EUの難民・中東と防衛問題
(危惧していたことが起こっているEU)
シリア難民の受け入れ問題が拡大してゆく中で、11月13日パリ中心部での同時テロでは129人の死者をだし、テロ対策が欧州の最大の関心事に変わった。そして、シリアから脱出した難民は、先に着いた人達の情報をたよりに、期待した処遇が受けられないと知ると、暴徒と化しつつあるように見える。
事前に受け入れの条件を各人に十分理解させ、それを受諾しないものは入ってきた国境にもどすという国としての腕力(法治強制力)もみせる必要があったのであろう。
事前に受け入れの条件を各人に十分理解させ、それを受諾しないものは入ってきた国境にもどすという国としての腕力(法治強制力)もみせる必要があったのであろう。
ケルンでのレイプ事件(追2)(https://www.youtube.com/watch?v=THx7iyqw4DE)
折角難民の命を救おうと受け入れたにも拘わらず、その内の何人かがケルン市でドイツ人の女性を取り囲み、性的な接触をし、婦女暴行に及んだという事件が起こった。積極的に受け入れようとしたメルケル首相は窮地に立たされているという。それが拡大したのか、スウェーデンにも拡大したのか、同様な事件が起きたという。昔は文化が進んでいた時期もあったと聞くが、その後おくれた後進国になってしまっていたのだ。
受け入れたら、国の文化や法についても教育し、刑罰もきびしく遵守させるべきである。
(暴徒と化す可能性を感じられる避難民について;英語https://www.youtube.com/watch?v=THx7iyqw4DE、1月18日)
シリアでのIS問題
米国での報道をすべて聞いていた訳ではないが、先週まで2週間ばかり訪日して、日本にいても入ってくるニュースも大分多様化してきたと感じたのは嬉しい。
永年シリアは独裁的なアサド政権で、国内が内乱状態になっていた。
アサド政権を助けるか、反政府グループを助けるかでは、大国の内政干渉だから、国防では米国と安保同盟をむすび同盟国支援するかの議論でもあれだけの騒ぎになる日本は、せいぜい中立な立場をとるしかあるまいと考えていた。
シリアの西部レバノンの歴史をのぞけば、この辺りが複雑な宗派の争いのあった地域だとわかるからだ。
アサド政権を助けるか、反政府グループを助けるかでは、大国の内政干渉だから、国防では米国と安保同盟をむすび同盟国支援するかの議論でもあれだけの騒ぎになる日本は、せいぜい中立な立場をとるしかあるまいと考えていた。
シリアの西部レバノンの歴史をのぞけば、この辺りが複雑な宗派の争いのあった地域だとわかるからだ。
そこへISによるパリのテロである。これはフランスだけを狙ったものか、EU各国へ拡大するかは分からない。アラブ社会とシーア派・スンニ派の国別の違いを理解するために何冊かを読んでみた。(写真はベルギーのブログ;http://yurukuyaru.com/archives/48503708.html)
(私は国際社会には何が正しく何が悪かは、不透明だと思っている。国際法を学んだ半世紀まえから、強制的な司法の力の及ばない部分は、武力解決(つまり戦争)しかなく、それを避けるには集団的な防衛をするしかないと考える。 これとて5常任理事国の1国がNoといえば合意できないからだ。)
中でも分かりやすい新書は『大世界史』(池上彰・佐藤優)があり、これはアラブ諸国の動静を理解する上でお薦めである。(表はそれから要点をまとめたもの)。その前に背景としての世界史が頭に入っていると理解し易いが、マクニールの世界史(上下)などを読むと分かりやすい。EUについて詳しくは今年でた『新・100年予測』(ジョージ・フリードマン)を薦めたい。シーアとスンニの違いは末尾。
(私は国際社会には何が正しく何が悪かは、不透明だと思っている。国際法を学んだ半世紀まえから、強制的な司法の力の及ばない部分は、武力解決(つまり戦争)しかなく、それを避けるには集団的な防衛をするしかないと考える。 これとて5常任理事国の1国がNoといえば合意できないからだ。)
中でも分かりやすい新書は『大世界史』(池上彰・佐藤優)があり、これはアラブ諸国の動静を理解する上でお薦めである。(表はそれから要点をまとめたもの)。その前に背景としての世界史が頭に入っていると理解し易いが、マクニールの世界史(上下)などを読むと分かりやすい。EUについて詳しくは今年でた『新・100年予測』(ジョージ・フリードマン)を薦めたい。シーアとスンニの違いは末尾。
アラブ国名
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イスラム教派
スンニ派
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イスラム教派
*シーア派
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政治
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注記
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イラク
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少数
