2014年6月9日月曜日

14105 新しい管理職の仕事は変わる?

14105


新しい管理職の仕事は変わる?
(残業地獄は終らない?)

ゼネコンの大手に参加している建築士や不動産業の関係者などとの会話は、ものを造る人の特徴で、一寸ガラは悪いが、とに角前向きな話しが多く楽しい。
珍しく聞こえた愚痴は、『日本では大学を出た人間に、会社はそれに見合うだけの頭を使う仕事をさせていないのではないか』というもの。
数校をのぞき、あまり勉強しない今の大学生を少し過大評価しているという意見もあるが、何時の時代でもやる人はやっているのだ。むしろ、先述したが、課長は40歳からとかいう15年の空白をやめる事ではないか。

自分が選択基準を作らない人は仕事量ばかり増える

《米国で工場を建てるので、発電機のメーカーを2、3社選んでくれませんか》という依頼があった。
『どういう規準で調べますか』と聞くと、『何でもいいから2社』という。それにしてもメーカーは何百社もあるのに、『何らかの選択基準があるだろう。全く考えるということをしないのかね』
『自分の選ぶ規準までこちらに考えさせる人では、そのあと他の関係部門がどんどん条件を加えてくるから、考えても無駄と思い頼んできたわけで、これから絞りこむのは大変できりがない』

『それよりは、定置式か移動式か、用途は工場用か空調用か』主な目的や用途だけでも絞れば2x2=4で作業は4分の1になる。工場の図面があるだけで、かなりの推測は出来るだろうに。
『サイズ、用途くらいまで絞ってくれれば、お互いに無駄な労力を使わないで済むのに。』
こうして考えることをできずに、膨大な電話やメールの交換が行われているのは1社や2社ではない。絞る条件を開示しないことによる無駄な作業である。視野を広げれば、仕事が絞れて、楽にこなせるのだ。こういう調子で、各社が後で無駄になる作業で、残業しすぎている。

《何を聞かれても答えられない窓口》

依頼したしごとをする上で必要最小限の情報を渡すというセクショナリズムとも呼べる社内ルールのため、なんでも丸秘にしがちだが、その多くは単に無難だという理由だけだ。情報をよその部門や海外に流さない社内ルールである。この効率無視が組織のガン細胞といえるかも知れない。
それだと海外の派遣社員は《何を聞かれても答えられない窓口》という役割をさせられる。これが上述した日米のメールのやり取りが何倍にもなる残業の原因といっても良い。外に出せないものはどういう理由かハッキリさせて、出せるものはどんどん出した方が仕事が早く出来る。

これを防ぐためには、できるだけ参考になる情報は、差し支えない限りメールして下さいという人が楽に仕事ができることになる。むろん、このチャンスに、どういうプロセスで工場の選択をするのだろうと好奇心をもてば、多くを学べるチャンスになるから、またあいつに頼もうと言われる。

ものを決めるために管理職はいる

最近、こうした管理職まえの人が急増しているが、これは大学を出たか出ないかというより、ものを決める為には優先順位が必要だと考える指導者が減ったためではないか。その管理職の役に立つには、できるだけ、依頼された項目だけでなく、周辺も考えた方がよいし、できればこういう代案があるという意見も考えておいたほうがよい。

つまり、こんな調子で『営業は売ってくればよい』という上司では、各国の現地人の売り子に勝てないかもしれない。つまり日本語と商品知識だけが武器では、不十分で、間口や視野を拡げて経営管理まで経験するか学んでおいた方が、頼りになる人材になれる。売上げを増やすには何をするか、手段と経費は、あるいはコストを下げるには何を削るか。営業の主要な判断はそこにあるが、未集金や顧客の倒産の不良債権の対策までゆけば、1流だろう。米国ではこの辺は与信枠を判断するプロもいるから、金額がある程度に達したら、そういう人を雇うことである。

前のシリーズ【17】以降に述べたのは、そういう優先順位の考え方である。
1.会社の価値観>2.進出目的>3.何をやるか>4.誰を決定者にするか>5.どこまで任せるか>6.予算>7.如何にやるか>8.何時までに、という順位を作ったとする。
貴方が担当するには、不可欠な調査をする必要がある。そのプロセスで《7.如何にやるか》の内の工場内の機器という1項目だけ任された人の場合は、何十という機器のリストを見てパニックになる必要はない。
1~3はトップ判断。4~6は事業責任者。自分の範囲外だから、上司やその部門に聞き、できるだけ上流にさかのぼって、政策や目的を理解しておくと、あとの仕事がやり易いし、的外れな仕事をしないで済む。


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