2015年12月22日火曜日

15227 中国への誤解はどこにあったのか(1)

15227

中国への誤解はどこにあったのか(1)(書評に代えて)

チャイナ2049; 秘密裏に遂行される「世界制覇100年戦略」』マイケル・ピルズベリー(野中香方子訳)は外交の専門家だけでなく、すべての中国に関わるビジネスマンにも奨めたい著書である。 374ページの内容を、2~3ページに纏める勇気はないが、その要点に触れたい。

戦国時代の武将が現在の中国のリーダー層にタイムスリップ
して国を動かしていると思えば分かりやすいのではないか

英米に留学して、グローバルな経済やビジネスを学んだ人達が、ブレーンとして働いており、現在の中国もグローバルな仕組みで運営されていると主張するが、国防上あらゆる防備を準備して騙されず、騙す方に回る戦略を考えていると云われる。口でいうことを聞くより何をやっているかだけを監視して判断するのが有効だ。

世の中にある「自国にとって不都合な事例はすべてアメリカの陰謀である」という中国のタカ派の戦略が1970年代からの中国政治の本質であったと、永年米国で対中外交に関与してきたマイケル・ピルズベリー氏はのべる。1部の日本の左派評論家も同類だろう。

中国の外交はすべてが孫氏の兵法に基づいていた

著者はこの20年以上、いかに新興の人口大国を発展させるために米国は貢献できるかという観点であった。CIAでも親中派の中心的な1人として、ニクソン大統領時代から外交や軍事の分野で働いてきた著者は、推薦者の元CIA長官のいう通り「親中派の第1人者という立場から袂をわかち、世界の覇権をめざす国だと警鐘をならすまでになる驚くべき記録」という。

彼によれば、米国が行ってきた様々な貢献や援助が、適切な謝意もない間逆な反応や評価をうけ反米政策になるのかを不思議に思っていた。中国の米国研究者の多数と、かれらが米国への留学時代から触れあってきた。

そこで15回以上も中国の本拠地の研究所をたづね議論したが、米国で学んだ中国支援や政策は、中国で教えてる教科書に全く反映されていない理由をただし、中国で認可された講義要綱には、党の指導により含まれていないという解答をえた。米国が義和団の乱の賠償金を生かして、それを寄付して清華大学を建設したことさえ述べた著書は1冊もない。

そして戻った留学生が中国で実際に教えている内容は、米国が海洋資源の強奪、シーレーンの妨害、領土の分割、反逆者の支援、暴動、内乱、、など。すべてありもしないことを事実であるかのように歪曲し、意図まで捻じ曲げて悪意な策略だとするものだった。

中国の指導者の指導に沿い、書き換えた過去の歴史にマッチするようにウソ八百を並べる。そして書かせた人達もそれが真実だと思い込んでいることが、それ以上に未来を憂慮する問題だと指摘している。(これは隣国の大統領の慰安婦の捏造話のケースとまったくおなじ事例であると言えるのではないか)。                    

相手の利点になることは、自国にとってマイナスになると考えるから一切国民には知らせないということ。(嘘がばれた時は、自国を弱くする敵の策略だと教えるのだ。)こうした卑しい考えの人とは付き合えないと考えてもよいし、付き合うには余程の理由がいるはずだ。感謝で生きることを教えられ心がけている人々には絶えられない世界であろう。

もし彼らの国が繁栄するとしても1時期だろう

自国の市民に表現の自由は認めないばかりか、そうする権利や権力があると考えている独裁政党の問題は、自己浄化装置をもたないことである。
うそも騙しも捏造も、なんでも捕まらなければ許される。というルールで、コピー・ハッキング・図面の盗み、何でも放置され、これで50%以上の国有企業が運営されていると見たほうが安全である。

その言い訳の妙案は、外国はすべて(自分たちがやっているより)もっと邪悪だから、自国に対してすべての仕掛けで弱体化させようという策略であると教え込む。

それなら国内で邪悪なことが起きても構わないとう結果になるから、というよりは1党独裁だから、その時々の自国が一番有利なルールをつくればよいから、法律は意味がないという意味で、国内がクリーンな法治国家になる筈はない
それは環境問題をみれば分かように、外国人との集会の時だけ晴天でごまかせばよいから、国民はどうなっても構わないという放任策がまかり通り国内は汚染が蔓延するのだ

国内に浄化装置がなければ、水も空気も政治家も汚染される


表現の自由の長所は、国内にメディアという批判勢力があるから、それが政党の代弁者にならぬ中立性を維持できるかぎり、自浄作用が働き水も空気も人も浄化される点だ。そして表現の自由が人権の根本だとする制度は、市民が第1の存在であり、市民により選ばれた人間が政治をおこなうから維持が可能になるのだ。
                        
