2021年6月26日土曜日

210625  ドイツ人と日本人の生産性比較の意味(1)

 210625ー(1)

ドイツ人・日本人の生産性比較と向上策

これからはデータサイエンスが必須だという大学留学生から聞いてはいた。日本で大手電気系のメーカに働いた人に、ソフト・プログラムは外人に頼むなら、「1番高所得の仕事は米国にに頼むの」という議論になる。シリコンバレーにいた人からの話でディープラーニング協会が主観的な組織らしいと知った。別な友人は、日本のプログラマーや設計者の協会はどうなっているかと調べたらしい。彼によれば、この協会は中国のフアウエイが関係しているという。

ドイツ人と日本人の生産性比較の意味                    G7諸国と日本の1人当たりGDP30数か国との比較。だが、なぜ末尾グループに落ちたかを見れば、驚くほどの違いではないと、昔の好敵手ドイツが教えてくれる

その前に90年代のバブルが弾けたあと、起こったことも、証券会社の大手の倒産、金融業の再編や合併、リストラ・補強を図り、アジア通貨危機などで、YK年号でのプログラム変更(金利計算)くらいが未経験だったと知れる。                    米欧にまけず日本も安い労働力を使わないと競争力を失うと考えた。いずれ自由貿易ができる巨大市場の出現という演出に乗せられ、こぞって進出した。それはかさばる白物家電に始まり、テレビ、VHSへ、設計技術・製造図面ほか、経営上のデータを50:50の合弁という形で抜き取られた会社も多いのだ。                         もっと厳しいのは、本当に善意に見えて「日系の工場で役に立つよう、勉強させたい」、「共同研究」とか、「資本主義の勉強」とかの名目で乗せられ続けたウカツさだ。    研究者や学生が何十万の数で送り込まれ、こちらの費用もだして教育させ、税金を吸われている事だ。米国にはフルブライト奨学制度もあったが、米国にならい敵対しない本当の新興国に切り替えるということにするかだ。米国では時を得て、腕力でなりふり構わぬトランプ氏により、露骨に情報の基点ポスト研究所、(孔子学院も閉鎖)から追い返しが行われ、最近はフアウェイも使用禁止となり、バイデン氏も組織でフォローし始めている様子だ。半導体の設計、製造を守れさえすればよいのだ。大本の設計ではArm社、インテル、シノプシスなどが標準は抑えている。ここは自由陣営が渡せないという部分は、一部変更して、そこを触れなくすれば良いのだろう。

自由貿易でと、商売だけは自由、あとは不自由(国内法で守る自由)を主張し、乗せられる。指導員を出せとか設計のできる人間もよこせと言われたら、その会社の製品は逆輸入は禁止する覚悟した方が良い。ドイツがやらたソーラーパネル同様、値段だけで逆襲され、品質を落とした製品で、アフターサービスなしで不良品の山にされる。もう一つの心配は、日本のメーカが真似をして、検査基準を下げて摘発され始めた事だ。大概が中国の工場を造って感染させられたのだ。

領土問題で尖閣を実効支配されつつあり、台湾を失えば製造業も危機になるから、日本でも半導体、先端技術、特許他、人材を含め、同様な歩調が始まるだろう。インフレが追いかけてきて、いずれ株式投資にもブレーキがかかると予想される中だ。中国に狙われEU市場を守る時に、ドイツが標的にされたのとそれ程の大差はない様だ。(カッコ内、着色は編者)

 いまドイツと日本が生産性を比較する必要があるのか

ドイツに限らない欧州が、製造業・ソフトで優れているものは、(昔からそうだが)、医療・薬学、油圧機器や建機、会計システム、3Dプリンティング、ドローン、人型ロボットなど。ドイツの銀行株を経営に影響する比率で抑えられたとも聞いたが。            国家全体の企画や財政を考える部分は、極論のそしりを怖れず単純化すれば、「(外来)憲法があるから何もできない」という声が、「やらない理由」にふえた

