米中衝突;インドと日本がクッションになれるか(4)
米中の貿易戦争は行くところまで行きそう
「良くここまで我慢したものだ」というのは、ウォルマートで買い物をしたことのある人なら驚くこともない実感だったろう。いくら自由貿易とは言え、自分の国の中に半分以上の商品を中国製で並べる店があったら、その店は中国の直営店かと感じるし、まして会社が自国最大のスーパーマーケットでは、「中国製で消費市場を制覇されたも同然。その仕入れ総額が中国のGDPに寄与しすぎだ」と感じ胸が痛むのが普通の政治家であろう。
そして中国で作られた日本メーカ製品も多く、特に心配していたのは、工作機や産業機械の多くに日本の製品が心臓部にあることも周知だったからである。
安ければと国旗まで下請けさせる米国も米国だが、高くなっても自国で作るか、逆輸入する額がアンバランスになると、為替変動で苦しむことも永年経験してきたからだ。
85年のプラザ合意で円が2倍の価値に格上げされただけで「アメリカから買うものがない」などという傲慢な発言をした経営者やジャーナリストがいた。そのお陰かは知らぬが、金融証券業が90年代は痛い目にあい、意図的な米国メーカの中国への工場・技術シフトもあったと感じたものだ。
お百度を踏んで、嫌がる相手にライセンス契約をしてもらう、戦後の日本の再スタートを経験してきたと知っている米人も多い。今でも米国製から始まっているサービス業としての多くのチェーン店などの商品も少なくない。
若い人は知らない人も多いようだが、戦後の復興では米国のライセンスにより各業界で製造業が躍進し、ソフト面でもスーパーマーケットやコンビニも米国発で始まったのだし、そのやり方をそっくり中国に教えてしまい、今苦しんでいるのも日本なのだ。
そう考えれば、「すべての国際貿易はフェアで平衡がとれいなくてはならない」という商務省の玄関口の彫刻は、自他ともに守れという主張でもあったのだろう。
80年代後半のバブル、85年のプラザ合意から始まった250円/$から125円までの円の急騰が、米国での製造のスタートとなった日本メーカも多数ある。
だが情報産業が主力になった時代に、GAFAの規模は独占に近く、競争を排除する力がありそうで、独金法による分割も検討すべきであろう。1党独裁の国有企業にたいする自由圏の市場の対抗措置でもある。
米国の基幹産業への納入業者は気配りしよう
何が基幹産業かを述べるつもりはないが、人体でいう臓器、産業社会ではエネルギー、交通、通信、物流などは不可欠な時代である。
その意味では、ファアウエイ、アプルは通信というデータ産業の臓器メーカでもあり、米国向け輸出でなく、反対に向いて輸出しているから安定・安心だとは言えない。
そいう会社が、米国と敵対を秘めて自由社会でグローバリズムを掲げ、自由貿易の騎手
が如く演じている。なぜ演じているかは、その国が国内ではどうしているかを見ればよい。そしてそういう処と付き合う会社の取引銀行は、危ない銀行と扱われるリスクがある。
和平をインターネットで実現できれば
インドの通信の人材を中核に据えた楽天が通信をインターネットに取り込むという三木谷氏に期待したい。(文芸春秋5月号)言わずもがなだが、何も銀行やカードも含めすべてを楽天でという事でなくても良いだろう。ネット通信で国際電話がタダ同然というサービスがすでにあるし、それと似た技術であろうとは、何となく想像できる。
タダなものでは商売にならぬし、傍聴、盗聴を防止する安心・安全の確保には、それなりの費用も掛かるだろう。楽天はリスクテイカ―で起業家としても尊敬するるが、安全が実証されれば更に飛躍できるだろう。
楽天の「完全仮想化」という技術でインドと日本が連携し、通信での傍受とかの恐れが薄まるだけでも、可なりの前進であろう。インドのデータコストは先進国より1桁安いというから共通する部分もあるだろうと考えられる。日本とインドの国民が安心できれば、中国との関係よりは安全ではないか。
もしも米中対立が長引けば、人口の巨大なインドが通信の世界で中国か米国かのいずれかを味方にする可能性があるが、どちらも使える自国技術で中立性を保つ方が、和平のためになる賭いえるだろう。まして5Gでは中国の特許の方が先行しているとすればだ。
半導体や電気制御品などの量産効果の高い制御品を作り続けるためにも欠かせない。つまりインドを失っては、ほかの周辺の小さな国の産業用の機器の市場を掌握し続けるほかないだろう。
もうその技術は1企業の独占すべきものではないとも言えるが、民間企業の権利を守ることが、国有企業との対立では重要になるのかもしれない。
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