 今の日本のA社のようなメディアは、中国にとって不都合な事実を書かず、報道しないという条件付で、中国内での活動が許されている人達の報道が、事実を報道しないどころか、捏造によるニュースを国内でながすようになるのは、非常に不幸なことである。
米国でも現在の中国の指導者の親族の腐敗や営利行為を書いて、ブルンバーグニュースやNYタイムズは会社ごと国外退去させられている。それだけ信念と判断力のある個人が働いているのだ。日本のジャーナリストは会社に終身で働き、会社の売り上げに貢献させられ、真実は2の次になっていると云えば言い過ぎか。

国内を浄化するよりは、研究員や学生として海外に何百人もを送り込み、相手の研究者を自国の都合で汚染しようとするから、この国と付き合いが長い人ほど汚れてしまう。
それでも国民を浄化するのは数もおおいから、海外の限られた人数の学者や研究者にあらゆる影響力をつかうほうが効率的と考えるのだろうか。

言論の自由がなければ、国民の価値はただ衣食住が確保されるという最低線であり、それはある程度裕福になり海外での生活を比較すればすぐわかる。長期には国民をだまし続けることはできないのだ。そればかりか、自国が倫理的に汚染され続けば、幹部がこぞって子供を海外に逃がしたくなるリスクが分からないのだろうか。

タカ派は自国の兵法者が2500年前に書いた軍事策略書が正しいと信じて、平時の外交もそのように考えるのだ。(軍事の思考は平時の逆とするなら)自分が考え実行しているすべての邪悪な考えや行動を、相手が平時に考えている筈と思い込んでいる。

日本では武田信玄の軍旗<風林火山>が有名だが、その前にある句は削っている。
それは『故に兵は、詐を以って立ち、利を以って動き、分合を以って変をなす者なり』「戦いは、敵をあざむく事で始まり、有利な方向へ動き、兵の分散と集中を繰り返しながら変化する」という部分だが、意図的に削った様に見える。平時と軍事の境界は曖昧だからである。

1972年に山東省銀雀山で発掘された竹簡により、13篇から構成される『孫子』の内容が孫武の書いたものであると再確認され、孫武の子孫筋の孫ピンが著した『孫ピン兵法』についても知ることができるようになった
『戦わずして勝つこと(戦略性の本義)』を戦争・軍事の理想とする(が、中国は1949年の建国いらい数回隣国と戦っている。)『孫子』は、現代の軍事研究・兵法思想・競争原理・人間理解にも応用されることが多い。兵法書の『孫子』は、『計篇・作戦篇・謀攻篇・形篇・勢篇・虚実篇・軍争篇・九変篇・行軍篇・地形篇・九地篇・火攻篇・用間篇』という簡潔な文体からなる13篇によって構成されている。

現代の中国人はお互いに信用していない

1口に言うなら、中国の問題点は彼らの信じていることが時代遅れで100年いじょう狂っているということ。(戦国時代の武将が、100年後、いや500年後のグローバル市場にタイムスリップで参入したようなものと思えば分かりやすいだろう)政治の表にはソフトなグループがいる。だが、外交や国対国では孫子の兵法を本心で信じ、自分と同等かそれ以上の国は覇権(Hegemony)の意図であると信じているのがタカ派の考えである。
相手の利点になることは一切認めず、自己の有利になる策略で情報もコントロールする。つまり個々の市民の基本的人権である表現の自由は認めないなのだ。
(半島人はそれに追随し産経新聞の責任者を逮捕したように、法治国ではないし、表現の自由はないと思ったほうが安全だ。)
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民間人で現代中国人として日本でも著名なビジネスマンの宋文州氏の引用をさせていただく。宋文洲氏は『民衆が常に正しいか』で
《田舎でリンゴを運ぶトラックが交通事故で横転しているとTVアナウンサーが言っていました(略)。ドライバーは動けなくなりましたが、生きているのではありませんか。(略)沢山の人が来て、助けに来るのかと思っていたら、なんと皆、荷台からリンゴを持ち去っているではありませんか。
彼らは怪我したドライバーを助けもせず、リンゴの略奪に来たのでした。記者が「なぜ人のリンゴを持ち去るんですか」と聞くと、「皆が来るから私もついてきた」と言う人もいれば「ただでもらえるから」と。(略)(民衆は価値観をもたず、人命の価値は低い国)

私は急に父親から聞いた話を思い出しました。中国革命の際、仲の良かった村人達が祖父の家にやってきて何もかも持ち出しました。最後に屋根の補修に取っておいた藁まで持ち去りましたが、その中に祖父がどうしても奪われたくないものが隠されていました。祖父はまさか藁までもっていく奴がいるとは想像もしなかったそうです。》
(法治国家には程とおい、義理も人情もない国であると言える)
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すでに述べたブログをご参照;13802 中国の歴史は現在の利益のため?2013年8月2日 [047]

上述の書には、非常に重要な警告やWTOにおける記述があるので、簡略にまとめたら続きを
(2)として掲載します。




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