2019年4月16日火曜日

190419 なぜ欧米先進国は3~5%以上の投資リターンがあるのか

190419

なぜ欧米先進国は3~5%以上の投資リターンがあるのか

米国で起業して少し手元にお金が残るようになった頃から、CDで預金金利をかせぐ必要を感じた80年代後半、なぜ日本の投資利回りは2~5%低いのか、不思議であった。
3月末千葉銀行からの好意で、投資信託や生保ほかの有力各社、さらに米仏スイスなどの大手の日本法人が参加しプレゼン・講演会に出席してみた。
結論から申せば、日本も大分欧米式に近い説明で安心したのです。何にせよ「日本が世界でGDP成長率がビリでよく我慢できますね」と感じるからだ。「厚かましくもこんな表題で良く書くね」という動機は、投資対象が日米になる方が、選択肢が広がるプラスと、+-20円の為替リスクをどうするかで、何とかできぬかと課題が広がるからだ。

最近の欧米流の資産の守りと投資


(1)モーニングスター方式(米国);
米国でどの株を選択するか、あるいは調査の目的で、この会社の米国のデータを使っていたモーニングスター社(朝倉智也社長)の設定では、手持ち資金300万円と、毎月5万円を投資し20年で累積投資1500万円を3000万円の目標にという計算は、5.4%の利回りが必要となるという。(同社の金融電卓を使用)
スタートする時期として、自分が40歳か45歳かとか選ぶ。30歳で始めれば、他の人より10年早く老後のまえに、自由度がえられるという意味がある。もう1つのデータ会社のマ-ケットウオッチhttps://www.marketwatch.com/investing/index/DJIA/も使えば、会社の利益が上がっているか、何でも大体2社が同じかどうかが基本の考えである。

(共働きでなくても、主婦が家事や育児という専業になるケースだが、主婦業は消費者の購入では大変なプロの購買係ともいえ、経理系ほかのパートができる期間があれば、2人分の共働きよりは少なくても、1.5人分の投資価値を生み出すと思う。(ちなみに香港の中国人の夫人は出産の時期はのぞき、フィリピン人のメードに食事洗濯・子供の託児所往復含め任せているので、完全に2人の稼ぎで2倍になっているようだ。)
4,5社の強い特色の感じられた部分を記述する。

主要な金融界の条件変化
  世界経済の過剰流動性
モーニングスターによれば、08年から18年までの10年間で、中央銀行の資産残高は2.23倍に、株式時価総額は2.19倍、不動産価格4.33倍(S&P REIT)、GDP+33.1%(IMF)、債務残高79.9%(BIS)に増えている。
だいたい10年に1度おきる不況は、今回がチャイナ・ショックと呼ぶなら、すでに始まっているようだ。中国は不透明で民営化もおくれているが、間違いなく不況下にあり、日本からの輸出の減少はすすみ、アセアン諸国も余波が拡大している。

  長短金利(10年債―2年債)逆転時期と引き締め金利上昇時期
                            
利上げ時期
米国
ドイツ
日本
イベント
80年代後半
87.5
88.7
89.5
87.10
ブラックマンデー
90年代後半
99.5
99.11
00.8
00.12バブル
Y2K年半ば
04.5
05.12
06.7
08.9リーマン
今回
15.12
19年末以降
出口見えず

   ファンドと投資家のリターン差
公募ファンドでの多数株式のトータル・リターンと、一般投資家の選択した株式のリターンとの差が1年で10%の差があれば1%差になるから、10年間での結果を比べると、4.39%対2.23%になるという。成る程、日米2%かということのようだ。
他方で確定拠出年金ファンドの場合は、トータルリターンと投資家のリターンでの差は、4.25%対5.67%となるとのこと。
(筆者注; 売買をタイミングで推測する確率よりは、上下するものとしての波を想定し、同額を毎月買い続けることで、安くなれば余分の株数が買えるので、買いコストを減らせるから、リターンが大きい方法で有利だという考えで、現在これが多数の投資信託のプロの賛同を得ているようだ。)

信託投資の利用者の日米差
日米の信託投資の普及率の差は1988年から2018年の30年間で、
88年、日本16.7%:米国24.24.%だったが、その後日本は半減した。
現在、日本 8.8%:米国43%と、運用規模で米国が4倍以上の大差になっている。普及率に注目する米国系と違い、欧州系は現預金を離さぬ現金主義に注目する。

