2014年7月28日月曜日

14119 サービス産業での利益改善には

14119

サービス産業での利益改善に
(学びとそれが役立つ事業の世界-(4))

GDPに占めるサービス産業は20%で、製造業;18%、卸・小売業;14%、などをこえトップを占めるが、残念ながら就業者が多いが、付加価値率は1番少ない。その理由を考えれば、改善策はでてくる筈だ。それには他に行きどころがないからというのではなく、プロとしての条件ずくりが必要ではないか。
 
10年間の業種別人口と1人当たりGDP推移

最近の日本の産業で、有望な分野としての情報通信産業(14054でのべた)以外では、サービス産業という大分類がある。GDPに占めるサービス産業は20%で、製造業;18%、卸・小売業;14%、不動産;12%、政府サービス;9%、情報通信;6%、建設業;6%、運輸;5%、金融;5%(小計;95%)では、そのトップにあり、比率としては伸びている。


しかし、この業種で働く人数比率がたかい=付加価値(利益率や給与など)が低い点がまず注目される改善点である。要するに規制をへらし儲かるようにすることである。

サービス業は10年で3,594万人(61.9%;2002年)から3、856万人(71.4%;2012年)へ7.3%増えている。だが下の表の狭義サービスを全体とするとGDP貢献比率は45%でしかない。

就業人口

万人
全体


卸・小売
運輸
情報・通信
(医療・福祉、飲食宿泊)
2002年
3,594
1,126
338
163
1,816
2012年
3,856
1,154
348
186
2、011
就労増減%
+7.3
+2.5
+2.9
+14.1
+10.7
全体比(2012)
95%
29.9
8.7
4.8
52.2
総GDP全体比
45%
14%
5%
6%
20%
1人当たりGDP
増減%
―5.7
―3.7
-2.3
-14.5
-3.1
                                             (金融・保険、公務員、電気・ガス、不動産を除く)
何かと比較される製造業は、同じ期間で、就業者数は1,148万人から1,000万人へと12.9%減らしながら、GDPでは18%を占め、1人当たりGDPも2.6%増やしている
つまりデフレ=円高政策の間に工場は海外へ移転したが、その結果は製造業就業者の1部は狭義サービス業への異動で吸収されたと見える。

就労者数が増えているのに、付加価値(利益率)の低下を招いているからである。サービス業の利益率が上がらない内は、サービス業の時代だというのは早すぎる。

2013年からのインフレ政策への切りかえによる円安の効果で、今後輸出の伸びが期待できればよいが、原発アレルギーの消費者に便乗するような政治勢力もあり、電力コスト増ギーの増大(=貿易赤字増)となる。先端のレーザー加工など電気を喰う加工業はコスト競争はできるのか、達成が危ぶまれる面が危惧される。(シカゴの郊外では、4万人以下の村が一括電力を購入する形で、工場向けの料率で購入してKwh7円を少し越える安値にしている。なおイリノイ州の原発率は全米でもトップクラスの48%なため電気料金はやすいが、東京へ戻ると30円を越えている。)

男女差別がサービス産業に集中

日米の事務職の仕事の違いをみると、次のような違いが注目される。

① 事務職員の雑用外出をできる限り、削減する
例えば米国では、会社の支払いは総て小切手若しくは電子送金によるが、経理職員が銀行の本支店を訪問する必要性は殆どない。総てメールである
(日本では支払日には支店は混雑を極めている)ちなみに小企業では経理全体は、小切手管理も含め元大手の経験者などがパートでやり、事務職は正社員。
② 売買業務は多くが電子メールによって行われる。
③ 件数の多い部品などの見積書・発注書は殆どがメールで行なわれる。

④ 業務の平準化と標準化をできれば、会社間の転職も容易になる。配偶者の転勤での引越し時に転職もしやすく、年間稼動率が向上する。単身赴任(少子化・学習時間など低下)がへる。
⑤ 夫婦の合算では確定申告が殆どで、そこからの基礎控除は本人(達)と子供、1人3900ドルX家族数(4人なら15,600ドル)、それを引いたら、あとは持ち家のローンの金利くらいだろう。それで手取り所得が決まり、税率表で額がきまる。高所得者いがいは簡単である。

