2017年3月18日土曜日

17005(2) 追加1 サービス業での国際競争

17005(2) 追加1

サービス業と国際競走 (2)

決断を早くできるために

確率論でのサイコロを振ってきめる話ににているが、人の判断だと損をする可能性があると、かなり数学から離れて、慎重になるという部分がつよい。これを破るには競争原理をとりいれるのが1番あとぐされが少ないのではないか。
熱心に追及している議員には申しわけないが、国有地を払い下げて学園を建てるとか、魚市場をうつすにあたって、なにかすっきりしないのは、その辺の知恵の絞りかたを変えたほうが良いとおもう。隣の半島でもっと国防上ほうっておけない危機がせまっているのに、国会が何日もこんな土地の問題で時間をむだにしている様な気がしているからだ

霧の中での判断に役立ちそうだ

3本目の矢での経済がなかなか上向かず、低成長であるが、何がネックになっているのだろうか。
投資の分野で景気の先行きが不透明で慎重になっている。世界の政治が危険に満ちている現状では、予測が当たらないリスクをビジネスマンだけに責任を押し付けるのもむりだろう。

「リチャード・セイラー、写真」の画像検索結果そんな中で、ものを決めるのにリスクをとる人間が減った結果だ、というのが経済学者の1部の意見にある。
シカゴ大学で注目される教授の「行動経済学の逆襲」がある
Misbehaving;リチャード・セイヤー訳;遠藤真実)
近年の経済理論の解説書としても役立つ。何よりわかりやすく、ビジネスマンにとって有益なヒントが多い。    

100ドル損をしても200ドル儲かればよいか

持っている金を100ドル失うリスクは、200ドル儲かるより怖いというのが一般人の考えという。カーネマンとトヴェルスキーの共同研究によると、人は損失についてはリスク追求的であるという「プロスペクト理論」がある。 「確実に100ドルもらえるか、何も失わないという賭けに対し、50%の確率で200ドル儲け、50%の確率で100ドル失なう」ギャンブルとの、選択があるとき、どちらを選ぶかという選択では、大部分の人は確実な100ドルを選択するという。

ところが、確実に100ドルもらうか、あるいは50%の確率で200ドルもらい、50%の確率で何ももらえないギャンブルをするかの選択では、人はギャンブルを選ぶという。数学的にはおかしな話だ。このカーネマン氏はその辺のただの人でなく、ノーベル賞を受賞した経済学者で、いい加減な話をする人ではない。「ファースト&スロー」というプロスペクト理論の著書も有名だ。要するに人は損をすることには、得をすることの2倍も敏感だからだという錯覚を持っているという心理的な習性があるという。

セルフコントロール(自制)の重要性 

セイラー氏はカーネマンの弟子であったから似ているが、人は判断するさいに経済的な合理性だけでなく、心理的な面からくる行動では、非難や批判を避ける方向に判断をしがちだという。
ウオルター・ミッシェルの有名な研究がある。   
オレオという米国では知らない人がいないクッキー菓子がある。「これを1個あげるが、私が戻ってくるまで食べないで我慢していたら、全部で3つあげる」と言い残して、立ち去ってガマンできるか・できないかの調査のように見える。しかしミッシェルはしつっこい人で、そのあと子供はどうしたか、更に10年後成長してどうなったかを各人の同意をもとめて調査した。

結果として、我慢できた子はSAT(大学進学適性テスト)の点数が高く、高収入の就職できて、薬物依存も少なかったと判った。つまり、ガマンして短期的な誘惑にうちかつ子供の方が、学力が高いか、あるいは入試のテストに合格しやすく、就職してからの収入も高い、、そういう社会の仕組みになっていると言える。能力よりは我慢のほうが重要といえるかもしれない。 
   
もう1つは、タクシーの運転手の収入の話だが、会社から車を与えられ、最長12時間以上はたらかない条件でガソリンは満タン返しである。ところが初心のドライバーは1日の水揚げがある金額になると仕事をやめる。水揚げのおおい日は早仕舞いして、忙しくない日は規定の12時間いないで目いっぱい頑張るというミスを犯す。だから、組合が会社と交渉して運転手をふやすべく昇給しても意味がなく、上げた分働く時間が減ってしまう。ところがベテランは逆で、忙しい日は目いっぱい働き、暇な日は早めに切り上げるという。この差が5~10%の収入さになるという。
つまり、1日だけの短期視野では、最大収入にはならないという。

年金をファンド・基金に投資する場合

皆さんの長期預金や年金は、年金ファンドなどの投資管理会社が運用しているが、日米でも利率のバカにできない差がある(と私も知っています)。この著者はイスラエル人で、イスラエルの年金も米国で投資されているが、長期ファンドが有利か、短期がよいかの比較をしている。        グラフで示されれば誰でも90%くらいは株式投資を選ぶが、なぜ国債などの債権を買うのだろうかを調べている。グラフで見ると、債権のほうは3~4%の利回りだが、1年物の株式のほうは12~15%くらいの利回りに見える。

