年齢とともに記憶力が低下しているのもあるが、メモを取ることで“忘れてはいけない”という恐怖心から解放され、脳にも心にも余裕が生まれるからだ。
仕事ができる人は、どこに何(情報も)があるか知っている
大学時代のボート部の顧問、村井俊治氏はオリンピック出場経験もあるバリバリ体育会系の教授だったが、彼も同じようなことを言っていた。 困った時にどの本を見ればいいか、また誰に聞けばいいかを把握しておきさえすればいいと。
そして、学生時代は体を鍛え、人間関係を構築できるスポーツに打ち込みなさい。勉強はいつでもできるのだからと、私たちにスポーツを推奨した。
さて、9月15日は補習校の一大イベント、スポーツの祭典、運動会がある。補習校の登校日は毎週1回、平日はみな現地校や課外活動に忙しい。直前の全体練習までに覚えなければならないことが雪崩のように押し寄せ、極度の脳内不自由状態に陥ったことだろう。 ところが、先週の予行練習で、実際に体を動かしながら、大雑把に流れを掴んだことで、脳内不自由状態から一気に解放されたのではないか。わからなかったら、あの人に聞けば大丈夫と思ったら、心が少し軽くなったのではないか。あそこにあるという安心感は脳の自由度を上げる。
私の経験上、“忘れてはならない”というストレスから解放された瞬間に“ひらめく”ことが多い。先日、予行練習の最後に、校長先生が 「今日の点数は70点です。みんな流れを理解できました。あとは精度を上げましょう。」と講評された。
大雑把な流れを掴む。これが脳内自由度を保つための鍵になる。精度は自由になったあなたの脳が勝手に上げてくれるので心配ない。 あとは爽やかな秋晴れの下、全力で運動会を楽しんでほしい。
(編:渡邉和子)
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