こうなれば、103万円を越えて仕事ができない主婦とか、130万円になると段階的などの問題もへり、雇用者側の経営自由度も改善する。(こういう収入につながらない経費が全国の民間企業でへり、その代わり税務署側では確定申告書を扱う事務処理が増えるが、GDPも増える。)

総務統計のデータは運輸、通信・情報が教育に変わるが以下のような男女差がある。ここには各産業別に散っている事務職の数字はでてこないが、日米の事務効率の違いは上述のとおりだ。
    
 女性比率の高いサービス職種
職種
女性(%)
男性(%)
(万人)合計
卸・小売
524(50.2)
518(49.8)
1、040
医療・福祉
53175.3
175(24.7)
706
宿泊・飲食
23161.4
145(38.6)
376
教育・学習
16455.6
131(44.4)
295
生活関連・娯楽
14058.5
99(41.5)
239






   http://www.stat.go.jp/info/kouhou/roudou/index.htm

これらの職種における男女の賃金差をうめ平準化を図るには、生産性(売上げ利益)の改善が不可欠である。要するに1人当たりの売上高、利益率を増やすための無駄な作業のカットである。
低賃金のしわ寄せは、女性比率のたかいサービス業にしわ寄せされているのだ。

年功にたよる終身雇用から、残業なしの競争社会に変える

日本の大手で総務経理を担当をしてきた経験者がいうには、日本では『空気を読めるか』ということが重要で、『他社との競争よりは、社内で差をつけられないこと』の方が大切だという。
だから、上司がのこれば全員残業になるのだが、これは日本の残業が平常化している勤務習慣によるものである。
なぜなら、日系企業の米国子会社では管理職をのぞき米人は殆ど残業なしで、仕事がスムーズに廻っている。(日本人派遣社員は、本社への報告で残業があるが)
残業代は40時間を越えると1.5倍、土曜出勤も残業とみなし、日曜祭日は2倍。だから、相手が合意すれば振り替え休日で必ず休んでいただく。

都市化が長時間通勤で無給時間を増やし、男女の賃金差・少子化の原因も作っている

という訳で、米国では給与体系も基本給と職務給などを分けたり、通勤、家族手当などは全くない1括である。それだけ雑務がへるばかりか計算もはやい。
有給休暇のほかに、年に1週間くらいは病欠・雑用の休みもとれる。歩合給の人は別として、原則として残業はさせないから、会社にいる間は仕事に集中して下さい、という訳である。米国やドイツなどが週35時間で残業なして高い付加価値を上げているのは、交通(費用・時間は個人負担)の比率が少ない点も大きい。往復1時間の無駄がなくなれば、生産性があがる

米国では社員が競争する相手は社内ではなく、社外の競争相手の同業者である。地域に於けるシェアはどちらが何パーセントかを意識しており、その意味での勝てる戦略は年に1、2度たてて見直す。下記の経済産業省レポートによれば、日本でのITのソフトの使い方が、守りの(経理)中心のもので、マーケッティング中心でなく、社内競争か報告義務によるものと呼べるだろう。残業代が1.5倍となれば、長時間労働に依存したやり方は、1気に変わるはずだ。

東京など大都会に集中している大学は、全寮制にして田舎に移せば、人口の分散ができ、バイト中心の学生が、安く広々した田舎での生活に変えられる。

14120
サービス産業の改善策(2)

サービス産業の中には金融や保険など機能も明確で、かなりのリスクを伴うものと、労働集約的なリサイクル、看護、介護、食堂などもある。どこを変えれば生産性が上がるのか考えたい。

中小企業のためにもビジネスのインフラを改善する

社内外に無料のデータがふんだんにあれば、データに基づいた考えで動くようになる。
最近の経産省のレポート/データが、マーケッティングの観点での考察がありこれを基に考えたい。
 『日本の魅力を生かした新たな価値創造産業の創出に向けて』 
 http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shojo/pdf/001_04_01.pdf
 『サービス産業の高付加価値化・生産性向上について』
  http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/service_koufukakachi/pdf/001_04_00.pdf

