国際化とは日本企業にとって何を意味するか(40年ちかく経って歴史はくりかえすか)
(17010に続き)
国際化・グローバル化と現地化は、日本の本社が現地との関係で、現地法人を独立させ権限を移譲することが必要があるのにそうなっていない。それは現地での子会社の親からの自立であり、予期せぬ環境破壊、損害賠償、クレーム処理ほかでの、日本の親会社が現地負債の発生からの防衛でもある。
米国に来て仕事の後でアメリカの法制度を学び、この国が特に他国に優れた差をつけているものがあると感じた。日本のトップクラス企業でもなかなか追いつけていないものを2~3点あげておきたい。
先ず第1には日米での違いがあるが、 米国の子会社が親から独立し米国内で判断や決定を行わないと、親会社が米国で事業を直接おこなっている事になり、米国の法人税が親会社にも及びうるという関連リスクである。米国に来て仕事の後でアメリカの法制度を学び、この国が特に他国に優れた差をつけているものがあると感じた。日本のトップクラス企業でもなかなか追いつけていないものを2~3点あげておきたい。
国有企業の自由市場への進出や買収は、非常に好ましくない問題を内蔵している。その背景には、「Do as Romans do」「郷に入れば郷に従え」という各国の法管轄がくずれてしまう部分があるからである。つまり外交官だけは例外で出身国の法律と国益だけで判断・行動できるが、厳密には外国人が米国で日本法により、または日本(本社)の国益だけ考えて行動すれば、それは1種のスパイ行為になりうる。 (日本人もそうあるべきで、言論の自由で国益を害した“慰安婦問題”を捏造した著作などは、許されるべきではなかった筈となり、自社の製法を横流しにする行為も同様でしょう。)
第2点は、米国では合理的な理由がなければ差別できない。顧客によって売値を変えるのは違法という公正取引法がある。逆に言えば合理的な説明のできる条件では、数量が大きければ値引きできる。ただしそれは、誰にも同一条件である。だからアジアの大国ではびこる賄賂やリベートは、この合理性をくずすもので禁じるのが公正であり、ルールを設定しやすいのだ。小売店は自由ですが、友人や同族は安くすると違法であることになる。
これは米国内で製造をおこなうケースでは、親がもつ製造技術やノウハウをどう伝えるかという点で、メーカートップには頭痛の種である。現地では製造技術があり、修理サービスができればよいという市場ニーズに応える部分で解決することだ、と私は了解している。なぜなら転職が頻繁な米人に開発ノーハウや加工のノーハウのすべてを渡してしまうと、競争会社に技術移転するようなものだからである。ここを意図的に悪用されたのが、80年代からのC国での家電品などの製造と解釈している。まあ、夜間に横移動していた加工寸法図や金型などの違法なケースは別としてもである。
他方で適切な技術指導などを行い、ブランドの価値をそこなわず、現地の消費者の信頼に足りる製品やサービスを供給する能力を高める必要がある点で、あい矛盾する部分がある。
第3点は独占禁止法で、これは巨大企業は自社の都合で、自由な競争を崩し、独占的になりがちだ。これら3点は、ここ20~30年弱体化し金だけになったが、貧富2極化の遠因であり再強化を見直すべきだろう。(私見;トランプ大統領が復活したい米国はこの3点であると)他方で適切な技術指導などを行い、ブランドの価値をそこなわず、現地の消費者の信頼に足りる製品やサービスを供給する能力を高める必要がある点で、あい矛盾する部分がある。
この提言を書いた70年代末の時点では、日本の少子高齢化と人材不足は予想外であり、その観点からの権限の移譲は考慮外であったことは、お断わりしておきたい。またその時点まで創設した2事業の管理職としての責務は、サラリーマンとしての商社の雇用範囲とは違っていたので、会社の体制も別会社としては、後追いであったことも了解されたい。読み返してみると、40年たって、まったく変わっていない部分があり、これは多少は役立つかと感じている。
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(すでに40年近く昔になるが、退社にあたり筆者が現地法人のトップに請われ提出した意見書である。「何が不満で辞めるのか」と聴かれた答えでもあった。また社名他1部説明を追記した。)
米法人の現地化・米国化の必要性 (1978年秋)編者名
現地化とは、何を意味するかが明白でないままに議論が進められないので、ここでは下記を規定する。 (現地化は今でいえばグローバル化が近いであろうか) · ” 現地化” の定義:本社 (親会社) との取引関係のない、米法人独自の取引により、売り上げ・生 産の(50) %以上を挙げる事。
