2016年12月28日水曜日

 16034 「サピエンス」の生き残りの条件はなにか(4)

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「サピエンス」の生き残りの条件はなにか(4)
(着色・カッコ内は編者の意見)

 詳しくは著書を読んでほしいが、いくつかの印象的な要点をあげておきたい
科学の進歩で人間が変えられつつあり、人の幸福を考える仏教が登場するのはうれしいが、やはり数を増やせない民族は姿を消す。その意味で日本は瀬戸際にあると悟る。

1.後知恵の間違い
  歴史はつねに現時点が分岐点になる。4世紀にはゾロアスターも、ユダヤ教、仏教ほかがあったのに、なぜ東ローマ皇帝はキリスト教を選んだのか。
                                       「なぜ」は特定のおきたことの因果関係を見つけることで、いくつの選択肢があったかは触れない。歴史家はキリスト教が「どのように」入ってきてローマ帝国で主力になったかだけしか調べられない。なぜならその時代に生きた人たちは、今あることには1番無知で、その前の過去しか調べられない。確実なことはわからないのだ。敗戦後の日本史を教えずにいる日本も同じでしょう。

 たとえば天気は1次カオスで、データを溜めれば、だんだんに正確になる。だが歴史、政治、経済などは2次のカオス系だから、誰かが予想すれば、それに反応したり対応するから、予想は当たらない。A社の株が上がる予想なら、先回りして買い儲けたら売る、または空売りするなど。
(おってカオス、不確定要素、予測不可能などに関し、私見をのべたい)

イスラム教の創始者ムハンマドは、アラブ人たちが神の教えを知らずに生きていると非難し、そのあと自分が神の教えを知っていると主張し、最後の預言者だと名乗った。社会政治的な秩序にたいしては非科学的な2つの方法しかなかったからだ。

1)科学的な説を1つ選び、それが最終的・絶対的な真実と宣言する。これはナチスと共産主義者がとった方法だ。ナチスは特定の人種的優位論を、共産主義者はマルクス・レーニンは経済の絶対的な真理を見抜いたと主張した。(労働は価値の源泉というが、資本を私有とするか、社会のものとするか、自由主義か計画経済かでかわる。分かっていないことを事実であると主張した。)
2) 科学を締め出して非科学的な真理にもとづいて生きる。自由主義、人間至上主義の戦略だ。 
 この信念はホモ・サピエンスの研究成果とは共通成果がまったく少ない。

発展はなぜヨーロッパなのか、日本が追随できたか

しかし近代科学には教義はないが、共通の核となる研究方法はある。それは経験的な観測結果を集め、数学的にまとめることだ。(これらは著者が英国オックスフォードで学んだと想像される)
観察結果はあるが、なぜそうなっているかを知るために、過去の研究はよむが、学者をめざすなら、過去のどんなに有名な学者であれ凌駕することを使命にせよと言われる。ニュートンであれアインシュタインであれ。そこで、不足部分を補完するため、相対性理論や量子力学が生まれた。

1744年にはスコットランドの2人の牧師が、亡くなった牧師の未亡人と孤児のために幾らあれば生活できるか、牧師たちからいくらの金を投資させればよいか考えて、生活保険基金が生まれたという。その後200年間に統計学がうまれた。2人は祈ることも、古典に答えを求めもしなかった。エジンバラ大学の数学教授をやとい、毎年亡くなる牧師の数を計算できた。

1850年前後には、仏米がすぐ追随できたのは、イギリスの最重要な神話、社会構造を取り入れており、日本も社会や政治制度でそれに倣ったからだという

資本主義のマジックはパイを増やせる点にある

それは同じ金を(銀行などは)何度か貸せるトリックにある。そのトリックは信用といい、契約で約束したことが実行されるという信頼に基づく。金がモノに変わり、その価値が担保になってる。              
将来に受け取る注文=モノ に基づいて、現在の金が貨される。多数の小額・短期・高利の取引に対し、少数の高額・長期・低利の利息で銀行は貸すピラミッドの構造がある。

ヴェンチャーキャピタル、植民地、建国は国王・民営などで発展

16世紀初めにかけてのスペイン、コロンブスの中南米大陸発見、植民地化と銀の輸入などで大発展。放っておけば国力差で負けるから、競って民営殖民会社・商人などが参入した。オランダはVOC西インド会社からインドネシアなどに拡大。イギリスは東インド会社などが中国に拡大。これらは国というより多数の民営会社などが、傭兵や王室の金を投資を受け、海賊、戦争、何でもありの争奪を行っっていた。

(英国は日本のような島国でなく、7つの海を支配した大国であった。国単位での考えで、「アジアの独立のため」という日本の第2次大戦への参戦は、先行投資国・会社にとっては、迷惑以外の何者でもない後発参入者だったという見方を英国・イスラエルがしていると感じた。
大英帝国のインド撤退では、流血の戦争を避けて、独立国は民主化と国境の維持の恩恵をえたと著者はいう。(アイルランドと英国は永く抗争があったが)、まあ、香港も100年の期限どおりに返却した。ソ連の場合もゴルバチョフの周辺国の手放し方も同様で、フランスとは違っていたという。

この辺の世界の協賛をえる常識を日本も学ぶ必要を感じた。それには国運をかけず何度か小規模に相手をテストし、勝っても深入りせず、負け方を学ぶことでもある。日本も満州・台湾・韓国で満足しておけばよかったのだ。未だに自軍をコントロールできるか疑問視されていると感じた。)

戦争の時代は終わったか

1945年の第2次大戦のあとは大きな大戦よりは、中小国の争いがあったが、10大国の争いは国境の紛争ていどで終わっている。その理由として
第1 核兵器で戦争の代償が劇的大きくなった (大国は戦争できなくなった)
第2 戦争で得られる利益が減った 
第3 平和により例のない利益があがった’こと
第4 政治文化に構造転換が起こった

かっては戦争による利益が多かったが、本当に平和を愛するエリート層が生まれた。
幸福を考えるには、より効果的に自分をあざむく必要があるが、仏教では自分の感情で多くの喜びを渇愛する先は、さらに深遠な真の幸福は、渇愛の感情もやめるところまで達している。 

ホモ・サピエンスを超えられるかの実験が始まっている 

サピエンスそれ自体の進化というより、1万年前からオス牛の去勢は継続して行われ、動きが遅いオンドリと、肥えたメンドリとの掛け合せなど、神ではなく人間の知恵での品種の創造がおこなわれてきた。2000年には、蛍光色のウサギを考えて、緑で蛍光色のクラゲの遺伝子を、ウサギのDNAに移植して成功した
(だれも体内に1Kgも棲みついている)大腸菌などでインシュリンを作る改変もされている。一夫一婦制に忠実なハタネズミができるなら、その遺伝子だけを取り出して、永遠に離婚しない人間もできるだろう。認知症の治療で記憶が高められるなら、それを中途で止められるだろうか。
2008年アカゲザルが、ノースカロライナでいすに座り足を動かすことを思考したら、京都にいる自身の体重の20倍のバイオニック・レッグ(人工脚)が動かせたという。

まさにスターウオーズのRogueOneの世界、ロボットが代理戦士になることを予告するのか、いや、サピエンスが自ら進化して行けるのかを予告して、それに勝った種が残るのであろうか。
病気を治療し、人命を救うためというギルガメシュ・プロジェクトは止められない。私たちは「何になりたいか」より、むしろ「何を望みたいのか」を考えねばならないという最後の1言が気になる



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