このレポートにあるBPO(ビジネス・プロセス外注)やITOを使わないのは、業界のプロセスの平準化が遅れているからだろう。つまりは、ソフト会社が儲けすぎているか、『うちと商売するなら、このフォームで』と受発注の注文書の書式が顧客で異なり、大手が自社の都合で書式の形を決めるため市販のソフトが使えずやたらに書類の数が多い
単価を上げているので、サービス業は人海戦術だ、頭より体だ、残業だという古い考えが、いまだにまん延している。米国のように現金をおかない会社では、小切手管理だけで、警備コストも減る。フォームがパソコンで電子化できれば事務が平準化できる。

それは運送業でいえば、道路の渋滞ばかりか、道路標識や駅内でのサインが不十分で分かりにくいなど、遅れているいる。東京1極になりすぎているから、防災対策にも首都圏をバイパスできる新幹線や物流のルートが求められているのではないか。

ブレーンと労働を分けた産業;フランチャイズ店

1番ハッキリして分かりやすいのは、ファースト・フードのチェーン店であろう。規模も大きいが、チェーンの元締めはブレーンの塊で、仕入れ、流通、人事、場所の選択、資金繰りなどがある。だが、それぞれの店は、店長いがいは時間給の労働者で務まる労働そのものである。コーヒー店、コンビニ、ネットカフェなどに加え、これからも多種のサービスが出てくるだろう。

50代の後半になると退職を迫られる国では、料理の上手な夫人達はレストランを始めて、子供が巣立ったあとは、家庭で食べなくなった分のエネルギーとノウハウを、有料で他人にも提供している。1人分を作るより5人分か10人分かを作った方が、仕入れも安くなり、省エネになるが、食べるほうは料理をするほどは頭を使わないともいうから、どうだろうか。

機器・機械類のサービス

最近特に目立つのは、小型建機などのレンタル業で働く従業員のレベルアップの必要性である。物を知らないばかりか、まともなトレーニングを受けていないため、補修部品として何を購入したらよいか分からず、価格だけは安いものを買いたいという人が多い。ものの中味は知らないから、そちらで時間が掛かってしまい、本人や売るがわの人件費のほうが、とっくに粗利を追い越している。

部品には必ず部品番号が付けられていて、それが壊れたり磨耗した時には、どこに行けば買えるかがわかる。いや、その筈である。これは情報の場合は、透明度を高めるとかの目的があるが、機器の場合は、製品寿命を延ばし、稼働率をあげるためには不可欠な仕事で、そのためには追跡可能性(トレーサビリティー)を高めて維持する必要性がある。

メーカーでは保障期間を設けていて、納入後6ヶ月間は無償取替えする重要部品と、磨耗して取り替えるべき有償取替え部品がある。だがIT産業のパソコンなどは、これは不良品が混じってしまったなと分かっても、自動車産業のような命には問題ないから、メーカはリコールをしないで、クレームしてきたユーザにのみ無償提供したりしている。

それは模造品が増えて、日本品のメーカー名まで全くコピーした製品が増えているためもあり、誰が悪いのか分からない、いわば"悪貨が良貨を駆逐する”状態になりつつある。いまのところ米国市場だけの現象かも知れぬが、脱法ドラグで騒ぎ始めた日本でも対策が求められるだろう。
こういう部分の人材が不足し始めていることは間違いない。

夜行無人トラック道路網はできないか

無人自動走行車ができれば、米国でしか運転しない人達も、日本でも運転できると述べたが、少し景気が活況になると、運転手が足りないという問題が起きている。

『自動走行車で世の中は変わるか[58]』でも昨年に述べたが、いっそのこと、無人自動車道路網を全国に作ってはどうだろう。夜間専用の自動走行車で配達用のトラックは無人にするのだ。
どうせ休耕地が多数あるなら、現在の高速道路のわきに夜間専用道路を、混みあう区間だけでもつくりスピードを上げて走らせれば、渋滞での人件費の無駄とイライラが減る。そういうトラックなら、米国やカナダ、ロシアのような大国では、運転は荷物が着いた後の小分けの配達だけですむから、居眠り運転や自己保険もかなり減額になりそうに思う。






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