平和の対価と慰めるほか無いのだろうか。しかし、総括するべきは政治リーダの仕事だ。 偶然かは知らぬが敗戦国同士のドイツと日本の生産性に関する著書が、2か月違いで現れた。しかも「ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一の成果を出せるのか」熊谷徹氏、「ドイツではそんなに働かない」隅田貫氏と同年配の2人の長期の生活・就労によるものだ。前者はNHKの報道業からフリーランスで車産業都市ミュンヘンに、後者はメッツラー・アセットマネジメント社;投資アドバイザーで金融中心フランクフルト市に在住。       それに長期に米国にいた最近まで、なぜ米国の金融・経営・投資などでは2%+の差を付けられているのかが気になっていたのは事実だ。

 ドイツ人と日本人の、人口と1人当たりのGDP比較

項目/ 国名

ドイツ

ドイツ

日本

日本

人口

83.5百万人

100

126.1百万人

100

労働人口

43.4同上

51.9

68.3同上

54.2

非労働人口

40.1同上

48.0

57.8同上

45.8

GDP/人;  独日比較

55.9千ドル

 100%  2国対比

42.4千ドル

  75.8%    2国対比

22冊の著書の数字を、そのまま使ったため、また非労働人口は労働人口を差し引いて求めているので、若干の誤差は有ると思われるが、約2.2%の非生産層が日本の方が多いのは、自分もふくめ、高齢者層が多いためだけか考えてみたい。

 両氏がともに、ドイツ人は休んでから働くとか、働き方が違うと述べておられ、それは調べる理由がありそうだ。(なぜなら大企業に勤めた30代に、不覚にも、私も有給の未消化が多いとトップから注告され、NY市から戻り直ぐにシスコまで旅をした覚えがある。)

 働き方か休暇の違いか

通勤の違い;ご両氏ともに取り上げて比較している。これは大都市に勤めるか否かの違いが注目されるが、勤め先というより、交通機関の違いともいえる。大都市でなければ日本も欧米も変わらない。電車で往復する場合は、平均片道1時間で毎日2時間が往復時間にとられるか、車で片道15~30分という違いである。                     そういう違いは、国全体の就労者では考えるほど大きくない。

「時は金なり」のドイツ人;

通勤距離つまり時間は、大企業ほど勤務地が都市部になり、公共機関をつかい片道1時間の日本か、30分以内のドイツとの違いになる。しかし、大多数の就労場所へは、両国ともに圧倒的な数が車通勤をおこなっており、さらにバスや自転車を組み合わせている。

熊谷氏は就業場所への通勤は、車の場合も駐車料他を加えると、バカにならないため、日本では給与のなかに含まれるが、ドイツではEUのルール(勤務は会社の場所から始まる等)で交通費は会社が補助という考えのようで複雑化するので省く。                 国全体で見ると、首都圏で働く人口より圧倒的多数が地方勤務であるのは日独とも変わらぬが、ドイツの通勤時間は130分以内という生活である。(この点は米国も同じと考える。)

休暇と毎日の家族の団らんが生活の目標

休暇の平均は何日か                                ドイツでは年に平均で2728日、一般的に有給休暇は1度か2度でまとめてとる。日本は20日と言っても半分以上まとめて休む人は、歓迎されなかった。(これから人材不足になれば、直ぐに変わるのではないかと感じた。)

その間、その担当する仕事は代行されず、復帰までまつ。サービス業的な仕事はチームで動かしているので、定期点検の顧客の工場の修理日などは、その期間の休みを避けるか、あるいはチーム内の代行者が対応するので、若干スローになる位だという。                日本のように有休は10日から毎年増え20日になる上限がないばかりか、仕事の都合で纏めてとるなという同調圧力はない。

l  ドイツでは残業はゼロという事ではないが、原則としてやらない

「残業する人間は仕事の能力が低い」と看做されるばかりか、何が理由で遅いかは、上司の注目点になるという。日本のように勤務時間後に会社に居ることは、ネガティブにみられるのは、夕食は家族ととるという生活習慣があるが、ドイツに限らず英国も同じという。これらは米国も似ており、安月給を補うために残業するという発想より、東南アジア人も、一寸高ければ移るというから、日本がガラパゴス化しているのかも知れない。これからは、欧米風の雇用に切り替えた方が良いと思う。

l  テレワークに利点を見出したドイツ人                       ドイツ政府は127日から、315日まで政令で企業経営者に、業務上の制約が無い限り、社員にテレワークを許可するよう命じた。目的は感染防止だ。             欧州ではテレワークが盛んだったが、ドイツは7%、英国20%、仏15%と出社に意義を感じていたが、モノずくり大国であるためだ。                    今回のコロナでデジタル化が進み、生産性はテレワークの方が「遥かに高い23%、やや高い34%、同じと答えたが31%となり」、テレワークを部分的にでも維持したいワーカーが増えた。日本では大企業の55.2%、中小は26.2%がテレワークを実施した。

