2014年8月11日月曜日

14123 米人・アジア人は転職が昇給チャンス(1)(2)(3)(4)


14123

米人・アジア人は転職が昇給チャンス(1)
(日本人だけが特殊か?)

《正社員・派遣、幅広く職探し》という報道が1面で始って、日本も少しは変化しつつある。昨年【007~008】で述べたことに関連するが、日本人の多くはいまだに転職を恥ずかしく感じる発言が多い。

自分の都合のよい時間だけパートで働くというのが、国際社会の常識だ。日本だけの特殊分類をつくるより、世界で共通する分類で仕分けした方が、雇用面では日本人にも外国人にも働きやすい時代である。そうしないと、海外に派遣されても現地人と協働できないし、管理者になっても苦労する。だから、正規・非正規などという呼び名で分類するのは止めた方がよい。

24歳までに5.5回転職している米人

今では日本でも終身雇用がくずれて、大企業では1社で生涯を勤めるという時代ではないのだが、教育界はまだ変化に合わせた人材教育に応じきれていないようだ。最近の数年は日本からのインターン学生達の方が遥かに早く変化に気付いているから、海外に出てくるのだろうと思う。
転職しやすい訓練の必要性を納得してもらう前に、18歳から46歳までの米人がどのくらい転職しているかを米国労働省データから確かめてみた。
このデータは細分されており、学歴で高卒以下、高卒、短大中退、大卒かそれ以上に分けられる。

合計
転職数
18~
24
25~
29歳
30~
34歳
   35~
   39
40~
46歳
合計
11.3
5.5
3.0
2.4
2.1
2.1
男性
11.5
5.7
3.1
2.6
2.1
2.1
女性
11.1
5.3
2.8
2.3
2.0
2.1




更に男女、白人・非ヒスパニック、黒人、ヒスパニック・ラテン系に分けられている。高卒以上のそれぞれの数字は短大卒+-1回くらいで、男女差も0.5回以内であり、大差はないので省略した。

目だった特色
l        学歴が高い方が転職回数は高い(これは明らかに能力で雇われるのである)
l        平均は11回の転職しているが24~45歳の20年間では6回平均の転職である。
l        その半分の5.5回は、24歳までの1~2年の短期間の試行錯誤の転職である。(新卒は、どんな業種には自分に合いそうな職種があるかを、渡り歩いて調べ、気に入ったところで3~4年定着するという考え。雇うほうも最初の3ヶ月は試用期間で2~3割引の給与、6ヶ月なら8割とかリスク料を引いている。)
大卒が23歳で就職したとしても46歳までの23年で、残りの5.5回、平均4.4年の勤務である。

頭の良い人ほど早く転職するのは、先手で考える習慣をもっていて、景気が底入れする前からチャンスを探すからだ。今いる会社で景気が回復しつつあるのに、昇給できないのは会社が慎重すぎるからで、早く回復するために他所からでも欲しいという会社がある。そこに目星をつけて声をかけたり人材会社を使って求人活動をしているのだ。

米国では景気の波は起きるが、個々の企業の経営責任者の能力を超えたものと受け止める。その責任は経営者は負えないから、不況の場合はレイオフは当然と考える
日本式は、苦しい場合もできるだけ雇用は守るが、守れぬ場合はレイオフやサービス残業もやむ負えないと考える。最近はそういう習慣ができてきた。これが正規・非正規の違いや、サービス残業などという非合理な経営のひずみに反映される。
この違いは、大きな経済のサイクルの波は経営者の責任ではないから、従業員の転職も当たり前で、何ら恥ずべきことではないという考えで、これが拡大してゆくと見える。

NYだけを見てアメリカは分からない

NHKなどは今でもロンドン・ニューヨークという金融の中心地が、世界のニュースの中心と思っている人が多いが、最近は実情にそぐわないと考える人が増えている。
ニューヨークでもう求職を諦めてしまった人の例がインタビューされていたが、『景気が良くなっているというが、世界の有名校で大学・修士号までとった学卒者が全く相手にされなくなっている。だから景気の回復は本物ではない』というストーリになっている。
ところがアトランタ、シカゴやヒューストン、ダラスなどでは不景気な話しは聞かない。

上に述べたように24歳なら、年に2~3回転職して試す時期だとすれば、『安くても雇ってくれるところで、様々な業種で働いて経験をつんでみたらどうか』というのがアメリカ人の常識だという事になる。


サンプルとしては数ヶ所の話しがないと、事実の伝達にはならないのだ。


14024

雇用関係(職業)を契約だと見ていない日本人?
(転職に対する内心の抵抗)(2)

