2013年12月3日火曜日

13034 早期に黒字化するために

13034

プロジェクトを早期に黒字化するために

一番だいじなことだが難しいことは、いかに早く採算分岐点に到達するかである。つまりは、より早く仕事が出来るようにすることがすべてだと云ってよいだろう。

長は自分の時間をもとう
忙しくてバタバタしすぎてはならず、何が上手くいっているかをみて、作業を平準化する。しいて言うなら、うるさく質問してチームの邪魔にならないこと。
ミスがないやり方で始めて、スピードを早め、段々と平準化するための作業手順を決めてゆく。それを分かりやすくチャートにし、またマニュアルにして、早く・安く作業ができれば、効率があがる。
チームの中では遅れがちな1~2割が必ずいるから、そこが全体の遅れとならないように、平準化する。疲れが溜まらないように、金曜の夕刻は少し早めに切り上げられるようにする。

チームの協力と意欲を守り立てる
そのためにはチームは何を、どの優先順位で行うかを議論する。議論することで、チームの合意をえた形になる。エリートの作ったスケジュール表を渡して終わりということではうまく行かない。
次に手分けして、先にのべた予習の一部や、問題点の解決に協力しあい、チームワークの意気をもりあげることが非常に重要である。つまりコミュニケーションのできるチームである。

チームリーダーは、遅れている仲間の仕事を手伝ったり、再配分したり、ともかく全体が遅れないようにする。誰か1人だけが『出来る!』と光らせるためではない。『おれは出来るだろう』と証明するために仕事をする学校でのエリートは、人を使えないから管理職ではない。誰がやったかを注目して光を当てるのは、リーダーの役割で、部下の仕事ではない。

遅れそうな人は恥ずかしがらず、このままで行くと遅れが出るとわかれば、リーダーに相談することも大事である。その前に、何でも言いたいことをいえる雰囲気や人間関係がないとだめだ。

大会社のエリートはここの配慮がたりず、皆の協力がえられないため、問題が生じた場合、真相がわからないことが多い。組合のつよいユニオン工場では、何かが壊れても『何が原因かを申し出てくれ』といっても現場の人は喋らない。その間に時間をつかってしまい損害が増える。『申し出て、原因が解明されても個人の責任を追及しない』と言い、文書でも明言しないからである。

できれば、8時間でやる仕事は6時間以内におわるように工夫して、ゆとりをもって、翌日の仕事の準備をしたり、不足するものがあれば、納入業者への手配を依頼することも必要である。

目標をたてる
固定費(不動産の賃貸料ほか)と変動費(人件費に伴う諸経費)を予想概算がでたところで、売上げ利益から逆算して、必要な販売台数、販売額などを計算し、いかにそれを早期に達成するかを議論する。楽観、悲観、中間の予想を作るが、景気動向、金利などが重要になる。

元米国C.Itoh社長のチャイさんの言われる『負からの経営とプラスからのスタート』の違いは大きい。借入金で金利に追われながら仕事をした40年前と、資本投資で採算を早くとる違いである。商社では社内でも借り入れ勘定でスタートするから、同じようなプレッシャーはあったが、スタートから1,2年は必死に働いて、グラフの赤破線のような労力投入が重要だと思う。

予定より早く達成できれば、必ず黒字化できるから、早期の達成をできるかが鍵である。
図のグラフで赤点線のように、できるだけ最初の1~2年間に全員のエネルギーを集中して気合をいれて頑張る。

土木工事などは、図面どおりの量の鉄筋とコンクリートを地中に造る知恵比べだから、工程を短縮できれば入札競争に勝てる。レンタル料やその他の変動経費が減るからだ。
(今中国で起こっている鉄筋やコンクリートの量を減らして儲けようとする下請けが、ビル崩落を起こしている。韓国でも天井崩落を起こしている。どこの国でも悪徳業者はいるが、記録にとってあるか無いかの差である。生コンをどこから仕入れて、量はいくらかまで調べておくことである。米国では検査官がビルの床厚さまでコアサンプルをきちんととり図面に記入していた。)

海外事業の場合の最大の敵は本社・工場
本社の国際部のほかに、派遣された工場の日本の上司などが、承認という形で、決定に介入しようとする。従って相談はしても、決定は現地の長がおこなえる様に、現地を別法人として社内の地位では現地の長は部長格以上にする。
(場所の選定でリベートや裏金が飛び交うのではないかと心配して、ビルの購入やリース契約などにも本社役員が乗り出すが、米国ではそういう話は聞いたことがないから、杞憂ではないか。)
QC=PDCを守ることである
何でも自分でやろうとすると、米人が育たないから、職務範囲をきちんと決めたら、あとは何は報告せよ、どのくらいの頻度でと指示する。それが守られてできるようになったら任せていく。1人で抱え込んだら残業地獄になる。
現地がうまく経営されて利益がでると、本社の自分の出る幕がない意見もあると聞く。が多くは気になり、放っておけず口をだす老婆心というやっかいなケースが多い。少子化でだいぶ変わったが、現地が不正経理などにならぬよう、監査だけしっかりやる方が、独立採算と自立を守りやすい。
本社・工場の上下、人脈(派閥)などの日本のトラブルを持ち込まないで済む。また、会社によってだろうがパソコン1台の購入まで、本社の承認をえるやり方は廃止し、すべて現地長の権限とするべきである。(10社以上の創業や経営に参画して、そういう考えになった。)(法的な注意点;親会社が親切なら、子会社の部下に権限を渡すべきだが、そうしてないと、本社が米国で事業を行っていると看做され、米国のIRSが課税する可能性がある。Doing business in the USA.)

以上は私の経験でえたものだが、長く様々なプロジェクトを担当し、予定通りの成果をえたのは、やはり息のあったチームと優れた忍耐強いメンバーのお蔭だったと振り返る。






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