ドイツでは部下の健康を守らぬ上司は降格され、従業員の健康維持気味がある。       ドイツは「無言の圧力」が日本より少ないという。

 2020年のテレワークを時々経験した社員は62.4が賛成し、長時間の社員は76.9%が続けたいといっている。                                    デジタル化に好意的な社員が、コロナ禍前の35%から、コロナ禍後48%に増えた。   「業務上の理由とは、技術的な制約、業務上の理由の有無」だという。

テレワークを許可しないと罰金刑で、事業所監督局か社会保険の運営機関に通報できるという。政界・経済界・労組の三つ巴の論争が起きていた。2011モバイル・ワーキング法案が提示された。ドイツは働きすぎ防止で、自宅の方が長時間になりがちという調査で、区切りがつくまで働きがちの弊害が指摘され110時間を超える事を禁止されている

 週日を日本は「平日」、ドイツ語では「働く日」という                 熊谷氏は日本人の綿密なすり合わせの性格が、長時間労働・健康に心配という。     隅田氏は「仕事が生き甲斐」から「生活と本当の豊かさを」という。            移動時間を電話会議に頻繁に使う。これは管理職的な人たちが主として行うという事だろう。

労働時間の差              

項目/

ドイツ;US$

日独比較

日本;US$

日独比較

GDP/1人

55,891

100

42,386

75.8

労働力人口

43,380千人

100

68,300千人

157.4

年間労働時間/

1,363時間


1,680時間


(総務省(2020年、World Bank, 2019OECD

(夜の夜中までお客の便宜のために、自分の時間を売り、労働単価を下げてどうするのかという考え。コロナ後、大きく変化するだろう。)                                          

(これは50年前の米国の70年代に共働きが増え、日曜日に教会に行かなくなり、7時から11時のセブンイレブンが全国に増え、便利さが広がって家族の団らんが壊れたのかも知れないと感じる。社会の前に家庭がこわれ、欧州式の優先順位が、金銭優先に変わりすぎたのではないか。高校でのマリワナ使用がふえたのは事実で、日本人だけが隣人との交流から外れ、子供たちが淋しくしてきたのかも知れない。)

 人は人、自分は自分というドイツ人と同調圧力の日本

隅田氏は日本の駅では、ひっきりなしに入って来る電車のアナウンスがあるが、ドイツでは列車が来るときに早口でアナウンスがあるだけ、定時に定位置に止まることも無いが、賑やかすぎて日本のほうが疲れるという。車にたより、めったに電車に乗らず済んだ米国でもドイツと同様である。

「自立・独立」は「自由時間の価値は金より大事」との意識が生産性に直結

日本は子供を大人と一緒に同じ場所で、同じことをするのが家族と考えるが、ドイツ人は大人と子供は別のグループと考え、大人はしっかり仕付けをする義務がある。暴力は使わないが、しっかり社会のルールを説明し、その理由も答える点で、日本は政治も説明不足で、「ルールを作ること」自体が目的になっていると隅田氏はいう。作った結果は、適切だったか、変更や撤廃を考えないのかと。                         メッツラー社は300余年の社歴のある家族経営の投資会社で、トップに挨拶に行くと、「会社の目的は独立性を保つこと」だ(他者に株式を売り巨大化する事ではない)。顧客の市民に良いと思う事はすぐ実行してくれ。「明日から、早速」と答えたら「なぜ、今日から」と言えないかと云われた。                               歴史ある会社でも、変わることに躊躇はないのだ。ピラミッド建設ではないから、木像建設の職人の技を受け継がせようとしても、職人が受け継いでくれなければ、子供の作り方から教えないで、いじめて殺すのを放置して、どういう教育なのだろうと外国人は考える。  守ることはあるのだが。学んだのは「現場の自由度の高さだった」という。日本のように逐次報告・連絡・相談も不要。上司のお墨付きは不用だという勇気と責任感がいる。    今回のワクチン騒ぎで、文書引継ぎや報告書がいかに時代遅れか、デジタル化とデータなしでは常に2週間遅れになると、行政も骨身にしみたのではないか。言葉の定義のちがう専門家が集まって議論しても、統計・数学者や社会心理学の専門家の仕事かも知れないのだ。)

