2015年10月8日木曜日

15222(2) コミュニケーションができないわけ

15222(2)

コミュニケーションができないわけ(2)

コミュニケーションは、なぜこうも難しくなってきたか。親子でも本当に分かり合っていない。10歳くらいの年代の差でも、かなり違うようだ。


大学をでて会社員になってもなぜ判らないか

私見をいわせてもらいますと、まず言えることは、相手のいうことを理解するよりは、読んだよというジェスチャーをして関係を大事にすることの方が優先されている。

本当の友達はまとめて十分に議論しているから、別に毎日メールをおくる必要もない。『付き合いはじめたばかりで、よく知らない友人だから返事をしなければならないと感じるのです』と有名校からきたインターンは言います。
つまり、相手が本当はなにを言いいたいのかは考えないで、返事だけをする「とりあえず関係」が大事だというのです。ある人はこれを「相互監視システム」といいました。

こんな関係の大勢の友人にとりまかれて、分刻みで他人に思考を中断されて4年間も忙しく生きると、充実した大学生活になるだろうか。絶対に充実にはなりません。なぜなら、人の言うことを聞いても相手を判っていないからです。つまり相手の目をみて言葉で対話しないコミュニケーションはありえないのです

(10月5日CNNで報道され話題になったのは、13才の中学生の陥っているSNSの弊害。ひどい子は1日に100回いじょうスマホを覗かないと安心できない状況になっている。人気度を競っているうちに、いじめに発展し、なかま外しのようなことが起きている。57%は親からネットを禁止にされて実社会に戻りたいというのが本音だと。   ばかげた社会が出現しています。)

お客様の会社のことを理解しない社員

 会社で相手の仕事をわからないで、お客さまの相手の役にたてるはずはない。話しを聞いてわかったつもりになっても、理解できていないのはなぜか。入社したとたんに先輩はみなPC族。相手の言葉の意味と自分の意味が違うかもしれないからです。

  言葉の意味がちがうケース
本社の購買部や技術部の相手は、すでに何年かその会社にはたらいて、自分の会社の仕事を理解し、かなり正確にことばを使うようになっている。こちらは使われている言葉もよくわかっていないことが多いのです。

わかり易いので私の体験をはなします。
商社マンになって最初のころは、色々なカン違いやミスをしました。機械部の10くらいある部のうちの1つの部に配属されました。正確には産業機械部という業種を構成する7つの課という10名くらいの紙パルプ機械課です。つまり機械本部の70分の1の組織。

そこで扱われる製品はチッパー、ダイジェスター、パルパー、抄紙機(しょうしき)、プレス、ドライヤー、ワインダーとよぶ全く知らない英語をカタカナにして使われている。これは製紙に限らず工業的なものを製造したり、取り扱う多くの業種にもいえることで、大会社というのはそういうところです。というより、起重機はクレーン、誘導電動機はモーターになり、70年代には農業も機械化によりカタカナが増えています。


  仕事の内容がわからなくて理解できないケース
最近はネット検索で、図のような日新化学抄紙工程図分かりやすいものがあるので楽になりました。先ほど述べたプラントを、どう紙が作られて通ってゆくかの工程図です。
昔はそれを図書館でしらべて、言葉が分かった気になってもそれでも役に立たない。
それは辞書をひいたら色々な意味がでてきて、その内のどれが最適かか判らないのと似ています。

ところが、“商社のプラント担当の営業マン”として、早く先輩についてお客まわりしてこいと言われます。これが入社2~3ヶ月から。
営業の仕事は、お客様にあいての必要とするモノを販売するしごと。ここまでは先輩のリードで購買部に同行でゆきます。が、そこから先の話しが何もできないのです。

相手は新入社員に大きなプラントの話をしてもわかるはずがないから、何年か前に買った機械の取替え部品を発注するから見積もり(価格)をだすようにという。
「何だ、部品の商売か。こんなことを大学までいってやらされるなら、何の意味があったのでろう」などと落ち込む。今思えばとんでもない世間知らずのバチ当たりな考えです。

