2014年9月28日日曜日

14137ー追1 全国の土砂災害には個別対応でなく100年計画で

14137―追1

全国の土砂災害には個別対応でなく100年計画で
(広島の豪雨・土砂災害に)

「豪雨・土砂災害 情報が生死を分ける」という中日新聞の見出しは、正しい。福島原発での吉田所長の「部下たちは、全員が手が動く技術者である。それでも、このレベルですから」という評価も謙遜しているが、当をえたものだったのであろう。頭と体の連動できる数すくない人たちである。

では集中豪雨の頻度が増え、雨量が過去50~60年に例をみない環境変化が起りつつあるとすれば、どうすればよいのか。全体で35万ヶ所もあるのに、毎回自治体まかせで避難し、復旧をくりかえすだけでよいのだろうか

その日暮らしのメンタリティーでは解決しない
(個別最適が全体最適)

中日新聞の指摘する「豪雨土砂災害 情報が生死を分ける」から、情報を早めにだすということで、「高山では民間の気象情報会社のサービスも活用した素早く、きめ細かい避難勧告が奏功した。17日昼に避難勧告を出した地区でその夜、土砂災害が発生して民家1棟が全壊した。今月16~17日に記録的な大雨が降った岐阜県高山市では、約170ヵ所で崖崩れが起きたが、人的被害は1件もなかった。」と報道されている。

「広島県砂防課によると、危険箇所は全国最多の3.2万ヶ所をリストアップしているが、詳細な基礎調査が必要になるため、まだ、1.2万ヶ所しか指定できていない」という。
公平な比較をするなら、広島市と高山市では雨量の差もあり、また土質の違いも大きかったのだろう。詳細な基礎調査というのにも、試掘費用は1ヶ所20~50万円ともいわれ、広島市には残り2万ヶ所で40~100億円かかる計算になるから、予算の問題もあるだろう。

「土砂災害の恐れがある場所を、都道府県が特別警戒区域、警戒区域に指定する。警戒区域では避難態勢の整備と周知徹底が義務付けられ、特別警戒区域なら、宅地開発などが規制される。」規制されないためには、金のかかる土質調査などは後回しになるかも知れないし、住宅開発業者や既に住んでいる住民とすれば、警戒区域だと家の販売も難しくなる。

個人や家族としては命が第1であるから、先ずは早めの警告は欠かせないが、調査費用をどうするか。全国35万ヶ所もある危険な地域は、遅れるに任せておけばよいのか。

土砂崩れなどのリスクの軽減策

これから100年温暖化が続くとすれば、土砂災害は急増すると考えた方がよい。
津波の対策に長い防波堤が提唱されているが、500年に1度の災害より、これからは自分の家の裏の傾斜角が、30度以上ある場所では、生き埋めの心配の方が先だ

とうとう四国では3日で1メートルの豪雨が降った。記録的豪雨である。山岳でかなり丸みをおびて風化がすすんでいる地区も多いから、豪雨が増えて土砂崩れの危険対策のためには、全国的に点検をする必要もある東北沿岸に限らず山を削り、海抜40mの高さの平地をつくり、移住する方を提唱しているが、自治体の財政だけでは無理があるだろう。
100年計画で、地域ごとに人口の半数でも海抜40メートルに移住することにすれば、土木工事は専従者を失わないし、それで海外からの季節労働者も雇える。

100年計画で1年に1%ずつ直せば、いずれ危ないところに住まないで済む

すでに指摘したことのくり返しだが、これからの天候は予想を超えたものになるとしても、土砂災害を防ぐには、裏に山や崖があるところは、30度以上の傾斜地はさけるという土砂災害防止法と絵図入りの概要は守る必要があるだろう。これを当てはめて35万ヶ所に実行すると、どこへ住むのかという問題も解決できるだろう。
(http://www.mlit.go.jp/river/sabo/sinpoupdf/kaiseitorikumi.pdf)
工事を行うための労働者が不足しているから、アジア友好国の若者を募集して、まずは中高等学校をつくり、日本語の基礎を教え、つぎに工事手順など、さらに各地での工事の現場で研修する。これを一定の予算内で実施するしかない。無論日本人の生徒も何割かは加えチームを作れば、いずれは彼らの母国でも役立つはずだ。
(http://www.mlit.go.jp/river/sabo/linksinpou.htm)

