2016年12月21日水曜日

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「サピエンス」の生き残りの条件はなにか(3)
(着色・カッコ内は編者の意見)

平等な社会は実現していないし、その実現は難しい 

インドなどもヒンドゥー教では4階層があり、西洋では自国の階層はよいが、他国のそれは嘲笑するように教えられるという。自国にある制度は、その中で育てば自然と受け入れる。
(たとえば 『弱いものいじめはするな』などは、むかしはどこの家でも親父や祖母がうるさく言ったものだが、今は言ってくれる大人が減り、いじめがなくならない。社会の中にある男女の体力差はオリンピックでもはっきりあり、子供の命が第1という本能で、消えないだろうと思う。男が守るべき相手と思う。)
 

階層の差は元々は身分の差だろうが、現在は貧富の差から生じている。民主国では金のかかる教育の差となって、残っている。 たとえば米国の有名私立大の大学院だと、高所得層では年7万ドルといわれ、かんたんに払える額ではない。もっとも成績がよい中層階級ではかなり大きな値引きや奨学制度もある筈。天国と地獄があり相続制度がある限り、階層差は中々消えないと思うが )。 

ヒエラルキー(序列・階層)は大切、というより現実だ

よい悪いは抜きにして、ヒエラルキーも無くならない。著者ハラリ氏もいうが、人をどう扱うかが分からなければ、知らぬ相手をどう扱ってよいかわからず、付き合いはできない。宗教家の世界でもランクはあるし、会社の中でも5段から20段くらいの階層がある。インドなどは最近はなくそうと努力しているが、社会には明らかに階層での扱いが違う。
黒人が差別が未だになくならないのは、米国にくるまえにアフリカですでにヨーロッパ人が商品として売り買いしてきたものを、米国がどんどん輸入したからで、これを無くすために150年まえに南北戦争があった。

階層社会の欧州やインドなどからアメリカにやってくると、階層のない平等社会のはずだが、そこでも格付けは残っている。それはすべて金に換算されていると言えるだろう。だから服装や話し方、マナーなどから出身のクラスが判断され、そこで差がつけられてしまう。
男女差は欧州のそのまま持ち込みで、女性は男性の所有品のような扱いが今でもある。米国ではむしろ女性のほうが重要と強調したいために、マイ・ベターハーフなどと表現するが、現実では2番目の階層である。

序列・階層に代わるもの

国の交流では貿易などが表にでて、清国時代の17~18世紀には絹や磁器などが欧州に輸出され、その代償は、金や銀などで交換された。つまり宗教・思想・社会習慣など、人によりばらつきのあるものが仲介するよりは、分かりやすくインチキしていても見破られやすい。イスラム教などはシーアとスンニなど分かれるが、著者はそういう認識不協和とよぶ部分があるからこそ、規則の違いとぶつかり合いを調べれば、そこが揺れている部分だと指摘している
(私見;ジハードなどがテロリストに利用され、殺害が聖戦という正当化につかわれるが、難民を容れるなら、それは日本の国法で禁じられていると国法を守る入国条件にすべきと考える。)
 
忠誠・正義は貨幣でおきかえられるか 
 
宗教よりは金銭のほうが信用の測定道具として優れた代替物だというが、これは事実だろう。  (だが、どこの社会でも金(かね)本位なユダヤ人を避ける理由ではないかと、個人的には感じている。何でも金換算する社会は、人類の理想郷にはならないだろう。その点では郷土をもたない遊牧民はユダヤ人に似た部分がありそうだ。ユダヤ人の方が都市型ではあるが。)
 
貨幣のメリットは2つある;  
    1.土地は忠誠に、正義は健康に、暴力は知識に変えてくれる。                   2.どんな事業でも、人種でも、協力できる仲介役としての信頼性をもつ。
影にある邪悪な面は、その信頼が持っている金だけしか信用しない人間をつくることだ。          コミュニティー、宗教、国家などに代わりうる。 だが金の切れ目が縁の切れ目ということになる。
そこにも武力の役割が無視できないという。

グローバル化を進める帝国のビジョン
この本の中途にある11章は優れた要約で、大企業のサラリーマンにも1読をお勧めできる。
グローバル企業を自認する会社でありながら、本社の役員は全員日本人などというのでは話にならないし、世界レベルの人材は参加できないことになる。

インドの指導者マハトマ・ガンジーは英国のトップクラスの大学で学び、弁護士資格もとったが、大英帝国のアフリカの植民地でのレストランで、1等車に乗れずトラブッタらしい。
(本人は大変な失望をして、のちに無抵抗・非暴力ストをインドで起こして、英連邦からの独立まで持っていった。英連邦にとっては高くついた差別扱いだったことになる。)

(前述したが、英国メーカーの本社役員室での打ち合わせにロンドンに出向いたが、アジア担当営業部長は役員室のある建物に入れないルールと聞いて、意外な会社で例外と思う。本人は英国人でない(ウエルチ出身)からと、申し訳なさそうな顔をしたが、工場でも問題が起きた。
米人はこうした扱いは遥かに如才ない。どうしても入れさせたくなければ、クラブにして、女性が入れないようにしたり、法外な値段をつけたりして、気の済むようにやっている。)

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