2017年5月17日水曜日

17018  人の脳は障害を受けるとどう変わるか ジム塚越氏

17018

 

人の脳は障害を受けるとどう変わるか ジム塚越氏
 
小生の敬愛する友人ジム塚越さんの奥様が病気になりました。看病をしながらその理由を知りたいというジムさんの様々な努力は、凡人の亭主の域をこえています。更にそれを他の人に役立てたいと記述し発信してくれ、この小文への掲載を快諾して頂けましたので、一部は省略して掲載します。

(なお婦人は血栓により左脳に障害をうけ話すことができず、右半身が不自由ですが、来訪者の認識はできる状態です。短期記憶は喪失しますが、長期の記憶は維持しています。)

『先日、昼食が11時過ぎにあり、本人は何時もの通り食事後の仮眠を取っていたのですが、12時頃に目覚めて、昼ごはんが未だだと訴えたことがあります。家内は壁の時計で食事の時刻を判断しているようで、時計を指して訴えを繰り返します。半時間ほど前に食事を終えたのを忘れちゃったのか、と伝えると、アーそうだった、と納得顔。時計からの情報が食事の記憶をオーバーライドしてしまうことから起きる現象のようです。

同じような珍事が時折起きることから、脳の知識を得ようと代表的な教科書を数冊手に入れました。脳の解明は最近になって急速に進化しています。そのために手元の40年前の英和辞典では役に立たず辞書も買い替えました。

まだ半分ほどを読み終えた段階ですが、脳の機能の複雑さとその精緻なことに驚かされます。人工知能が人を超えるとしきりに話題になりますが、それは人手を要する繰り返し作業や、一定のルールや定石が存在する場合で、前例のない事象や事前に学習をすることのないまったく新たな局面に際して、脳の反応を人工的に再現するのは近い将来には不可能に思われます。

ただ、脳の働きは膨大な電気信号の交換と化学変化によるもので、今後の解明が進むと人間がその知識を悪用して人の脳を左右する悪事が起きる恐れがあります。インターネット上でのハッキングが現代の悩みですが、人の脳が外部からの働き掛け(既に存在する麻薬作用のような薬品などの投入だけでなく、磁場の操作で脳を誤操作するハッカーの出現など)によって想定外の事態が起きる可能性がないか。産業界や金融界、あるいは政府の中枢にいる要人が知らず知らずに洗脳され、重大局面に際して誤まった判断をしてしまう。ミステリー小説の筋書きが現実の世界に出現する?

 これまでに得た知識からいくつかを紹介します。

男女では脳にも相違があります;

男女同権は人権擁護の上からは当然のことですが、どの分野でも男女を同等に扱うのは脳の機能からみれば理に適っていないことになります。一方、同性愛者の脳はそうでない者の脳との間に明確な差異があり、同性愛が脳の違いから出ていることを示唆しています。因みに女性の脳ミソは男性の10%増しだそうで、語学でも洋の東西を問わず女性の脳がより優れて対応するとされています。ただし脳の大きさとIQは比例関係にはないそうです。

光速と音速ではその差は比較になりません。ところが、人の脳では目で見て脳が行動を起こすように筋肉に信号を送るのと耳から脳を経由して同じように筋肉に信号を送り届けるのに要する時間に差があり、後者の方がわずかに早いことが明らかにされています。スポーツのスタートには、点滅する信号ではなくピストルによる号砲が採用されているのはそのためです。何分の一秒を競う100メートルレースではスタート・ダッシュの違いによって大差が生まれることになります。

幼児期の言葉の訓練;

バイリンガルと単一言語を使用する人たちの脳にも両者の間に相違があります。脳に変化を来たさないと外国語を駆使できないことになります。幼児の段階でそのように脳に変化をもたらす幼少時の外国語教育の効果は否定できないようです。もっとも成人してからも脳に変化を刻むための訓練をすれば外国語がマスター可能となります。このことから、新聞宣伝に現れるような短期間での外国語修得は疑問視せざるを得ません。また聞き流すだけで英語がスラスラの例も、それだけで脳に変化を刻みこむことは無理と考えられ誇大宣伝の可能性があります。

食器に食事が盛られた場面で満たされたコーヒー・カップを持ち上げるシーンと、空になった食器を前に同じく空になったコーヒー・カップを持ち上げる行為では、何等の注意書きや付言が無くとも、脳は前者ではコーヒーを飲む、後者では食事の後始末の行為と自動的に区別して認識します。単純な行為ですが背後には複雑な判断が働いていることになります。人工知能ではロボットが飲む代わりにカップを洗い場に移してしまう、あるいは空のカップを持ったまま飲む行為を繰り返すことにならないか?

高齢者の健康のために

高齢者と運動の関係。60歳以降のシニアを対象に行なった実験では、6ヶ月間にエアロビックやストレッチ体操を続けた者とそうでない者との間では脳の容積に差が生まれ、適度な運動は老化現象の進化を遅らせる効果があることが証明されています。運動の効果は世間で理解されている筋肉の維持だけではないことになります。特にアエロビック・エクササイズに顕著な効果があるそうです。 

左利きの人と右利きでは脳にも微妙な相違があります。しかし、野球では左利きが多いのにゴルフでは数少ないのは何故か? これまでの教科書では解答が見当たりません。(略)

ジムさんの最近の米国政治へのコメント

1935年から1980年の間には、米国民の最低から数えて90%が総所得の70%を手にし、トップ10%が得た所得は30に過ぎなかった。ところが、1980年から2015年の間では、その間に伸びた所得の100%を上位10%が手にし、90%の取り分は零%だったそうです(注)。 この結果は既承の通りで、今やトップの10%が70%以上の所得を占めます。ギッチョの大統領の出現と米国の所得配分との間に奇妙な相関関係が見られる。ギッチョの大統領が寄与したからか?

(注)マサチューセッツ州選出民主党上院議員Elizabeth Warrenの近著「This Fight Is Our Fight」からの引用。著者はオクラホマ州の中産階級に生まれ、教師を経てハーバード大法律教授から上院議員に。共和党に対しては当然のことながら痛烈な批判を繰り返しているが、民主党所属でありながら従来の民主党政策や官僚主義にも批判的。

トランプの迷走が続くと、変化を期待してトランプに票を投じた層が転じ、更に浮動票の中核である保守左派、リベラル右派を抱き込めば、同議員が2020年の大統領選挙で最有力の候補に浮かび上がる可能性がある。)   

編者追記;

16010ー追1にて取り上げた同じマサチューセッツ州出身者でウォレン議員とならぶセス・モールトン民主党議員も注目です。軍役の経験者でありながらガンコントロールを主張する。国家セキュリティーに関し発言で影響力を高めています。世界の地政学的な混沌が続けば、2020年選挙に出馬する可能性を秘めているように感じます。    
 

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