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本気で米国で影響力をもつなら海外派遣期間をのばそう
3年では短すぎる滞在とローテーション
何度かとりあげた問題だが、就活の活発なこの時期に再度取り上げておきたい。
それは日本人の”海外経験者”の考え方が、どうしても守勢に回ってしまうことに関係すること。 その理由を受け入れる米国の日系企業や、米国人の立場からみての意見をのべたい。
1)3年で帰ってしまう人と真剣に付き合おうとする米人は少ない訳
もし自分の周りに外国人がいたら、すぐ分かることでもある。その外国人を必要としている1部の職業の人をのぞけば、せめて5年くらい滞在する人でもなければ、相手をして長期的な取引の計画を考える暇がないからである。
なぜかと云えば、多くは同一地域内ではあるにせよ、彼らも転職が平均で半年のびたにせよ4.5年で仕事を変わるからである。そして初年は誰も忙しい。(US労務省統計)
先ずよほど日本語が達者な外国人でもなければ、お互いの意思が通じ合い、どんな仕事の範囲を担当しているか、自分の説明と相手の責任範囲のギャップを理解しあうのに半年くらい掛かる。
- 着いて直ぐの最短で、モノかサービスの売買の話しをするケース。採用するかしないかを検討するのに3カ月から半年、ましてや、初取引なら、お互いの工場や使用実例を2~3件は訪問して確認する必要がある。
- 発注して(受注でもよい)モノやサービスが完成するのに半年、
- それが着いて動き始めて、検収し正式受領するのに2ヶ月、ここまでで1.5年~2年である。 3年滞在ならあと1年で帰ることになる。子供の教育の節目に合う移動でなければ、その準備にも時間が掛かる。
2)日本人が何でも自分でやりたがる訳と弊害
これは日本人の誰もがもっている国民的クセともいえ、それが信頼性でもある。
私見をのべれば、相手をトレーニングして、できると確認して任せるというプロセスがはっきり確立されていないからでもある。最近はご存知のソフトバンクからペッパー君という優れたロボットが現れた。他にもワトソンという7ヶ国語を分かる翻訳ソフトができた。かなりの部分は自分が付きっ切りにならなくてもDVDやCD、あるいはユーチューブなどの映像も見ながら補助してくれれば、仕事のトレーニングは可能になった。
何かを教えるときに一番欠けているのは、何の目的と価値観があるかという部分の説明がないと、教え方がよほど詳しくないと障害になる。すべてのケースを説明するのも面倒だ。
人にものを任せるには、相手がやるはずだという確認が必要だが、それには詳しく説明しないと理解できないという部分もある。
日本人は几帳面で丁寧でよいのだが、詳細まで説明する必要がある理由は、最近は日本人の間でも常識が通じない人が増えたからではないか。ここまで説明しないと、あとから責任問題になったら、自分が責められるかもしれないという恐怖心で引いてしまう部分が強いと感じる。
米人なら、ここに書いてあるから、あとでじっくり読んでおいて下さい。分からないところは質問してと言って、本当に重要なことだけ伝えて終わりである。任せたらそこから先は貴方の責任で自由にどうぞとなる。渡したら責任も切れて終わりにならないと、何時までたっても切れないので、責められない様に仕事をするというような守勢になりがちで、将来にむかって進めないのだ。
- 規則違反は任期前のものは前任者の責任。受け継いだあとは後継者。疑問点は引継ぎ書に記入する。これはマネジャー以上とするのがフェアーではないか。
- 一般の平社員なら、退職届をだして2週間の間に、後任がくれば引き継ぐが、そうでなければその部局の責任者や上司が説明しておしまいである。
行政官の任期は多くが2~3年だが、短すぎと感じる。外国で法的問題を起こしては困るというのは分かるが、民間なら構わないという訳ではないだろう。問題がなにもないというのは、何も新らしいことをする間がなく(できないで)終わってしまわないだろうか。
なにかプロジェクトを始めたら、結果がでるまでは異動させないほうがよいと思う。後任としても、なぜこんなプロジェクトをやるか、任期中に完成できないと心が入らず勢いが萎むし、周囲からささえる現地人のやる気も変わる。任期中となると1~2年で終わるものしか始められない。
英語力にもよるだろうが、現地の米人と長続きする友人関係をつくりたいという人は多いが、名刺交換だけでなく、お互いのかかえる問題について意見交換をするばあい、雇っているほうが雇われた人の意見をきいても、批判的なことはオフレコでしか聞けないと思う。
不都合なことを聞けて、それに対する生の声を聞けるまでの人間関係がないと、主要なメディアの報道を聞いたら済んでしまう。大学の聴講して、学生の意見をきくのも役立つと思うが、模擬討論くらいはやっておく必要はあるのではないかと感じる。
一番役立つのは、目的と大まかな意味を説明したら、あとは骨子だけ説明して、参加者に議論で決めさせて実行してみることだ。自分もどこかを分担するのが肝心だ。
それぞれのプロセスを参加者でワイワイ議論しながら、フローを決めてゆき、行動をしてみて、また各自がそれぞれの結果を持ち寄り、評価する。そして改善策をたてる。ここまでを半年かそこらで行ってみると、行政官の理解も、行動のどの部分でうまく行かないか、人はどこを見落とすか、勘違いするか。手抜きをするかなどがわかり、その部分があっても大事にならなければよいのだ。
4)体験者が減っている日本
大学の後輩でもあり、元つとめた商社のはるか若い人が訪ねてきて最近の世代の意見を聞いた。彼によれば、今の日本には読書や論文の知識が国際的なレベルの人はけっこういるが、体験者はすくないという。実務でやったことのない人だと、民間業務の具体的な問題は、分かったつもりで理解していないというのだ。この辺は思いついたら加筆してゆきたい。
具体的な値段を決める経験がないと、1千ドルで仕入れたものは、陸上運賃はいくらかかり、海上運賃や航空運賃がいくらかかるか調べていないので分からない。運賃をきめるのは重量か容積か、だいたいの単価はトン当たりいくらか。急ぐばあいは輸送経路をかえたらどうなるかなどの議論ができない。
具体的な取引をつうじて起きる問題が、具体的に分かっていないと議論に加われない。まして商社を買収するにせよ、自社のプロジェクトとしてやると、どの程度の人数がいる作業か分からないから人件費の想像ができない。判断業務をするべき地位にいながら、具体的な話ができない人が多すぎるのだ。
コスト計算が少しでも分かるとよい;土木や建築の現場で1週間も肉体労働をしたり、段取りの打ち合わせに参加させてもらい傍聴すると、分かりの早い人なら、工事費のコストの仕組みまでわかるようになる。DIY用のテキストもあり、積み木と似ていて土木工事はそういうビジネスの基礎をおしえてくれる部分がある。例えば工程管理や、材料の搬入よてい管理。
学生のころ友人たちと山に行こうと、一番時間給がたかい力仕事をやったことがある。だが若い人も多少は頭をつかう意味のあるバイトをする方がよかったし、後にどんな職種で働いても必ず役立つと思う。コストギリギリでの入札価格を理解しても、どの位が適切利益かという価値観がないと、未消化で不調な入札が増えるだけだ。
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