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*多数が支配
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不安定
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故サダム・フセインはスンニ派で少数派
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イラン(元ペルシャ帝国)
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*多数が支配
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米国と核兵器非開発合意
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サウジ
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フーシ攻撃;ホルムズ湾岸5カ国
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シリア
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大多数
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不安定(内乱)
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アサドはアラウィー宗派(輪廻回生が混じる)
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トルコ(元オスマン帝国)
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大多数
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イスラム化中
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政教分離(軍が監視)
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イエメン
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暫定大統領
(国外) |
*武装フーシ(シーア派)
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不安定(内乱)
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スエズ運河出入り口
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(注; イスラム教が多数を占める国でも、人口が多く民主的な選挙が行われる国では、政教分離を政治体制としてとるが、数は少なく、トルコ、インドネシア、マレーシアなど限られている。先進国で民主的な国はみな政教分離をとっている。政教分離は国と教会の分離であるなら、他宗教を認める国は分離するので、イスラム教徒は先進国に移民しながらテロに参加するのは許されなくても仕方ないと思うのだが。)
オバマ大統領は、米国軍をイラクとアフガンから引き上げると表明し、2008年のサブプライム不況から回復後、遅ればせながらも実行に移していた。
その武力統治の空白ができたのを利用して、イラクでサダムフセイン側にあったスン二派の残党兵士グループが、イラク北部の油田を乗っ取り、トルコやイラク北部のクルド人達と反政府の対立をした。
サダムを追放しても、<まずはイラクを安全な国にする統治にはスンニ系の経験者(軍人・警察など)は活用すべきで、多数派のシーアに任せたのが米国の政策の誤りだった>という元米軍リーダーだったぺトレイアスなどの意見もある。
反トルコや反イラクの独立グループが旗揚げしISと名乗り、失業率の高い欧州の若者もネットで募集し、ムスリム(イスラム教徒)による国際組織化を始めた。そして、イラク北部の油田をめぐる争奪戦のすえ、シリア北部に流れ込んで地域を占領し始めた。
長期にわたるシリアの内乱で経済が困窮した人々は、教育のたかく資金をもつ層から順に、EUに逃亡するのは止む終えない。受け入れ国がドイツを中心としたEUであるのも理解できる。ドイツはトルコからの労働者を受け入れて経済を伸ばしてきた評判もある。
(不況になりトルコに帰国させるために、ドイツ育ちのトルコ人の子女にトルコ語学校をトルコに造るなどの協力したといわれ、半端でない責任の取り方だと感心したからだ。)
シリアの難民の受け入れは、労働者を増やすメリットもあるし、人道的な立場からも、ある程度は受け入れざるをえないのだろう。
(不況になりトルコに帰国させるために、ドイツ育ちのトルコ人の子女にトルコ語学校をトルコに造るなどの協力したといわれ、半端でない責任の取り方だと感心したからだ。)
シリアの難民の受け入れは、労働者を増やすメリットもあるし、人道的な立場からも、ある程度は受け入れざるをえないのだろう。
EU内での国境は再現し通行が規制される?