(2)家計資産を運用するか否かが日米差だとスイスが指摘
クテPictetスイス);運用総資産55兆円世界でもトップ10位。 
家計資産の日米構成比の違い;1995年を1として伸び率を比較する。
現・預金での差が日本;52.5%、米国;13.1%
運用資産での差は日本;16.2%、米国;53.9%
95年から10年間で、米国での物価上昇率が1.5倍に対し運用リターンにより2.32倍の資産の伸びを得ている。日本では物価上昇1.0倍で、運用による金融資産も1.15倍ほぼ横ばいである。日本のほぼゼロ金利で貯蓄したというのもおかしい。

仮に日本が米国と同率で運用して2%の利益だったとすれば、1859兆円x37.7%x2%=14.01兆円のGDP押し上げ効果である。つまり、
95年1人当たり$43.4/2位が、
2015年では$34.5/22位とかなりの後退だといわれる。

だが、気落ちする必要はない。日本人が定期預金を投資信託にすることで、3倍の資金量になれば、証券会社もより有利な利回りも取れ、金のかかるAIも使えるチャンスも増えるのだ。
更にキャッシュレスになれば、増えることのない現金で、レジの残金管理や、店の現金管理コスト、銀行への運搬も減り、オレオレ詐欺も減り、犯罪率も下がるはずだ。

GDPランキングの考えは、GDPで国民の幸福度が買えるならという話だから、公務員や大企業のトップの関心事だと言える。為替レートのドル円は、海外投資家から見る日本市場への輸出指標、プラス国内の投資家にとっては逆に海外株が高いか安いかの目安でもあり、円高な方がより多くを買えるから重要である。
(円相場歴史;http://www.pwalker.jp/rekishi.htm
(筆者注;2012/1~2016/1;80円~120円、約40%の上下の波がある。100円/US$の為替変動でアバウトで+-20%差がある。為替ヘッジが専門過ぎるなら、素人は同額の円口座とドル口座を持ちリスクを半減させる方法が良いと考える。 投資口座を扱う専門家に相談すると良い。毎月定額投資とすれば、上下の1サイクルを見れば同じことだが、3~5年で手じまいする予定なら、現在の中国発の不況はボトムなのかは米中交渉によるともえる。
中国側は時間延ばしが有利と見ている筈だ。トランプさんはお気づきか知らんが、一番困るのは輸出入バランスするまで、量=額で均等にされるとドルが不足することだ

ピクテ投資手法は、欲張らない投資>一寸と欲張った投資>育てる投資>
  「スパイス投資」(タイミングが重要、15年以上待てる)と絞って、ハイリスクは額を絞る。(>は右方向の矢印)
   2~5年以上投資できる>5~10年>10年以上>15年以上と待てる時間は安全第一て絞ってゆく点、ユニークな経験知を感じさせる。

(3)AMUNDIアセット・MG;仏クレディ・アグリコル;180兆円
   欧州#1位の運用会社で1894年農業系金融機関の中央機関として設立された。
   現在30か国、日本含め5200万人の顧客をもつ。
(A)   ゆとり老後=旅行・娯楽・住宅リフォームなど必要額;34.9万円/月
(B)    現在無職の年金生活者の所得; 18.1万円/
   不足分(A)-(B)=16.8万円/月、これをどう投資で稼ぎ貯めるかだ。
    1975年と2018の状況の変化 対前年 賃金増14.8%対vs1.2
        金利5%vs0.01%、消費税 0%vs8%
  •  GPIF年金; 国内・海外債券71%/国内・海外株式24% この株式比率を2倍に債権と株式投資を50%vs50%する。(GRIF;年金積立金管理運用独法のホームページHPにも株式は債権より収益率が上回ると述べている)
  •  2014年より日本もGRIF投資で株式投資が増やされたが、債権と同額までという意見である。 対象として米欧日・新興国株式、米欧新国債、米欧ハイイールド債の8グループでの投資が対象とされ、2008年、2018年のみ米国市場を除くすべての対象グループでマイナスになったのは11年中2年だけという。
19年の見通しでは、中心シナリオ;確率75%、下方リスク20%、上方リスク5%としており、中心は緩和、下方は中国、欧州、上方は急速好転
  手法;①日経225に連動,②225銘柄200銘柄以上に等株数 ③100%投資
  初歩者向けに毎月同額プランもある。 (筆者注;米式同額投資の方が合理的のはず