その内、「お前さんはこちらから頼んだことしかやらないが、もう少し気をきかせて何かもってきたら(提案しろ)」といわれる。
会社の先輩に「どう気をきかせるのか」ときいても、「そんなに急ぐな」と教えてはくれない。(ここで貴方は試されていると気づくかどうかです。)

本当に言葉の意味がわかるには

純粋なサービス業やプロスポーツなどを除けば、ここまでのべたことはだいたいどんな会社に入社しても、あまり変わりません。貴方は顧客の会社の工程の頭から尻尾までがわかっていない。だから提案もできないし、役に立たないのです。
ジャー、どうするか
購買部ばかりに通いつめても、「めくらが象をなでる」のと同じで理解はふえないと感じ、施設部という設備の維持管理をする部や、技術部という部門にゆき全員にあいさつして歩きました。そしてお客様のやっている製造工程がわからないと相談しました。
「甘えるな」とも言われましたが、学校の延長で業界のリーダー会社の「お客様は取引先の新入社員には教えるべきだ」と考えていました。
「私がわからなければ、貴方のお役には立てませんから」。
すると「それなら工場にゆくしかない」と1人の方が言ってくれたのです。

そこで、会社から許可をもらい北海道に出張しました。初めてジェット機にのり、遠足気分で、入社半年たった10月オリンピック開催の終わる時期。
工場をみせてもらい、木材がチップという小片に砕かれ、ダイジェスター(消化機)で煮られ、ここで繊維分が取りだされ(パルプ)水に混ぜられる。
それが数メートル幅の大きな高速で回転する抄紙機の網に均一になるように吐出される。回転する直径1メートル以上の上下にあるロールのあいだを、紙は連続して時速25Kmで走り少しずつ水分は搾られ、乾燥をへて最後はほぼ乾いた紙になり巻き取られる。図や写真でみても騒音やスピード、迫力は判らない。これが抄紙機か、、、。

当時でも何十億円もする100メートル長さx10メートル幅の巨大なプラント(生産装置、ライン)。よく考えると95%以上は水のパルプ液から、5%水分の紙になる。これはマンモス脱水機だ。という訳です。例は悪いかもしれないが、野菜ジュースの搾りかすの繊維と同じで、何万倍にしたものと言える。

何でも巨大なものは迫力と威厳があり、それ以降は、単なる部品とはいえ、何十キロの重さのギアやベアリング、どれもが1つも欠かせないとわかる。
相手が作っているものを知り、その工程を頭から尻尾までだいたいでも判ること
これが相手の話が判る背景にないと、本当に理解はできないと感じます。

その上で、それぞれの部門の係長に、さらに『何が重要なお仕事ですか』、『何かお困りごとはありませんか』を訊ねあるく。すると今度は相手もまじめに貴方の質問に答えてくれる。ここでようやく使い走りから、本当の仕事が始まる。ノートを持って歩かない人は、フォローがない人とみられ信用されないかもしれません。

歩き回り、技術の打ち合わせにも出ている内に、いくつかの基本がわかります。

  • どんな機械もエネルギーを使い、電気か、ガス、蒸気、空圧、エンジンなどで動く。
  •  回転は電気モーターでなければ、メカニカルシャフトなどで回転する。
  • スピード差は時計のようなギアの組み合わせで調整している。印刷機も同じ。
  •  紙が走る2本のロールは重く太くても、やはりたるむので、これを矯正する。
  •  紙が切れて機械を停めても、慣性で直ぐにはとまらない。
それぞれの機械の詳細は、メーカーと顧客の技術部のベテラン(30代)が決めること。それは過去に起こったトラブルや動かす上での改良点を解決する。
仕事を機能でみると文系は契約、クレームとファイナンスくらいで、余りでる幕がないからプラントは商社の文系が扱うのは大変だ。メーカーの工場には何度も足を運びましたが、こちらでも、同じような経験をしました。全部部品を組み立てたものです。

海外向けは為替レートが変わるし、在庫すれば売れないリスクが生じる。商習慣や法律の違いもある。リスクがあることは苦労もあるが、遣り甲斐もある。これが5年の経験の結論で、海外へと紙パルプ機械で縁のあったシカゴに来ました。仕事でもっと求められるチャレンジがしたくなったのです。



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