だがその人数がどんどん膨らんで100万人をこえるとなると、受入国の財政を危険的な状態にさせることがわかる。EU内は人・もの・金の移動は自由とするシェンゲン条約があっても、ハンガリーやポーランドなど懐のゆとりが少ない国は、早々と受入れを拒否し始めたのも無理はない。つまり難民受入れでは、EUは内部で国境が復活しはじめた。
だがその人数がどんどん膨らんで100万人をこえるとなると、受入国の財政を危険的な状態にさせることがわかる。EU内は人・もの・金の移動は自由とするシェンゲン条約があっても、ハンガリーやポーランドなど懐のゆとりが少ない国は、早々と受入れを拒否し始めたのも無理はない。つまり難民受入れでは、EUは内部で国境が復活しはじめた。
EUでは国境の仕切りが高くなる理由は、フランスのように人口の7~8%もイスラム教徒が増えてしまい、20%をこえる失業者の多くが元アフリカの仏領植民地からのイスラム移民で、刑務所にいる犯罪者の70%がイスラム系といわれる。更にベルギーにもイスラム系の町ができていると、EU内の自由な移住を許せばテロリストの防止は非常に難しくなるからだ。
今朝のCNNによると、50ドルでイスタンブールまでバスで行き、シリアで銃の扱い方やテロ行為まで訓練されて戻ってくると、それを監視し、テロを防止するのは非常に難しいとフランスの外交官は述べている。
共通通貨ユーロをもつ意味は、域内で労働者が自由に景気のよい国に移動して就労できることだが、移動できないと経済的な発展の差がでても、赤字財政国のつけだけをメンバーで分担融資させられるのではEUの意味が下がることになる。岩井教授はここに矛盾があるという。
ウクライナでは東半分はロシア人が多く、優れた鉄の生産と機械類の製造をしていると聞いた。これはロシア正教とカソリックの対立があるが、余りひどくなってイスラムが侵入してくるのだけは抑えたいというのが、ローマ法王のプーチンとの合意だろうと上述の大世界史はのべる。
EUとしては通貨ユーロの使用国がふえれば通貨の影響力が広がるから嬉しいが(通貨とは飲み屋のサービス券の要素もある)、ロシアとしては『はい、どうぞ』とはいえないだろう。
ドイツの軍事産業が2010年に外国に輸出した武器の総額は21億ユーロ(2100億円・100円換算)。ドイツの最大の顧客はポルトガルで、輸出額の39%を占める。ギリシャも輸出額の19%「お得意様」だという(欧州の武器輸出)。ドイツの武器輸出はウクライナの輸出とぶつかる部分がでてくるだろう。
オイル価格が暴落し産油国の動きが変わる
上に述べたスンニとシーアとの対立に加えて、産油国のサウジとイランの対立や、ロシアの支援動向も加わり、その予測を難しくしている。はっきり対立しているのは、ロシア対トルコ、サウジ対イランだが、生産過剰な産油国としては価格を上げたいが、オペックが機能せず、中東の外にいる武力大国米ロ中の政策がどう変わるかでも、それぞれの動きに変化があるだろう。
中国は中東へも膨張している同国の輸出先が中国だということになると、ロシアと中国とのバランスやアジアでの影響がでてくる。中国が欧州とのシルクロード計画でも要地として交渉中らしい。
ロシアとEU(ドイツ)とそれぞれが競争で資金や武器を輸出しているが、EUは内紛が起きたら、国ではない経済共同体だから兵士を送り込む覚悟はなく、仕方がない米国に頼みますという姿勢だ。米国としてもドル圏になる訳でもないなら、米兵を送り込むメリットはない。その点で非常に不安定な状態にあると感じられる。
ミャンマー北部の中国の国境地帯では通貨は人民元になり、中国人が石油・ガスのインド洋への縦断パイプラインの建設で移住してきて、中部の主要都市マンダレーも中心部の建物を次々と買収し、『マンダレーの死』という歌がはやったと報道されたのは2年ほどまえの話しである。
これは東南アジアでもアフリカでも起こりつつある縄張り争いであり、そこでは、評論家が単純化して、どちらが正しいかなどというほどシンプルな話しではないのだろう。
日本の”清く、正しく、美しく”の方々に1つ覚えておいて欲しいのは、地域の警察官・保安官の役を自任する大国は、それぞれの国の法律に則って実行するのであって、それは残念ながら必ずしも国連のPKOではないということ。つまりは母国が法治国かそうでないかで、国益や集団の利益だけで行動する事例もあるので混沌カオスである。