『夢のもてる社会;仕事と生活時間の切り分け 』【002】ご参照下さい

日本人の就職と雇用に対する考え方が、欧米だけでなくアジアでもかなり特殊だと見るデータがある。そこには終身雇用・年功序列の影響と片付けるにはゆかない別な理由があるようだ。
米国での移住データと、アジアを中心とした若手就労者の転職理由に日米比較を加えた1覧を見ると、気付く大きな違いがある

米国での移住者と離職数から見る転職パターン

米国での月次政府統計にみると、28.26千万人を総移住数とするが、同じ郡内;23.5百万人、郡外(税務署・選挙区が変わる);7.7百万人、州外;7.6百万人、国外1.3百万人である。
(郡Countyは州内の税務署管轄地域)

移住者の年齢層別では、
20~24歳;女性の32%、男性の28%、女性の方がアクティブである。
30~34歳:女性の20.3%、男性の19.3%、
40歳までは女性の11.28%、男性の12.26%が移住している。

離職数がそのまま転職数とはいえないが、後述する統計2014年3月の数字から推定年間離職者数は転職者数と、ほぼ同数の29.5百万人である。
失業率は6.3%であるが、5%は完全雇用の場合の失業率だというから、移民増加数を1%として相殺すると、恐らく上記の移住者数と転職者数は大差ないと推定できよう。

つまり、大卒で22~3歳から45年働く間に、平均4.1年で8~9回転職するというペースは、余り変わっていないばかりか、米人の動機は収入増をめざしたキャリアの追求であると言える。

日本の意外な特色
日本が注目される意外な理由は、けがや病気を理由とするものはどのアジア新興国よりも多い。また結婚・出産・育児・介護の理由での離職率はインドよりも高く、アジア8国で最低であり、大きな改善の余地が残されている。(もっとも、日本人の特性で他人の批判せず辞めるために、理由を自分の個人的なものを選んだ可能性はある)
驚かされる大きな違いは
① 賃金の不満は少なく米国の3分の1、アジア各国の6分の1、
② 人間関係への不満が非常に多いことである。じっとこらえて耐えすぎるのだ。

日本人は金(給与)のために働いていない?




これはD社の指摘する通り、『日本の退職理由は、
1番が「労働条件や勤務先への不満(16.7%)」で、
後は「仕事内容への不満(12.9%)」、
「会社の将来性は雇用安定性への不満(11.2%)」、
「人間関係への不満10.2%)」とわずかな差で続いている。
要するに不満が50%でネガティブな動機での転職である。退職理由が多様化していることも日本の特徴と言えよう。』(ダイヤモンド http://diamond.jp/articles/-/38933?page=3

米人の人間関係への不満がたった1.8%と低い点に比べても、日本人は仕事の内容の満足というより、《個人生活(感情)を職場に持ち込んでいる》という米人の指摘が妥当だろう。その点で、コミュニケーション能力を上げるのは、本人のためにも重要である。

自分が人事部長になろう

《会社は自分のやりたいことをやる場所》というよりは、私には、《雇ってもらい、相手の要求することをやる》ための受身の人生に見える。
どこまでゆけるか分からない地位という階段を上がる方が重要だと考えていないか。ピラミッドのどこまで登るかにもよるが、その確率は運だよりで決まる部分が多く、そんなものに賭けるより、はっきりしているやれることをやる方がよいという選択肢がある。

それは人任せの大手企業の人事よりは、自分がある程度の人事権をもった人生だという考え方である。つまり、相手(会社)に任せて不満をもつより、自分で決めて動く方がよい。
《昨今はそれほど地位にこだわりはなく、働ければよいというだけの若者が増えている》なおのこと、人生をどう生きるかという点から勇気を身につけねばならないと感じる。

それには転職の際、他社の経営者と話しを決めて契約にするか、共同出資の会社にして自分がその役員か主要なプレーヤになればよいという考えである。

減俸でも2桁が転職する日本人

もう1つ雇用市場として改善されるべき特色は、日本人だけが転職が昇給につながらないものが圧倒的に多い点である。
他のどの国でも、給与が上がるから転職するわけで、職場での不満を解消するために転職する比率は遥かに低い。(どこに行っても不満はあるだろうし、それを解消するような仕事は自分の仕事ではないと考えるのだ。)

海外ならむろん英語で現地の従業員が使えて、その上で日本語で経営報告ができますというところまでの管理能力を身につけることが条件だが、大手企業で課長くらいになれる人なら、それ程難しいことではあるまい。

何をすればより高い収入が得られるか、やりたいことができるかを考えて、必要な知識や経験を得たら転職し、より高い収入をえるというのが、これからの世界の趨勢だということである。
この点について、なぜ米人やアジア人は転職が平気で、日本人はそれを避けようとするのか考えてみたい。

