2014年12月30日火曜日

14164 英国からきた造園のプロ

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英国からきた造園のプロ

英国の雑然とした自然な庭と、フランスの宮殿の庭をくらべるのもフェアでないかも知れないが、NHKの報道もだいぶん興味深くなっている。これは19歳で日本にやってきて山梨にすむ英国人のポール・スミザーさんという造園師のことだ。
その土地に合わないものを持ってきて、無理に金をかけて育てるという考えよりは、彼は日本の草木を大事にしたいという。造園師は職人の世界だと考えていたが、マーケティングの手法も感じられる。長年日本のモノを米国に売り込んだ苦労と経験をもつ人には、参考にできるものが感じられるのではないか。

ポール・スミザー1970年、イギリス生まれ。ガーデンデザイナー。庭造りの講師としても活躍。『ポール・スミザーのおすすめ花ガイド』(講談社)など著書多数。2年前から「萌木の村」(山梨県)の造園に関わっている(撮影/写真部・松永卓也)植物も生き物だという認識

日本でもバラの花がすきな人が増え、バラ園がたくさんある。確かに一定の数をこえた量の花はパワーがあり、あるいは何十という種類の違いによる色のブレンドは名画に負けない感動がある。日本人は外国の草花が好きだ。

しかしこの庭師は少しちがう。合わないものを無理にもってきて、それが枯れたらまた新しいのをごっそり持ってきて植え替えるというのは、大事なものをむだにしていないかという。
(写真http://dot.asahi.com/photos/photogallery/archives/8263
/greencreators010/)

確かにそれはある。ステーキが好きだという人に、日本食の野菜の料理をおしえてみても食べない。ましてや、実際にやってみたという米人は少ない。
調理方法をまなぶ気もない人が多いが、それは生活スタイルが変わって、70年代から夫婦共働きになると外食がふえた(と言ってもピザやスパゲッティーなどが多いが)。

何種類もの野菜を下ごしらえから料理する気はないかも知れない。丁度その逆に日本でウイスキーを造り始めた『マッサンとエリー』のようなことにでもならなければ、米人女性も寿司の作り方を覚えようとはしない。

この庭師に話を戻すが、専門学校を出た彼には、まずはその土地の土や気候に合う草木を選ぶという基本があり、出来るだけ付近の山川を歩き回って、適した種類をみて歩くという当りまえの基本を欠かさない。その上で、どんな日照時間に快適な草木かを、それぞれをよく観察している。

更に現在でなく2~3年後、10年後はどう育つのかも考える。人は陽の当たる場所を歩きたがるが、それぞれの草木はどの場所がすきだろうか、少し木陰が良いようだとかを記録し、写真にのこしている。誰かにあとを継いで欲しいのだろう。

長期にみるほうが長続きする

今日欲しいと言って、すぐに手に入る景色を造ろうと思わなければ、2~3年先にも自力で成長し生き残れるような草花を選ぶから、多年草ばかりを中心にした庭になる。
そうすれば、あまり手のかからない自生できる景色が提供できるという考えである。
子育てでもよく言われるが、あまり細部でいじりすぎず、英国人らしく自然のままで自立して生きてゆける本人のよさを育てるやり方である。

『自分は限られた時間しか持たないし、1人しかいないが、皆さんが同じ事をおぼえてくれれば、自分が去っていなくなった後も、大勢が加わってくれる。鳥取の砂丘でも生き残る草木はどれか、そういう草木を大事に育て外来種を駆除できれば、この地にあったものが生き残れるでしょう』という。
『日本には2千以上の豊かな緑がある国で、自分はそれに魅せられて日本にやって来た。それを大事にして欲しい』という。
すでに25年以上が経ってしまったらしいが、この人の話には、非常に共感させられた。

何かをやろうとすれば、時間はかかるのだ。米国人にあった仕事のしかたを考えねば、自分が去ったあとは、大きな池に落とした小石のように何事もなかったように消えてしまうのだ。


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