14123
米人・アジア人は転職が昇給チャンス(1)
米人・アジア人は転職が昇給チャンス(1)
(日本人だけが特殊か?)
《正社員・派遣、幅広く職探し》という報道が1面で始って、日本も少しは変化しつつある。昨年【007~008】で述べたことに関連するが、日本人の多くはいまだに転職を恥ずかしく感じる発言が多い。
自分の都合のよい時間だけパートで働くというのが、国際社会の常識だ。日本だけの特殊分類をつくるより、世界で共通する分類で仕分けした方が、雇用面では日本人にも外国人にも働きやすい時代である。そうしないと、海外に派遣されても現地人と協働できないし、管理者になっても苦労する。だから、正規・非正規などという呼び名で分類するのは止めた方がよい。
24歳までに5.5回転職している米人
今では日本でも終身雇用がくずれて、大企業では1社で生涯を勤めるという時代ではないのだが、教育界はまだ変化に合わせた人材教育に応じきれていないようだ。最近の数年は日本からのインターン学生達の方が遥かに早く変化に気付いているから、海外に出てくるのだろうと思う。
転職しやすい訓練の必要性を納得してもらう前に、18歳から46歳までの米人がどのくらい転職しているかを米国労働省データから確かめてみた。
このデータは細分されており、学歴で高卒以下、高卒、短大中退、大卒かそれ以上に分けられる。
合計
転職数
|
18~
24歳 |
25~
29歳 |
30~
34歳 |
35~
39歳 |
40~
46歳 | |
合計
|
11.3
|
5.5
|
3.0
|
2.4
|
2.1
|
2.1
|
男性
|
11.5
|
5.7
|
3.1
|
2.6
|
2.1
|
2.1
|
女性
|
11.1
|
5.3
|
2.8
|
2.3
|
2.0
|
2.1
|
更に男女、白人・非ヒスパニック、黒人、ヒスパニック・ラテン系に分けられている。高卒以上のそれぞれの数字は短大卒+-1回くらいで、男女差も0.5回以内であり、大差はないので省略した。
目だった特色;
l 学歴が高い方が転職回数は高い。(これは明らかに能力で雇われるのである)
l 平均は11回の転職をしているが24~45歳の20年間では6回平均の転職である。
l その半分の5.5回は、24歳までの1~2年の短期間の試行錯誤の転職である。(新卒は、どんな業種には自分に合いそうな職種があるかを、渡り歩いて調べ、気に入ったところで3~4年定着するという考え。雇うほうも最初の3ヶ月は試用期間で2~3割引の給与、6ヶ月なら8割とかリスク料を引いている。)
大卒が23歳で就職したとしても46歳までの23年で、残りの5.5回、平均4.4年の勤務である。
頭の良い人ほど早く転職するのは、先手で考える習慣をもっていて、景気が底入れする前からチャンスを探すからだ。今いる会社で景気が回復しつつあるのに、昇給できないのは会社が慎重すぎるからで、早く回復するために他所からでも欲しいという会社がある。そこに目星をつけて声をかけたり人材会社を使って求人活動をしているのだ。
米国では景気の波は起きるが、個々の企業の経営責任者の能力を超えたものと受け止める。その責任は経営者は負えないから、不況の場合はレイオフは当然と考える。
日本式は、苦しい場合もできるだけ雇用は守るが、守れぬ場合はレイオフやサービス残業もやむ負えないと考える。最近はそういう習慣ができてきた。これが正規・非正規の違いや、サービス残業などという非合理な経営のひずみに反映される。
日本式は、苦しい場合もできるだけ雇用は守るが、守れぬ場合はレイオフやサービス残業もやむ負えないと考える。最近はそういう習慣ができてきた。これが正規・非正規の違いや、サービス残業などという非合理な経営のひずみに反映される。
この違いは、大きな経済のサイクルの波は経営者の責任ではないから、従業員の転職も当たり前で、何ら恥ずべきことではないという考えで、これが拡大してゆくと見える。
NYだけを見てアメリカは分からない
NHKなどは今でもロンドン・ニューヨークという金融の中心地が、世界のニュースの中心と思っている人が多いが、最近は実情にそぐわないと考える人が増えている。
ニューヨークでもう求職を諦めてしまった人の例がインタビューされていたが、『景気が良くなっているというが、世界の有名校で大学・修士号までとった学卒者が全く相手にされなくなっている。だから景気の回復は本物ではない』というストーリになっている。
ところがアトランタ、シカゴやヒューストン、ダラスなどでは不景気な話しは聞かない。
上に述べたように24歳なら、年に2~3回転職して試す時期だとすれば、『安くても雇ってくれるところで、様々な業種で働いて経験をつんでみたらどうか』というのがアメリカ人の常識だという事になる。
サンプルとしては数ヶ所の話しがないと、事実の伝達にはならないのだ。
NYだけを見てアメリカは分からない
NHKなどは今でもロンドン・ニューヨークという金融の中心地が、世界のニュースの中心と思っている人が多いが、最近は実情にそぐわないと考える人が増えている。
