2014年8月10日日曜日

14024 雇用関係(職業)を契約だと見ていない日本人?(2)(4)

14024

雇用関係(職業)を契約だと見ていない日本人?
(転職に対する内心の抵抗)(2)

『夢のもてる社会;仕事と生活時間の切り分け 』【002】ご参照下さい

日本人の就職と雇用に対する考え方が、欧米だけでなくアジアでもかなり特殊だと見るデータがある。そこには終身雇用・年功序列の影響と片付けるにはゆかない別な理由があるようだ。
米国での移住データと、アジアを中心とした若手就労者の転職理由に日米比較を加えた1覧を見ると、気付く大きな違いがある

米国での移住者と離職数から見る転職パターン

米国での月次政府統計にみると、28.26千万人を総移住数とするが、同じ郡内;23.5百万人、郡外(税務署・選挙区が変わる);7.7百万人、州外;7.6百万人、国外1.3百万人である。
(郡Countyは州内の税務署管轄地域)

移住者の年齢層別では、
20~24歳;女性の32%、男性の28%、女性の方がアクティブである。
30~34歳:女性の20.3%、男性の19.3%、
40歳までは女性の11.28%、男性の12.26%が移住している。

離職数がそのまま転職数とはいえないが、後述する統計2014年3月の数字から推定年間離職者数は転職者数と、ほぼ同数の29.5百万人である。
失業率は6.3%であるが、5%は完全雇用の場合の失業率だというから、移民増加数を1%として相殺すると、恐らく上記の移住者数と転職者数は大差ないと推定できよう。

つまり、大卒で22~3歳から45年働く間に、平均4.1年で8~9回転職するというペースは、余り変わっていないばかりか、米人の動機は収入増をめざしたキャリアの追求であると言える。

日本の意外な特色

日本が注目される意外な理由は、けがや病気を理由とするものはどのアジア新興国よりも多い。また結婚・出産・育児・介護の理由での離職率はインドよりも高く、アジア8国で最低であり、大きな改善の余地が残されている。(もっとも、日本人の特性で他人の批判せず辞めるために、理由を自分の個人的なものを選んだ可能性はある)
驚かされる大きな違いは、
① 賃金の不満は少なく米国の3分の1、アジア各国の6分の1、
② 人間関係への不満が非常に多いことである。

日本人は金(給与)のために働いていない?




これはD社の指摘する通り、『日本の退職理由は、
1番が「労働条件や勤務先への不満(16.7%)」で、
後は「仕事内容への不満(12.9%)」、
「会社の将来性は雇用安定性への不満(11.2%)」、
「人間関係への不満10.2%)」とわずかな差で続いている。
要するに不満が50%でネガティブな動機での転職である。退職理由が多様化していることも日本の特徴と言えよう。』(ダイヤモンド http://diamond.jp/articles/-/38933?page=3

米人の人間関係への不満がたった1.8%と低い点に比べても、日本人は仕事の内容の満足というより、《個人生活(感情)を職場に持ち込んでいる》という米人の指摘が妥当だろう。その点で、コミュニケーション能力を上げるのは、本人のためにも重要である。

自分が人事部長になろう

《会社は自分のやりたいことをやる場所》というよりは、私には、《雇ってもらい、相手の要求することをやる》ための受身の人生に見える。
どこまでゆけるか分からない地位という階段を上がる方が重要だと考えていないか。ピラミッドのどこまで登るかにもよるが、その確率は運だよりで決まる部分が多く、そんなものに賭けるより、はっきりしているやれることをやる方がよいという選択肢がある。

それは人任せの大手企業の人事よりは、自分がある程度の人事権をもった人生だという考え方である。つまり、相手(会社)に任せて不満をもつより、自分で決めて動く方がよい。
《昨今はそれほど地位にこだわりはなく、働ければよいというだけの若者が増えている》というから、なおのこと、人生をどう生きるかという点から勇気を身につけねばならないと感じる。

それには転職の際、他社の経営者と話しを決めて契約にするか、共同出資の会社にして自分がその役員か主要なプレーヤになればよいという考えである。

減俸でも2桁が転職する日本人

もう1つ雇用市場として改善されるべき特色は、日本人だけが転職が昇給につながらないものが圧倒的に多い点である。
他のどの国でも、給与が上がるから転職するわけで、職場での不満を解消するために転職する比率は遥かに低い。(どこに行っても不満はあるだろうし、それを解消するような仕事は自分の仕事ではないと考えるのだ。)

海外ならむろん英語で現地の従業員が使えて、その上で日本語で経営報告ができますというところまでの管理能力を身につけることが条件だが、大手企業で課長くらいになれる人なら、それ程難しいことではあるまい。

何をすればより高い収入が得られるか、やりたいことができるかを考えて、必要な知識や経験を得たら転職し、より高い収入をえるというのが、これからの世界の趨勢だということである。