(4)JP MORGAN;医療;667億円ほか
  医療産業は景気のサイクルによる変動がほとんどない点に注目し、メディカルに絞 
  り投資信託勧めている点で注目に値する。それでも、医薬品メーカ相互の競争は
  あるだろうし、更に良い製品やiPSなどイノベーションのリスクを減らす必要性はある
  のだろう。
  
(5)日本の信託投資
  アセットM.One,59.1兆円、野村47.8兆円、ニッセイ;TCWインベストメ
  トという米英日香に拠点を持つ1980億ドル(21.8兆円)など、其々の特色を強調。
  モーニングスター10年に1度の不況の後に、シカゴで体験し学んだ米人の一般投
  家の手法と、日本で学んだ下記1)項、上記の(1)(2)(3)のいずれかの選
  択、それに加えて10年に1度のバブル景気の後の崩壊=急落のあと、底値で買う投資
  家の対策を加味した下記を検討されてはいかがだろうか。
  1)円建て口座と米ドル口座を50:50で開く(為替変動のサイクルを半減)
  2)定額積み立てで外国債と国債を25%ずつ、
  3)株式も外国と国内を25%ずつ保有する。
  4)10年に1度の暴落(バブル崩壊)待ちで稼ぐ方法、(ハゲワシ投資法?)
  忍耐・辛抱だけでも立派な能力だと自覚する。米人はゼロ金利だと言われて「そうで
  すか」とおとなしく貯金し続けることはせず、最低でも信託投資だ。
   日本人はまずはゼロ金利貯金などの思考停止はやめ、信託投資がよい。頭を使わず
  それでも政治と経済が連動するのが理解できる。
  中身のいれかえや利益計算が公正で、利率通りの表示をしている検査はすべきだろ
  う。当事者が中に入らぬ第3者委員会の考えが分かっていないといわれるが。
   2008年レーマンショックでドン底になった筈と確認後、安値で買いにまわり、4割
  以上が信託投資をし、1株10ドル以下の大手銀行株などに投資して大もうけした素人
  投資家も10%以上はいた筈だ。リーマン後のCity Bank, Bank of America,
   JP Morgan、などの08~15年の株価を調べてみると興味深い。記憶だが最大のシ
  ティーが2ドルを切っえている。

誰にでも勧めうる方法ではないが、10年間は信託投資で稼ぎ、ダウやトピックが暴落したら、後の回復を期待して安く買うのである。問題は現在が中国バブル崩壊かどうか。
金融機関など、大きすぎて潰せないケースでは、政府が資本注入する大銀行の株をどん底と思う安値で買い、5~10倍の元の価格に近づくまで3~5年待って売るのも手法だろう。2008年~2010年ころの米国で見られた方法だ。

私が学んだ一般に使われた70~80年代の投資手法は、本ブログでも紹介した基本的なものである。日本のテレビでの株式データでは、1番肝心な各社のPE(PER)がまず出てこない紹介がまだ少なくないが、気がかりな点である。貯金しておくよりましな利回りになる投資環境は、自由市場を支える基本だと思うから、それを金融業や證券保険が支えるべきで、ギャンブルではないからだ。
以下は昔の基本的な考えの部分引用である。サラリーマンで時間がない人は、どこかはプロの判断を頼る部分が必要だが、数字が信用できない国は判断できないと思う。

htttp://sksknowledgetosurvive.blogspot.com/2013/05/006.html 
13506改1                                   サラリーマンでも経済的に自立できる【006】
(A)アメリカで学んだ初心者むけの投資術

ボーナスが続くうちに
いずれ日本でも経営者以外はボーナスという名の給与の遅配は消えるだろう。景気の波という不透明リスクを、正規・非正規という”人件費カットのクッションを認めたからだ。
それはさておき、やりかたは、投資対象の会社群を3種類に大別する。同じ業種でも技術に特長があるが先行きが不透明な若い会社、成長期の会社、安定した大会社の3グループに分けて、聞いた会社をどんどん社名、年月、自分が良いと思った理由を記入する。