議論の余地はないようだが、なぜ株式に投資して、大きなさがつくのかを調べると、損をしている株は儲けた株式よりは目に付き気になるという。儲けたものより1.5倍、2倍くらい気になるから、毎月何度もファンドの価格をみて、売り買いをしがちになる。そのため2~3年ほうっておけば儲かるのに、下がるからうるという事をくりかえし、儲けを減らしてしまう。

著者によると1番有利な投資は
① ハイリスク・ハイリターンで分散投資をしている(1発勝負でない)ファンドで 
② 買ったら1年に1度くらい見直すというやり方
が有利な結果をえやすいという。近視眼的に損失回避をしないことが重要だということ。 
なお13506<サラリーマンでも経済的に自立できる>で書いた投資方法には、この方法を追加させていただきました。

日本の経済環境は変えられる    

チャート画像
行動経済学では、主人公は経済学者であるが、それぞれがお互いの発表する論文を読み比べている。そして自分の説にも組み合わせられる他人の説があれば、その大学に移ってでも、相手ととことん議論し、現在起きている事象や問題を説明し、解決するために必要なら組み合わせで新たな論文がかけないかを考える。

最近は米国の著名な大学教授などが日本の
経済政策に参加して、意見を述べたり討論したりするので、参加者のコミュニケーションさえできれば、より広い観点での議論が深まるので、その意味は大きいと思う。放っておいても米国での議論の中で、なぜ日本の政策はちがうか、その議論の背景や重要な要素の違いが理解され、国際てきな理解とサポートが得られやすくなると思う。

各研究者の研究が他者と共同制作しやすい仕組みが求められている  

名案があればどちらの説に近いかによって、主論文の作者が決まり、相手との共同の形で、使わせてもらい解決する論説を共同制作の作り上げる。その間に何人かが評価に参加して、その論旨の弱点を攻撃し、改善するという厳しいプロセスがあるようで、イスラエル人同士という共通の文化的ベースなど、若干の歯止めが利いているのだろうと想像できた。

これは素晴らしいことだが、1つの重要な条件がある。それは研究者が特定の教授と契約で縛られる関係は3年までとするなど、別の大学に移れる自由を持たせないとイノベーションは難しい
もう1つは、学者自身が他人と組んで、自分の研究の書けた部分を補い、レベルアップした研究にチャレンジする気があるか、ないかである。いや、上司、部下とかいう階級を外せるかだろう

また、取り巻く研究者やシニアで予算を持っている所長クラスが、その研究所にもメリットがある形で、よそからの研究員との共同作業を発表できる自由度が認められている必要がある。      いまある基金に金のゆとりがあり、 A研究に人件費を出して半年スポンサーになってよいと考える研究所長や次長がいること、そこの研究者に共同研究したい人がいることで、生産性が上がる。(「行動経済学の逆襲」p73)これは特定の機械部品の組み立てと似ている。

株式やファンドへの投資でも似た事象がある;      
  
たとえば短期のトレンドは上昇カーブにあると仮定して、それがゆっくり上昇するのを年金ファンドのような長期モノを待っていられないとしよう。そこで上昇してゆく株価や為替のトレンドで、1日を7時間、4200分に割り、1千ドルずつ買い、1分毎に売り利ざやを10%で設定するとする。細かく割りすぎて、のこぎりの歯のように上り下がりがある場合、常に上がって利ざやがあるときだけに売るプログラムを考えれば、上昇カーブは少なくとも2倍くらいになる。これをやれれば短期間で上昇額の2~3倍/時間の利益になる筈だという。    

こういう考えは、上述した200ドル上がったら売り、100ドル下がった時点でまた買うのと同じである。なぜかといえば、斜線の上下は直線で上がって行くものではなく、のこぎり状になる。すべてののこぎりの形状が同じ時間の間隔、上下幅、たとえば5分ごとに上下してくれるなら苦労はない。       
 
短期取引が好きな人はよいが、長期のトレンドで売り買いをきめ、あまり細かい上下は気にしないというセイラー氏の方が素人投資家には向いているのではないかと思う。
一喜一憂していないで、頻繁に見ないでよいというセイラー氏の助言が適正で重要な意味のあると感じられる。なぜなら、取引(投資)はトレーサブル(追跡可能)でないと、ごまかしが混入することがありうるからだ。  

それに1つの会社だけでなく、複数の同業の競争相手の株の波との関係や、産業界全体の波との関係はどうなのかも、よく分かっていないから、大学の経済学部や心理学部などが参加すると、興味深い特色が出るはずと思う。ロボット競技会のように、利益競争をしてはどうか。

これは純粋にお金という抽象化した商品のケースで1番シンプルだが、実際の産業界での日常は、それが建設業であったり、金属の加工業であったり、ラーメンを作ってうるサービス業であったりするから、材料費、人件費、客の波、天候ほか変動要素が増えて複雑化している違いがある。    
こうした部分でのそれぞれを配慮して、予測ができるようになると、研究者の理論より先に、AIが答えを出し始めるかもしれないが、かなり進歩する余地があると思う。        



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