この点について、なぜ米人やアジア人は転職が平気で、日本人はそれを避けようとするのか考えてみたい。

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転職(離職)計画は現職のあるうちから(4)

これはという能力のある人を採りたかったら、職にある人の中から引き抜きたいと考える人も多い。職がありながら求職するのはルール違反ではないかと感じる人もいるかも知れない。だが都会の近郊の人達は忙しく、インタビューして歩く時間がないから、プロの人材会社のエージェントを雇い有休を使って面接というのが、準管理職から上の一般的なやり方であろう。

就業しながら求職する習慣

仕事がなくなってから求職するより、職があるうちに探す方がよいという考えが一般的にある。仕事がないと焦りがでるが、仕事があれば冷静に考えて比較ができる利点もある。
現在の職務より先行きの経験面やキャリア・アップの役にたつか、より発展性のある業種か、1度は住んで人脈をもちたい国や都市か、などで検討できる。

レイオフされる前の職探しには幾つかの利点がある。
  • レイオフされていない人の方が、何かの理由で会社に残って欲しい理由があると推測される面でも有利にはたらくこともある。まずは、現在よりも高い希望給与をを要求できる。
  • 相手の会社にスカウトされた形に近く、(人材会社に登録した結果でも)新職場の仕事や、周辺の事業部の内容も聞き知ることができ、将来の能力拡大のチャンスも理解できる。
  • 貯金を減らさないで求職できるほうが、資産を減らさないから、家族も安心する面も大きい。
  • たとえ3年契約で雇われているようなケースでも、雇用者が、より長期雇用の契約を提示してくれることもある。
これは逆も言えることではあるが、新たな職種のために、トレーニングを受けたり、移住するよりは、今のままでも継続しながら次の仕事まで繋ぐ事ができる。その逆で、余り同じ仕事に長居してしまうと慣れすぎて、5年のペースで転職するチャンスを失うこともありうる

部長以上は求人会社に専任担当がいる場合も多い

エキュゼクティブ(役職者)専門の求人会社に自分の係りがいて、本人の希望や考えにあう職場を時間をかけて探してくれることも多い。自分が商品だとすれば販売担当者をもつとも言える。
タレントと違いそういう会社を1~2社もっていて、そのどれかが適当な会社を見つけてくれる。
人材会社は、通常は雇う会社からきまった手数料をとるから、個人で負担することは少ないが、プロのスポーツ選手などは、家族全員のマネジャー的な仕事や雑務もやってくれるようだ。

下の表は米国の離職統計だが、大体同じ数が2週間の事前通知で転職すると考えてよい。


米国労働統計    表 4. 離職、産業別、地域別、季節調整済み
産業と地域
千人単位(月次)
比率
Apr.
2013
Dec.
2013
Jan.
2014
Feb.
2014
Mar.
2014
Apr.
2014
(p)
Apr.
2013
Dec.
2013
Jan.
2014
Feb.
2014
Mar.
2014
Apr.
2014
(p)
合計
2,238
2,417
2,368
2,475
2,461
2,473
1.6
1.8
1.7
1.8
1.8
1.8
合計、民間
2,090
2,286
2,240
2,341
2,330
2,342
1.8
2.0
1.9
2.0
2.0
2.0
建設
101
85
96
91
87
123
1.7
1.4
1.6
1.5
1.5
2.0
製造
117
121
118
114
125
110
1.0
1.0
1.0
0.9
1.0
0.9
耐久財
67
66
61
60
66
59
0.9
0.9
0.8
0.8
0.9
0.8
消費財
50
55
56
54
59
51
1.1
1.2
1.3
1.2
1.3
1.1
商業、輸送、エネルギー
473
529
539
556
578
593
1.8
2.0
2.1
2.1
2.2
2.3
小売
340
383
421
419
432
448
2.3
2.5
2.8
2.7
2.8
2.9
専門分野、事業サービス
424
540
474
486
511
469
2.3
2.9
2.5
2.6
2.7
2.5
教育、健康    サービス
293
316
305
304
275
305
1.4
1.5
1.4
1.4
1.3
1.4
福祉・社会    支援
263
283
269
265
240
269
1.5
1.6
1.5
1.5
1.3
1.5
娯楽
452
457
485
538
510
510
3.2
3.2
3.4
3.7
3.5
3.5
芸術・レクリエーション
40
53
42
47
52
46
2.0
2.5
2.0
2.3
2.5
2.2
宿泊・飲食サービス
412
404
443
491
458
465
3.4
3.3
3.6
4.0
3.7
3.7
連邦政府
148
131
129
134
131
131
0.7
0.6
0.6
0.6
0.6
0.6
州・自治体
137
119
118
124
120
120
0.7
0.6
0.6
0.7
0.6
0.6













(2014(p)は仮速報)http://www.bls.gov/news.release/jolts.t04.htm

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