既にダム建設の知識や経験はある。ダムの弱点は中に土砂が貯まって埋まってしまうことであるなら、それを逆に利用してはどうか。つまり最初から海抜40~50メートル高さで埋まる平地を造る予定で土留めダムを造り、計画的に山を崩すのだ。新幹線はすべて海抜50メートルに持ち上げれば、大変な金が掛かるという反対もあるだろうが、1%ずつ100年かけてやればどうか。

土砂災害警戒区域30万区域、(土砂災害)特別警戒区域17万区域あるというなら、これを順番にGDPの0.5~1%かけて100年かけて、優先順位をつけて、山を平地に変えるのだ。
ロックドリルで爆破し、大型建機で平地するのだ。林業でのアクセス道路の必要性も考えれば、山を削って平らにして、住民は高台に住み、平地に植林や農耕地を広げることはできないかという逆転の発想で検討をする自治体があってもよいと思う。



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(参考)中日新聞8月21日社説は優れた議論と思われる。(ttp://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2014082102000119.html)

豪雨土砂災害 情報が生死を分ける

 山裾の新興住宅地で、また…。局地的な豪雨に見舞われた広島県で土砂崩れが相次ぎ、

多くの犠牲者を出してしまった。過去の教訓は生かせなかったのか。命を守るため、先

手先手の情報発信を。

 広島市安佐南区、安佐北区で多数の住宅が土砂崩れや土石流にのみ込まれ、多くの住
民が生き埋めになった。犠牲者の冥福を祈るとともに、まずは、救助や被災者支援に全
力を尽くさねばならない。 広島県は、花こう岩が風化した「まさ土」と呼ばれる地質
が広がる。真砂土とも記され、水を含むと崩れやすい。
この一帯では、1999年6月の豪雨でも32人の死者・行方不明者を出した。土砂災
害の被害は、今回と同じように、まさ土の地盤に造成された山裾の新興住宅地に集中し
た。 99年の広島豪雨災害をきっかけに、国は土砂災害防止法を制定した。

土砂災害の恐れがある場所を、都道府県が特別警戒区域、警戒区域に指定する。警戒区
域では避難態勢の整備と周知徹底が義務付けられ、特別警戒区域なら、宅地開発などが
規制される。 
 今回、災害が発生した地域は、一部を除き、まだ、指定されていない場所だった。広
島県砂防課によると、危険箇所は全国最多の3万2千カ所をリストアップしているが、
詳細な基礎調査が必要になるため、まだ、1万2千カ所しか指定できていないという。
 現住者もいて、なかなか指定が進まない、というが、人々の命に関わる問題である。
指定されていれば、災害の危険性に対する住民の意識も違っていただろう。 広島市が
避難勧告を出したのが土砂崩れの通報が相次いでからだったことと併せ、後手に回った
対応が被害の拡大を招いた。未明の急激な豪雨ではあるが、情報の早期伝達は重要な課
題だ。
 今月16~17日に記録的な大雨が降った岐阜県高山市では、約170ヵ所で崖崩れ
が起きたが、人的被害は1件もなかった。民間の気象情報会社のサービスも活用した素
早く、きめ細かい避難勧告が奏功した。17日昼に避難勧告を出した地区でその夜、土
砂災害が発生して民家1棟が全壊した。住人は防災無線を聞いて小学校に避難しており、
無事だった。
 なかなか指定が進まないとはいえ、土砂災害防止法の警戒区域は既に全国で35万カ所。
危険を知らせる、危険を知る努力が命を守る第1歩であろう。(フォント・着色は編者)
非常災害対策本部に格上げ 防災相「被害拡大防止を」                                    政府は22日午前、広島市の土砂災害に関する非常災害対策本部を設置した。災害対策基
本法に基づき、関係省庁会議を格上げした。本部長の古屋圭司防災担当相は、初会合で
「救出活動の長期化も予想される。行方不明者の救出や被害拡大防止に全力を挙げてほし
い」と各省庁に指示した。
                                                             古屋氏はまた、避難者が約1700人となり、避難生活が長期間に及ぶ恐れがあると指摘。
水道や電気などのライフラインの早期復旧や、避難者の心身のケアを要請した。救助活動
の長期化が予想されるとして、安倍晋三首相が設置を指示した。広島県庁に設置している
現地災害対策室も現地対策本部に格上げした。(共同)

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