”国連の人権”を無視する集団や国をどうするか
『緒方貞子回想録』(MH氏より寄贈を受けた)で強く訴えておられるが、緒方氏は「難民の支援は、開かれた目と体験をもって外国の悲惨な姿をみることで、どれだけ日本の国内を変えていけるかという問題だ」。日本が80年にインドシナから500人を受け入れたと述べておられ、この人達が満足して生活しているのを祈っている。(インドシナ難民)
「世界のどこかで人権侵害があったり、無視される場合、これを批判する用意がなければならない。これは国連という場にゆかないと見えにくい」という。
「集団的自衛権での日本は平和外交をする以上は、PKOでは積極参加すべきで、金だけ出して身の危険を逃げるのでは、日本の平和主義は次元が低い」というのも、キビしい開眼させられる1言である。発言しても行動できないのでは、人権は2の次ということか。いずれも意見を発信する勇気をもたねばならないという点が欠かせないと感じる。
無制限な自由を主張する大学は田舎に、飲み屋は会員制か
一寸オーバーな私見をいえば、観光で飯をたべる都市は、来る人はできるだけ自由に好きなように生活してもらえばよいという経営をしたい。そこで人権を重んじて表現の自由は文化の源という看板をたてる。これは「思想の自由と大学の自治」を主張する大学も同じである。
すでに米国では、『大学の自由は、卒業した生徒たちを危険な社会に送り出すには、十分でない』という意見があり、これは別に述べたい。
すると飲み屋街の周辺の住民には、左翼や右翼の危ない思想の持ち主が集まりやすい。飲み屋街と一緒にする気はないが、大学も思想の自由という看板を下ろせないなら、大都会をはなれた安全な田舎にうつるべきであろう。大都市の治安のためでもある。
素性の分からぬ者は、登録させろというのがドイツなら、パリなどはその正反対に見える。それで自分たちを否定するような人達が入ってきても防ぐ方法がなければ、国境を厳しくするだけでなく、会員制でCCDカメラで監視し、爆破やテロ行為の防止に金をつかうしかないだろう。
ベルギーは英仏の永年の天敵関係をやめさせるクッション国らしいが、ここがテロリストの拠点になるのをどう防ぐか、猫(写真)では警察もご不満のようだ。( )
話しがとぶが東京や京都、名古屋などにある大学は、遠隔地でも飛行場か新幹線の駅に近い東北の山間部などに大きな土地を買って移転させれば、テロの温床となる大都市からはずれ、暫くは大きな土木建設の需要も創生できるのではないか。
シーアとスンニの違い;1500年ほど前に、ムハンマド(マホメット)がイスラム教を始めたが、ムハンマドの死んだ後の後継者をだれにするかで対立が起きた。ムハンマドのグループでムハンマドの次に力のあった人を後継者とする(スンニ派)か、ムハンマドの子孫を代々後継者とする(シーア派)かで後に戦争になり、それが今でもつづいている。
イスラム法においては、コーラン(神の言葉)、スンナ(ムハンマドの言葉、協約、慣習)、イジューマ(地域ごとの協約)、キャース(応用)からなりたっており、スンニ派においては、コーランとスンナは、変更できない。
一方シーア派においては、イマームにムハンマドと同等の権利が有るためスンナの変更がイマームによって行われる事が可能であるため、慣習やイスラム法の内容がスンニ派とシーア派では変わってきてしまい、簡単に統合できなくなってしまった。(http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2650327.html)
(参照ブログ;14072ウクライナ危機ーオバマ政権の外交と日本)
アゴラで矢澤豊氏「ウクライナ危機ーオバマ政権の外交戦略不在とこれからの巻き返し」、またロシアに詳しいNY大元教授コーエン(Stephan Cohen)氏のYoutube(英語)、元米大統領の補佐官ブレジンスキーの座談Youtube(英語)などを併せ、やや衡平な意見に接近したと感じたのが現状である。(https://www.youtube.com/watch?v=1z6_5Vd8R5M)、(https://www.youtube.com/watch?v=jnXaFMFU3v4 )
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