ニューヨークでもう求職を諦めてしまった人の例がインタビューされていたが、『景気が良くなっているというが、世界の有名校で大学・修士号までとった学卒者が全く相手にされなくなっている。だから景気の回復は本物ではない』というストーリになっている。
ところがアトランタ、シカゴやヒューストン、ダラスなどでは不景気な話しは聞かない。
上に述べたように24歳なら、年に2~3回転職して試す時期だとすれば、『安くても雇ってくれるところで、様々な業種で働いて経験をつんでみたらどうか』というのがアメリカ人の常識だという事になる。
サンプルとしては数ヶ所の話しがないと、事実の伝達にはならないのだ。
14125
転職は増収の米国と減収の日本の違い?(3)
業種により景気の回復は違う
グラフで、直ぐに職を探すのは気が早い。
経済サイクルは全体経済なので、個々の産業別の動向を見る必要がある。そこで産業別のグラフを見て頂きたい。いかに違った変化をしているかがわかる。
グラフの好きな方はGoogleで《graph of relationship between employment and gdp》と入力すれば多数のグラフが現われる。
会社で働くのは自分が儲けるため
既に前項で述べたことでもあるが、働くのは自分の運命(ご縁)であり社会的な役割を果たす義務であるという考えがある。他方には会社は株主のためにあるのだから、株主がよろこべば社員にもよいから結果をだすという考えがある。私の場合は独立してからも長いあいだ前者の考えでやってきた。国立大学卒で奨学金まで借りて(返済済み)恩義を感じているのかも知れない。
ところが、会社に関する法律では、投資家である株主が会社をつくり金儲けが使命になっている。個人の目的と結果論がゴッチャになっているのだ。
転職で昇給するには株式市場が上向く時期に
アンテナを高くするとよい。業界の方向が分かったところで、貴方を雇う会社が現われることはない。ハンターの目で探して獲りに行く考えでなければダメだ。残業などに追われていないで、むしろ日常の取引関係者などとの付き合いから、貴方の能力に注目してくれる人の方が、その人の業界が求める能力をもっていれば、『うちの会社で働かないか』という声が掛かる可能性は高いのだ。
アンテナを高くするとよい。業界の方向が分かったところで、貴方を雇う会社が現われることはない。ハンターの目で探して獲りに行く考えでなければダメだ。残業などに追われていないで、むしろ日常の取引関係者などとの付き合いから、貴方の能力に注目してくれる人の方が、その人の業界が求める能力をもっていれば、『うちの会社で働かないか』という声が掛かる可能性は高いのだ。
そして好況がきたら転職しようと日頃準備をし、どんな産業のどの企業が良いかを研究し、その会社の人を訪ね、意見を聞いてみる。そういう会社を何社か準備しておくのには、人材会社をたづね相談に乗ってもらうのだ。これが米人のマネジャー以上になる人たちのやり方である。そこでは、履歴書の書き方から何でも指導してくれる。いよいよ間違いなく好況に転じたら動き出す。
好況で求人しても応募者数が追いつかなければ、労働単価はあがる。そこで転職する方が、不況で人が余っている時期に転職するより有利である。
つまりは日本人の転職は、自分が1番求められている好況になる時期に行うよりは、不況でレイオフされるような下り坂な時期に行うから、安売りになってしまうのではないか。
前章で見たように肩たたきされるのを待つ日本式だと、売り込む場合よりは取れる給与が低いのだ。
また、日本の景気が悪い時期には米国が上り坂ということもあるから、英語を習っておいて、日本・アジア・米国の3点で移動する方法もあるだろう。
業種により景気の回復は違う
グラフで、直ぐに職を探すのは気が早い。
経済サイクルは全体経済なので、個々の産業別の動向を見る必要がある。そこで産業別のグラフを見て頂きたい。いかに違った変化をしているかがわかる。
それでインフレ=金利の上下=引き締めがあるかどうかなどがわかる。
しかし、それで貴方の業種のトレンドが分かるかといえば、右の業種別のグラフや業界紙の方が確かだろう。リーマンショック後で変動は大きいが、業種により大差があるとわかる。
既に前項で述べたことでもあるが、働くのは自分の運命(ご縁)であり社会的な役割を果たす義務であるという考えがある。他方には会社は株主のためにあるのだから、株主がよろこべば社員にもよいから結果をだすという考えがある。私の場合は独立してからも長いあいだ前者の考えでやってきた。国立大学卒で奨学金まで借りて(返済済み)恩義を感じているのかも知れない。
ところが、会社に関する法律では、投資家である株主が会社をつくり金儲けが使命になっている。個人の目的と結果論がゴッチャになっているのだ。
日米の給与差をグラフにすると、30代で急に給与が増える日本式よりは、2~3年で市場価格まで昇給する米国式の方が、終身雇用でない会社では給与が先取りできる点で、それを株式投資などに回せるから、有利なのだ。
