2015年6月13日土曜日

15208 南海人工島と集団的自衛、(法治対アナキー)


15208

南海人工島と集団的自衛、(法治対アナキー)

南シナ海での中国の不法埋め立てにたいして、ユーチューブでの議論には失望したが、編者も存じ上げる薮中三十二教授の講演と著書「日本の針路」(岩波書店)概要の1部を下段に引用させていただいたが、説得力がある議論が展開されている。

もう1つは同じ中国の計画する中欧シルクロード鉄道計画で、これが完成すれば、欧州市場への陸路輸送が可能になるが、海上輸送よりは輸送費は高くなるだろうが、経済性より政治性の方ではないか。幾つかの予測がある中で、真面目な議論と思われる1つを参考までに;
迂回路も危険

China to Build Military Facilities on South China Sea Islets具体的には何ができるのか
滑走路建設 6月16日WSJの警鐘
( PHOTO:REUTERS/CSIS ASIA MARITIME TRANSPARENCY iNITIATIVE/DIGITALGLOBE/
HANDOUT)
中国が人工島を造るのが合法であると仮定すれば、どこの国が造ろうが許されるべきである人工島をつくってはならないという法的な根拠が明確ではないという、どちらかといえば現状容認『仕方がない』という意見が許されるとすればである。しかし南シナ海は中国の領海であるとする意見は中国以外にはないからだ

侵略でも強奪でもないなら、誰がやってもよいといえる。中国も止める権利はあるまい。そこで、フィリッピンの西沖の浅瀬や島嶼を中国式の大きな島に拡大し、監視と漁業他に利用する拠点を造ろうという国が単独かグループかで始めという考えがありうるだろう。米国もそれなら賛成して参加できるかも知れないし、民間がやるのもよいだろう。アセアンの周辺国がみなで参加してはどうか。

薮中教授の提言

(シカゴに滞在された元外務省事務次官)薮中氏がインディアナ、イリノイでの講演にみえ拝聴の機会があった。)
部分の概要を述べる;
『まずは国際社会での世論戦に勝つこと。中国は手順をふんで仕掛けてくるが、第1ステップは「日本が尖閣を国有化し問題を引き起こした」の大合唱。こちらは平和の話し合いをする用意があるが、日本が拒絶していると宣伝。
第2段階は、過去を美化して戦争責任を回避している。(つまり問題を起こすのは日本で中国は被害者。中米は仲間として戦勝国同士で、1緒に対処すべきというパターン。

これに対して日本の主張は、第1段階に対しては、① 中国の軍拡に対し、日本は戦後70年平和国家としてやってきた実績、② 尖閣は日本領として19世紀から明白で、沖縄返還の際尖閣が日本の施政下にあると認めている、③中国が現状を変更しようと、尖閣に上陸し、漁船が日本の海上保安庁の巡視船に体当たりをするなどがある。
(これはリークされた動画記録がある。無論、中国は1949年建国以来周辺国との国境をめぐる紛争や朝鮮半島での戦争などの経緯がある。カッコ内は編者の追加意見)

第2段階として、日本こそが平和のために貢献していることを主張し、① 平和のための緊急連絡体制の確立、② 海洋平和維持のためのルール策定の呼びかけ、③ 「東シナ海を平和・協力・友好の海」とするために油・ガス田共同開発の呼びかけ、などを提言しておられる。(詳しくはp178~薮中三十二「日本の針路」岩波書店))

しかし急がねば既成事実を急いで積み上げる相手に対しては、間に合わないかもしれない。
外交面でギリギリまで交渉して、駄目なら集団的自衛しかないが、政治家や行政官、それに市民の声をのせて世界に向けて発信する努力はせねばなるまいと思う。

読者の皆さんも機会あるごとに選挙区の議員にメール発信で、ご意見を寄せていただければと思う。今は、個人で発信する声を無視できない時代になったのだから。

堀江氏は優れた人であろうが、例外があるからと言って法律に意味がないということにはなるまいし、法の意味を否定している場合ではあるまい。
法治しか世界の安定はないと確信するし、『「中国の司法は必ず(共産)党の指導の下になければならない」とも、王書記は語った』という(日本経済新聞6月7日、2015)
これでは公正な法の運用は期待できない。