14125

転職は増収の米国と減収の日本の違い?(3)


転職で昇給するには株式市場が上向く時期に

アンテナを高くするとよい。業界の方向が分かったところで、貴方を雇う会社が現われることはない。ハンターの目で探して獲りに行く考えでなければダメだ。残業などに追われていないで、むしろ日常の取引関係者などとの付き合いから、貴方の能力に注目してくれる人の方が、その人の業界が求める能力をもっていれば、『うちの会社で働かないか』という声が掛かる可能性は高いのだ。

そして好況がきたら転職しようと日頃準備をし、どんな産業のどの企業が良いかを研究し、その会社の人を訪ね、意見を聞いてみる。そういう会社を何社か準備しておくのには、人材会社をたづね相談に乗ってもらうのだ。これが米人のマネジャー以上になる人たちのやり方である。そこでは、履歴書の書き方から何でも指導してくれる。いよいよ間違いなく好況に転じたら動き出す。

好況で求人しても応募者数が追いつかなければ、労働単価はあがる。そこで転職する方が、不況で人が余っている時期に転職するより有利である。
つまりは日本人の転職は、自分が1番求められている好況になる時期に行うよりは、不況でレイオフされるような下り坂な時期に行うから、安売りになってしまうのではないか。

前章で見たように肩たたきされるのを待つ日本式だと、売り込む場合よりは取れる給与が低いのだ。
また、日本の景気が悪い時期には米国が上り坂ということもあるから、英語を習っておいて、日本・アジア・米国の3点で移動する方法もあるだろう。

業種により景気の回復は違う
グラフで、直ぐに職を探すのは気が早い。
経済サイクルは全体経済なので、個々の産業別の動向を見る必要がある。そこで産業別のグラフを見て頂きたい。いかに違った変化をしているかがわかる。

グラフの好きな方はGoogleで《graph of relationship between employment and gdp》と入力すれば多数のグラフが現われる。
それでインフレ=金利の上下=引き締めがあるかどうかなどがわかる。

しかし、それで貴方の業種のトレンドが分かるかといえば、右の業種別のグラフや業界紙の方が確かだろう。リーマンショック後で変動は大きいが、業種により大差があるとわかる。

会社で働くのは自分が儲けるため

既に前項で述べたことでもあるが、働くのは自分の運命(ご縁)であり社会的な役割を果たす義務であるという考えがある他方には会社は株主のためにあるのだから、株主がよろこべば社員にもよいから結果をだすという考えがある。私の場合は独立してからも長いあいだ前者の考えでやってきた。国立大学卒で奨学金まで借りて(返済済み)恩義を感じているのかも知れない。

ところが、会社に関する法律では、投資家である株主が会社をつくり金儲けが使命になっている。個人の目的と結果論がゴッチャになっているのだ。
日米の給与差をグラフにすると、30代で急に給与が増える日本式よりは、2~3年で市場価格まで昇給する米国式の方が、終身雇用でない会社では給与が先取りできる点で、それを株式投資などに回せるから、有利なのだ

    「銀行員は高収入」のカラクリ 「20代は安月給、50代で急降下」

      
    http://blogos.com/article/92639/

      銀行員で40歳を過ぎても生き残るのはエリートだが、実際は大多数が転職のトレーニングを受ける中小企業の管理職予備軍をつくるコースに入るのだそうだ。その意味で半沢直樹のTVドラマの大部分は実話に近いが、彼だけは架空、あんなに飛びぬけた跳ね返りでは生き残れないと言われている。
転職では長続きした同じ職場での経験を求めるよりは、(雇用する側の考え方やニーズも多様だから一概にはいえないが)、主として能力と経験を買うという考え方から、どこへ行っても役立つ能力を求めているといえる。

米人の転職率には驚かされるが、すべての米人が変化を好んで職を変わるわけではない。
米国の日系企業には気の長い安定を好む人たちが集まる傾向があり、40歳をすぎる頃から、子供の学費も増えてくると、安定した長続きをする職に就きたいという人が増える。

J.フランケル氏のグラフに見るとおり、当然のことだがGDPのグラフと雇用のグラフは連動している。太線はGDP、グレー線は雇用を表すが、これは需要と供給が連動しているからであり、その労働単価も市場が決めるのだ。
だから、今より10%増えれば移ろうかというように考える。http://www.hks.harvard.edu/fs/jfrankel/blog/images/quarterly.pdf


14126

転職(離職)計画は現職のあるうちから(4)