それでいながら、ドイツ人は勝つことには徹底してこだわる。スポーツもビジネスも違反ぎりぎりで勝負する。「忖度」し過ぎて「同調」し、「協調」をしない日本と違うという。(それでいながら自分だけでシュートするが、シュートの上手な仲間をゴール際に走りこませ活用せず勝てなかった90年代のサッカーを思い出した。)

 ドイツは「仕組み」に金と時間をかけ、20年で生産性アップ

ドイツで父親が育児休暇を取得したのは35.8%で、平均賃金(手取り)の67%が支給され、託児所に預けても、預けなくても手当てがでる。                (編者;日本は2019年で7.48%であり、少子高齢化の原因かもしれない。)     ドイツの生産性は20年前までは10位以内にも入っていなかったが、シュレーダ時代にハルツ改革を行い、大幅な改善をしたようだ。

⓵ 雇用促進の職業訓練、雇用斡旋の強化                       ② 労働市場の規制緩和                               ⓷ 解雇制限の緩和                                 ④ 失業保険の給付の縮小                              が失業率を大幅に下げることにも繋がった。

 報・連・相・会議は要るのか?                           上下の地位の差をフラットにし、誰とも廊下で挨拶や声がけする習慣を作る。      上司のあいまいな指示には徹底して質問し、なぜ、今すぐ、実際は何時まで、水増しを許さず、不必要な指示を減らし、出来ない要求は断れる関係にする。            海外ではスペシャリストになるのが一般的で、ジェネラリストが増えるから忖度が起きるのではないか定期異動というのも、ジェネラリストだから出来るのではないか。

「決められない会議をしない」                            どんな会議も30分か1時間くらいで結論が出せ、よほど長くても2時間。ミニマイズされた会議に議題を絞り結論する。(これは異論があるかも知れないが, 日本のような情報交換という要素は少なく、各人がマーケッティング、セールス、修理サービス、クレームなど機能別のプロ的な特色をもって分担している)

メッツラー社では89人がチームで働き、89割が自分の仕事、1~2割が仲間の為という仕事で、殆どが上下関係のないフラットだ。日本人との違いは自己主張が強く、優先順位が明確という違いがある。社内外交で日本食に誘い、文化の違いや、日本との仕事の進めかたなど理解すると協力を得やすい利点があったから。

ドイツでは10歳で進路をきめる

著者の13歳の娘さんはインターナショナルスクールに通い、「原発は是か非か」という議論をしていた由。日本では想像が難しいが、ドイツでは10歳で自分の進路を決める。6歳で小学校、4年間の義務教育で、5年生になる時に次の選択が行われ、一生懸命生きることを学ぶ。

⓵大学進学のギムナジウム、                               ②専門大学を目指す実科学校、                            ⓷職人、行員を目指す本科(基幹)学校の人生の選択をする。

これは社会の雇用習慣が変えられる優れた経営理念というより、⓵子供のころ、キチンと整理整頓をしつけられ、②10歳までに子供の適性や好きな分野を選択するドイツ式のほうが、全員が平等と社会科や理科の全科目を教えて、減点主義でふるい落とす教育より、優れていると感じる。

ビットコム・リサーチ社による20年10~11月の16歳以上の会社員1503人に電話調査によると、コロナ禍まえの「もっぱら在宅勤務は3%」、「部分的な在宅15%」合わせても18%だったが、それがコロナ禍の現在それぞれ25%、20%で、合計45%になっているという。詳しくは、ご両氏の著書をお薦めしたい。(続き)


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