アナキーから右翼の台頭にさせないために

せっかくの知名人をよんでも議論で盛り上がらないショウを動画で見た人も多いはずだ。
ユーチューブで私の好みでなく確信犯のように、相手の話にわりこんで、一方的なことばかり主張する女性議員に加えて、堀江氏という奇人、そこに青山氏という数少ないまともなジャーナリストの議論をみた。聞いたといえない相手を矮小化する言葉のプロレスショーともいえ、お互いにずれた主張しあう残念なものだった。(https://www.youtube.com/watch?v=0mSyr_Ohfoc)

戦前から戦後へ日本の検察は生き延びたという主張で組織のために組織が存在しており、国民のためになっていないという主張。メディアの左翼は喜ぶだろうが、主導権を持ちたいのだろうが
期待した議題に関係ない話である。
それに、どう変えるべきかかを主張しなくては、建設的な議論にはなっていない。お互いに歴史を持ち出したり、現状のルールの1部を持ち出して、相手の議論を混ぜ返したり話の腰をおることばかりで、司会者がきちんとコントロールできていない。

法律をすり抜ける人間がいるから、法律をつくる意味がないという堀江氏の主張は、いささか暴論で、極論すれば北一輝にも似て法治国家を否定するものである。これは戦前のアナキーに繋がるもので、反政府の極右に発展しないかと気になり始めた

青山氏の『それでも99%が法律を守るならそこに意味がある』というのは、私には論旨が通る正論である。1%のスノーデンのようなハッカーが抜け穴を探すなら、その穴をふさぐ技術を開発するか、その人物を逮捕するしかあるまい。法の隙間を見つける技術知識があれば、隙間を通り抜けてよいという議論にはならないのだ。

いずれにしても、こんな島が出現しているときに、こんな議論をしている場合ではないだろうと感じるのだが。
一寸、例がちがうが、まるで慰安婦の問題とおなじで、放置すれば、その内に100年前から自国の領地だったといい始めるだろう。
もっとも、現在の本土でさえ逃げ出す人が多いから、不慣れな暑い海洋で水も不自由な場所に、どれだけの中国人が住みたいと思うか。結局は住人は海賊だけということになるかも知れないが、これは別な問題だ。

下記の表題だと、アメリカが中国にたいし挑発しているように読めるが、事実は中国が南シナ海のフィリピンに近い領海の浅瀬に、既成事実の島をつくっている最中で、米国がそれに抗議をしているのを、意図的にこういう表題に変えたものだ。こうした中国の強引なやり方は、放っておけば更に拡大すると思わない人は、日本でも少ないだろう。
中国からEUまでのシルクロード鉄道は、南海諸島の目をそらせるフェイントでもありうるし、ロシアをそちらに追い込んでいるのもアジア市場が重要な日本にとっては無視できないが、とりあえずは南海の人工島の中止が優先だろう。アセアン諸国が一丸となって対抗するほかないだろうか。

『中国VS米国。戦争をする気もないのに挑発する理由とは? 
201563 351
アメリカと中国の軍事衝突が心配される南シナ海問題。前CIA副長官らも開戦に至る可能性を示唆するなど、いつ紛争が発生してもおかしくない状況にあるような印象を持ってしまいますが。『未来を見る! 「ヤスの備忘録」連動メルマガ』に、「アメリカによる中国挑発は、現在仕掛けているとある国の政変から世界の目をそらすため」との情報が。ウクライナの次にターゲットにされた国とは? そしてなぜアメリカはまたも政変を仕掛ける?

なぜアメリカは中国を挑発するのか
すでに日本でも大きく報道されているので周知だろうが、中国共産党機関紙である人民日報系の日刊紙「環球時報」は525日付で、「米中が南シナ海で軍事衝突する可能性が大きい」と題する社説を掲載した。米軍が「挑発」と「侮辱」を続けるなら、「中国軍は尊厳のために戦う」としている。

いま中国は、領有権を主張している南シナ海の南沙諸島の永暑礁(ファイアリー・クロス)で、本格的に埋め立て作業を行っている。滑走路なども完成間近の状態だ。中国のこうした強硬な動きを米軍は監視を続けており、中国が埋め立てを続けている空域で何度も偵察機を飛行させている。メディア関係者を偵察機に搭乗させての取材も行った。

(こうなると、この海域での現状変更に対し、どういう手がうてるのか、その前に中国が財政破綻をおこさない場合はどうするか、なかなか目が話せない。
中国が軍港のために過剰な鋼材を買って投資したという見方もありうるだろうが、その投資額や資金の出処が分からなければ、だれが売り誰が買って、誰が造ったのか不明である。みんな国有企業であれば不透明で、素直にこれが投資資産とはみなせないから、かなり財政的にゆきずまっての強引な対処であるとも見える。)






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