· ” 現地化” の目的:世界的な先進国の低成長化現象に鑑みて、先進国間 (日米) の取引限界を打破し、取引および採算の伸長を図り、本社の採算に貢献させる為。
上記の如く定義してみると、自から明らかになることは、日本との関係のない取引により、現在の日本本社の世界取引に於けるが如き機能を米法人が持つということになる。その場合の問題点を下記に検討する。(これらは、日本法人の日本国内取引における弱点とも類似する事。従来の本社流の経営が行われた以上は当然でもある。)
1.米国内自己取引(又は第3国)の伸長;
日本の本社の如く、日本という独自の風土に生長した問屋機能(鉄鋼)、2次金融機能(機械部)は、これを他の機関で機能せしめ、異国内では機能している。米国内では実行は難しく、簡単には食い込めるとは考えられない。 従って今後は、下記を提言したい。
(1) 販売綱の設立: 現在、日本品の販売の為、設立中の建機、マテハン機器同様、その他の機械類の販売網を遂一設立する。これが時間が掛り過ぎるのであれば、販売網と人を買うつもりで米国企業を買収する。これらに、第3国品又は、米国中小企業品をのせて販売する。(米国製機械類の対日輸出が伸びない理由は、日本本社が販売網を持たず、単なる代理輸入行にとどまっているためで、米法人にとって利用価値ないのと同様である)
(2) 独自の資金調達力を持つ: 100%日本法人の資本にしておいて、米国化はあり得ぬ故、 株式を公開し、現在の日本本社資本の倍の資本とするとか、公債発行を行う等により、日本法人の資本よりの50%独立を図る。
(3) 自己資産を充実させる: これにより、第3国での入札のボンド(Bond)能力の向上他のメリットあり。長期借入れによっ てでも、米国内に資産を持つべきである。 (例、不動産の日本人への売買、企業売買、企業売買の仲介、他) (4) 従業員の充実 :
日本との取引にとって、主役はあくまで出向社長/社員であり、その役に立つ脇役的米人でなく、今後主役となりうる人間のスカウト、雇用を行う。
(5) 支店・事業部(Div.)の独立化:
米法人本店は、採算のみを追及し、対日色の少ない事業部Div.等から、独法させ、親会社の支店、事業部 Div. の control を外し、N.Y.(米本社)のみが control する。日本法人の利益を採算による業務依頼は、一 切 N.Y.(米本社) に集中させ、N.Y. が、仔会社、支店に割り振りを行う。2.管理職の交代・育成; 日本より(本社の管理者として育成された)出向社員が、米国内で米人を管理しているか。
(1) 管理の目的と支持の明確化: 各管理者は、自分は、何の為に、何を管理するかを文章で明確に書けること が、先ず必要となる。という問題であるが、米人流の管理は下記であろうと考える。即ち、その管理目的は、営業では採算であるが、その場合
① 採算目標を設定出来る。(下からの積上げでない) (目標)
② その達成の為には、何を下がやるかを指示できる。 (実行・指示)
③ 指示した事を、下に、指揮・指導できる。 (指導)
④ 何日までにやるか計画を立て、優先順位も指示できる。 (選択)
⑤ 部下の実行と結果の追求を行う。 (遂行) ⑥ 結果の判断・分析を行い、変更を指示する。 (変更)
(2) 部下に、自己の権限を委譲する: ① 各々の部下の実行範囲を明確にできる。
② 報告義務の内容が詳細に決めうる。
(3) リスクの分析能力があり、利益率との関係で決定できる
本社の様な、紙の上でのリスク・ヘッジでなく、遂行上のリスクを分析し Calculated riskになしうる。
部下に出向社員を置かずに、これらを実行できる管理職の育成が急務であろう。これらはメーカー工場管理に近く、商社でその様な育成をされた人間は少なく、従って本社 よりの出向社員に、(数年たたねば)その役割は期待できぬ事と考える。
3.日本人の限界:(いわゆる派遣社員のことである)
本社よりの出向者の限界は、
(1) 日本人であるが故に、何れは日本に戻らねばならない。子供の教育、両親への義務、会社(本社)の人事計画に従う事。 (2) 日本法人の出向者であるが故に、日本本社の利益にならない仕事はやらぬ事。 第3国取引で成績を挙げても、それを評価するシステムがない事。出身部に関係の無い事をやっていると取引人がなくなる事。
(3) 滞在期間が短く、本当に米法人の役に立つ人間が育成される時間が無い事。
上記1.のような独自取引は、専門分野の知識が要り、素人が手を出すとリスクが増大する事。等々であろうと考える。
やはり他場所の事はその場所に委ねるか、大幅な権限の委譲を行うべきと考える。
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