これはという能力のある人を採りたかったら、職にある人の中から引き抜きたいと考える人も多い。職がありながら求職するのはルール違反ではないかと感じる人もいるかも知れない。だが都会の近郊の人達は忙しく、インタビューして歩く時間がないから、プロの人材会社のエージェントを雇い有休を使って面接というのが、準管理職から上の一般的なやり方であろう。

就業しながら求職する習慣

仕事がなくなってから求職するより、職があるうちに探す方がよいという考えが一般的にある。仕事がないと焦りがでるが、仕事があれば冷静に考えて比較ができる利点もある。

現在の職務より先行きの経験面やキャリア・アップの役にたつか、より発展性のある業種か、1度は住んで人脈をもちたい国や都市か、などで検討できる。

レイオフされる前の職探しには幾つかの利点がある。
  • レイオフされていない人の方が、何かの理由で会社に残って欲しい理由があると推測される面でも有利にはたらくこともある。まずは、現在よりも高い希望給与をを要求できる。
  • 相手の会社にスカウトされた形に近く、(人材会社に登録した結果でも)新職場の仕事や、周辺の事業部の内容も聞き知ることができ、将来の能力拡大のチャンスも理解できる。
  • 貯金を減らさないで求職できるほうが、資産を減らさないから、家族も安心する面も大きい。
  • たとえ3年契約で雇われているようなケースでも、雇用者が、より長期雇用の契約を提示してくれることもある。
これは逆も言えることではあるが、新たな職種のために、トレーニングを受けたり、移住するよりは、今のままでも継続しながら次の仕事まで繋ぐ事ができる。
その逆で、余り同じ仕事に長居してしまうと慣れすぎて、5年のペースで転職するチャンスを失うこともありうる

部長以上は求人会社に専任担当がいる場合も多い

エキュゼクティブ(役職者)専門の求人会社に自分の係りがいて、本人の希望や考えにあう職場を時間をかけて探してくれることも多い。自分が商品だとすれば販売担当者をもつとも言える。
タレントと違いそういう会社を1~2社もっていて、そのどれかが適当な会社を見つけてくれる。
人材会社は、通常は雇う会社からきまった手数料をとるから、個人で負担することは少ないが、プロのスポーツ選手などは、家族全員のマネジャー的な仕事や雑務もやってくれるようだ。
下表は米国の離職統計だが、大体同じ数が2週間の事前通知で転職すると考えてよい。


米国労働統計    表 4. 離職、産業別、地域別、季節調整済み
産業と地域
千人単位(月次)
比率
Apr.
2013
Dec.
2013
Jan.
2014
Feb.
2014
Mar.
2014
Apr.
2014
(p)
Apr.
2013
Dec.
2013
Jan.
2014
Feb.
2014
Mar.
2014
Apr.
2014
(p)
合計
2,238
2,417
2,368
2,475
2,461
2,473
1.6
1.8
1.7
1.8
1.8
1.8
合計、民間
2,090
2,286
2,240
2,341
2,330
2,342
1.8
2.0
1.9
2.0
2.0
2.0
建設
101
85
96
91
87
123
1.7
1.4
1.6
1.5
1.5
2.0
製造
117
121
118
114
125
110
1.0
1.0
1.0
0.9
1.0
0.9
耐久財
67
66
61
60
66
59
0.9
0.9
0.8
0.8
0.9
0.8
消費財
50
55
56
54
59
51
1.1
1.2
1.3
1.2
1.3
1.1
商業、輸送、エネルギー
473
529
539
556
578
593
1.8
2.0
2.1
2.1
2.2
2.3
小売
340
383
421
419
432
448
2.3
2.5
2.8
2.7
2.8
2.9
専門分野、事業サービス
424
540
474
486
511
469
2.3
2.9
2.5
2.6
2.7
2.5
教育、健康    サービス
293
316
305
304
275
305
1.4
1.5
1.4
1.4
1.3
1.4
福祉・社会    支援
263
283
269
265
240
269
1.5
1.6
1.5
1.5
1.3
1.5
娯楽
452
457
485
538
510
510
3.2
3.2
3.4
3.7
3.5
3.5
芸術・レクリエーション
40
53
42
47
52
46
2.0
2.5
2.0
2.3
2.5
2.2
宿泊・飲食サービス
412
404
443
491
458
465
3.4
3.3
3.6
4.0
3.7
3.7
連邦政府
148
131
129
134
131
131
0.7
0.6
0.6
0.6
0.6
0.6
州・自治体
137
119
118
124
120
120
0.7
0.6
0.6
0.7
0.6
0.6













(2014(p)は仮速報)http://www.bls.gov/news.release/jolts.t04.htm

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