2014年10月8日水曜日

14140 (寄稿)米国の大学ゴルフで習得したメンタルトレーニング

14140 (寄稿)

米国の大学ゴルフで習得したメンタルトレーニング
 平山元喜氏

(この歳になるとせっかく大事なことを教わっても体がついてゆきません。勿体ないのでお役に立てる読者にシェア致したくエッセイ纏めてもらいました。(実際に打って貰うと、170ヤード以内は1~2回短くバウンドするだけで、グリーンに止める球。できればバックスピンで手前になどという。要するに転がして乗せるとかいうのはないレベル。)
 
『私はこれまでの22年間の大半をゴルフの練習に費やした。18年のゴルフ人生を経て、ゴルフキャリアにくぎりをつけ、ビジネスマンとしてのキャリアを始めることにした。自分の実力ではゴルフプロとして稼いだお金で家族を養えても社会に貢献できるほどの結果を残せるほどの実力は自分にはないと思ったからである。振り返って、私はゴルフに心身を注いだこの18年間の経験から、いったい何を学んだのかといろいろと考えてみた。

ゴルフというスポーツは私をいろんな意味で成長させてくれた。ゴルフはプレッシャー、そして自分との戦いにと打ち勝たなければいけない場面が他のスポーツに比べて多いと私は思う。試合に勝つためにはただボールをまっすぐ打つだけでは勝てない。私は今回、プレッシャー、そして自分自身との戦いで近づくことのできた勝負の勝ち方、負け方の根本について紹介したいと思う。                

この話は2年前の夏にさかのぼる。ある試合で私は勝負の勝ち方、負け方の根本の真髄にかなり近づいた気がした。それは過去に私が勝ったトーナメントの中で一番長かったトーナメントでの話になる。この試合はマッチプレー方式といわれるフォーマットで行われた。予選会を勝ち抜いた64人がテニスマッチのように一対一でプレーする。18ホール中に多くホールを勝ったプレーヤーが勝つ。

通常の試合は長くても4ラウンドだが、この試合は決勝まで勝ちすすめば3日間で6ラウンド回ることになる。私は6ラウンドのうち3ラウンドは延長戦(Extra Hole)に入ったため、3日間で6ラウンド、合計試合時間は34時間以上に及んだ。ゴルフは何より肉体的にそう激しくないので、メンタル的な疲れを真肌に感じる。ラウンド終盤には、体は疲れていなくても集中力を持続させるのがとても難しい。

ゴルフは18ホールを回ると通常4時間かかるが、実際にゴルフボールを打っているのはその4時間中1時間もない。ラウンド中のボールを打っていない3時間は通常歩いていたり、友達とのラウンドでは話しているが、試合中にはいろんなことが頭をよぎる。集中が切れれば切れるほど、体の芯に感じる波をコントロール、支配することができたときであった。この試合、私はなぜかとても緊張していた。予選会はルームメートとラスベガス旅行直前で、集中できていなかった。ラッキーにもプレーオフを制し、その予選会最後の枠で通った。

一か月後の本選2週間前には練習ラウンドでゴルフボールが膝に当たり、1週間ほど歩けず練習もよくできていなかった。いつもの試合のように万全な状態ではなかったこともあってか、あたふたしたスタートとなった。17番ホールまでリードを奪い最終ホールを負けてエキストラホールにもつれ込むものの、なんとか最初のエキストラホールで勝って一回戦を乗り切った。

ぎりぎり最後の枠で予選会を通った私の最初の相手は全米アマに8回以上出場しているベテランであった。一回戦でこれを外せば負けるといったパットは最低でも6つはあっただろう。しかし、何とか集中力を切らさずに初戦を突破することができた。
最大の試練は5回戦(準決勝)でまっていた。9ホールを終えて、3ホール負けていた。でもこの厳しい状況でも自分の心は異常に落ち着いていた。僕は今でも自分にとって苦しい場面に陥るとこの時に感じた感覚を思い出すようにしている。その感覚はまるでこの難しい状況にとどまりたいとでもいう感じだった。過去の試合では通常、自分は負けるかもしれないと思う状況から必死に抜け出そうと頑張っていた。集中できていない、または集中力が切れそうなことを怖がっている状況である。でもなぜかこのときは、接戦であるか、もしくは負けそうだという状況のほうが勝ちに持ち込みやすいと心が悟っていたのである。

ここでいくつか私が試合中にやっていた、失敗しそうな状況の中でも心を落ち着かせるトリックを紹介したい。まず、もし負けそうだとか失敗しそうだという想像が止まらないとき、私はあいうえおを頭で唱えるか、数を数えた。これはぜひ試してほしい。私が一つ言えるのは、よい結果が出るときは失敗しそうだと思っているときでもなく、成功しそうだと思っているときでもなく、全く何がおこるか予測していないときだからである。結果、未来の予測はただ無限な成功の可能性を限定してしまう。何かまったく関係のない事を唱えるということで、脳が結果を予測することを阻むことができる。脳の思考を完全にコントロールすることは不可能であろうが、僕はこの方法はとても有効だと思う。

私はこれは今の日本という国に対しても言えるのではないかと思っている。日本は第2次世界大戦敗戦を通して世界2位の国へと上り詰めた。また敗戦すればいいと思っているわけではないが、やはり敗戦、失敗をしてしまうくらいの度胸というのが今の日本には欠けているのだろうと思う。なぜなら今の日本政府、大抵の日本人ががんばる理由は失敗しそうになること、失敗することをできる限り避けるためである。そういう努力は通常失敗はしないかもしれないが、目標達成にたどりつくことがまれである。失敗に面と向かって前に進む。これからビジネスマンとして、試そうと思っている。』
  
 (HIRAYAMA GENKI)平山元喜;明治コーポレーション勤務。長崎出身長崎セントポール姉妹都市
 交換留学生としてアメリカにわたり、ミネソタ州立大学ゴルフ部に所属。2014年にチームがBIG TEN
  カンファレンスチャンピオンシップ優勝に貢献。

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