就職したら貯金を始めて、2、3年したら株式投資を始めてみることだ。そして、ボーナスなどで多少まとまったお金が入ったら、全体の金額を9等分して株を分散して買ってみる(後述)。するとその業界のニュースは放っておいても目に入ってくるものだ。   30代で子供がいる人ならBが中心で、全投資額の3割をBにというのが目安だった。
A.ハイリスクはハイテクのような、画期的な商品やサービスがある会社。小さいか若い会社。成長による株価の上昇が目的だ。  
B.中段は成長性とある程度の安定性を備え、配当や利益率が良い会社だ。 
C.安定という言葉にはミスリードされやすいが、巨大である必要はないがバランスシートが良い。つまりは流動性比率(流動資産を流動負債で割る)が2以上、長期借入金が少ない会社である。(全体での投資額の中での比率は3角の数で決まる)。

米国での選択の基準は業種の他にはP/E(日本ではPER:株価収益率);  
A. 上述の業種カテゴリーの中でP/E30前後(利益よりは将来性など(*様々な伸びそうな業種の会社株の投資を比率で管理し伸ばす方法)で人気のある会社)。  
B. 20以下で株価があまり高くないが営業利益率(配当ではない)がよい会社。新商品や技術寿命が長そうかなどで絞る。
C.不透明な時期は大会社でも利益率の低いが配当が高めか安定度の高い会社である。 
配当率の高い順、PEの順などで瞬時にリストがでる無料の株式ページがある。この章の末に概略を述べる。 

若い人なら、持ち時間があって、ミスの取り返しができるからハイリスクの比率が大きくてもいいが、50歳を過ぎたら、安定したCの比率を増やす。 


過去の20年くらいをみると、5年か10年ごとにバブルや不況の大波がきた。手堅い方法は、ダウが明らかに下り坂に向かい始めたら、堅くて配当率のよいガス・電力、通信、食品、生保などでどれに投資するかの検討を始め、だいたい底だと感じたら買うのが米国流だ。5%から15%の年率リターンが目標である。週末などに半日でも時間を割いて、いろいろな会社の中味を調べる。すると、評価は数値やデータで行なう習慣が身につく。(定年後もこの方法で続け給料分までは無理でも、かなりの年収という知り合いがいる。ご主人もボケている暇はないらしい。)(長期チャート;www.andexcharts.com)

20代からCの安定度を重視したい人は、非常に保守的だから、起業より今の会社に働きつづける方がよいかもしれない。生き方の面でも、過去(伝統)と安定に生きるか、今を力一杯やっているか、将来を見すえて希望に生きるか、と捉えることもできる。最初は貯金の内の2割くらいから始めて、だんだん増やせるようなら比率をあげる。

注意したいのは人の持ちかける美味い話には絶対に乗らないこと。ともかく自分で考えて決めるのが大切で自立の始まりである。

納得するまで、まずはその業界を調べることである。その業界が伸びる業界かどうか。次に、なぜその中の特定企業を選ぶか。これを考える習慣がつくと、自分の仕事の将来性と、どうしても比較し始めるものです。すると、そういう業界といま身をおく業界との接点はないかも考え始め、よい影響をうけるものと考える。

信託(ファンド)でなく株式選択の良い点は、お金や会社に対する自分の考えが形成されることである。そうしないと人だよりで、自分が何を基準にして考えるのかが身につかない。最初に《どの会社が買いか》の答えを求めないで、《どの業種がよいか、それはなぜか》を考える。次にその中ではどのような製品かサービスかを考え、それはなぜかを考える。繰返して考えている内にわかってくると同時に、記録しておくとそれが変化してゆくのにも気づく。米国の投資データは充実している。
(例) http://www.marketwatch.com/investing/stock/bofi/financials                   但し、ハイリスク・ハイリターンのファンドがあり、これも、短期に売り買いせず、じっくり待てるなら10%以上のリターンになるという経済学者の意見あり
(*改1;「行動経済学の逆襲」p278;リチャード・セイラー・遠藤真美訳)
円相場歴史;http://www.pwalker.jp/rekishi.htm


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