転職では長続きした同じ職場での経験を求めるよりは、(雇用する側の考え方やニーズも多様だから一概にはいえないが)、主として能力と経験を買うという考え方から、どこへ行っても役立つ能力を求めているといえる。
米人の転職率には驚かされるが、すべての米人が変化を好んで職を変わるわけではない。
米国の日系企業には気の長い安定を好む人たちが集まる傾向があり、40歳をすぎる頃から、子供の学費も増えてくると、安定した長続きをする職に就きたいという人が増える。
J.フランケル氏のグラフに見るとおり、当然のことだがGDPのグラフと雇用のグラフは連動している。太線はGDP、グレー線は雇用を表すが、これは需要と供給が連動しているからであり、その労働単価も市場が決めるのだ。
だから、今より10%増えれば移ろうかというように考える。(http://www.hks.harvard.edu/fs/jfrankel/blog/images/quarterly.pdf)
14126
転職(離職)計画は現職のあるうちから(4)
これはという能力のある人を採りたかったら、職にある人の中から引き抜きたいと考える人も多い。職がありながら求職するのはルール違反ではないかと感じる人もいるかも知れない。だが都会の近郊の人達は忙しく、インタビューして歩く時間がないから、プロの人材会社のエージェントを雇い有休を使って面接というのが、準管理職から上の一般的なやり方であろう。
就業しながら求職する習慣
仕事がなくなってから求職するより、職があるうちに探す方がよいという考えが一般的にある。仕事がないと焦りがでるが、仕事があれば冷静に考えて比較ができる利点もある。
現在の職務より先行きの経験面やキャリア・アップの役にたつか、より発展性のある業種か、1度は住んで人脈をもちたい国や都市か、などで検討できる。
レイオフされる前の職探しには幾つかの利点がある。
- レイオフされていない人の方が、何かの理由で会社に残って欲しい理由があると推測される面でも有利にはたらくこともある。まずは、現在よりも高い希望給与をを要求できる。
- 相手の会社にスカウトされた形に近く、(人材会社に登録した結果でも)新職場の仕事や、周辺の事業部の内容も聞き知ることができ、将来の能力拡大のチャンスも理解できる。
- 貯金を減らさないで求職できるほうが、資産を減らさないから、家族も安心する面も大きい。
- たとえ3年契約で雇われているようなケースでも、雇用者が、より長期雇用の契約を提示してくれることもある。
部長以上は求人会社に専任担当がいる場合も多い
エキュゼクティブ(役職者)専門の求人会社に自分の係りがいて、本人の希望や考えにあう職場を時間をかけて探してくれることも多い。自分が商品だとすれば販売担当者をもつとも言える。
タレントと違いそういう会社を1~2社もっていて、そのどれかが適当な会社を見つけてくれる。
人材会社は、通常は雇う会社からきまった手数料をとるから、個人で負担することは少ないが、プロのスポーツ選手などは、家族全員のマネジャー的な仕事や雑務もやってくれるようだ。
下の表は米国の離職統計だが、大体同じ数が2週間の事前通知で転職すると考えてよい。
米国労働統計 表 4. 離職、産業別、地域別、季節調整済み
| ||||||||||||
産業と地域
|
千人単位(月次)
|
比率
| ||||||||||
Apr.
2013 |
Dec.
2013 |
Jan.
2014 |
Feb.
2014 |
Mar.
2014 |
Apr.
2013 |
Dec.
2013 |
Jan.
2014 |
Feb.
2014 |
Mar.
2014 | |||
合計
|
2,238
|
2,417
|
2,368
|
2,475
|
2,461
|
2,473
|
1.6
|
1.8
|
1.7
|
1.8
|
1.8
|
1.8
|
合計、民間
|
2,090
|
2,286
|
2,240
|
2,341
|
2,330
|
2,342
|
1.8
|
2.0
|
1.9
|
2.0
|
2.0
|
2.0
|
建設
|
101
|
85
|
96
|
91
|
87
|
123
|
1.7
|
1.4
|
1.6
|
1.5
|
1.5
|
2.0
|
製造
|
117
|
121
|
118
|
114
|
125
|
110
|
1.0
|
1.0
|
1.0
|
0.9
|
1.0
|
0.9
|
耐久財
|
67
|
66
|
61
|
60
|
66
|
59
|
0.9
|
0.9
|
0.8
|
0.8
|
0.9
|
0.8
|
消費財
|
50
|
55
|
56
|
54
|
59
|
51
|
1.1
|
1.2
|
1.3
|
1.2
|
1.3
|
1.1
|
商業、輸送、エネルギー
|
473
|
529
|
539
|
556
|
578
|
593
|
1.8
|
2.0
|
2.1
|
2.1
|
2.2
|
2.3
|
小売
|
340
|
383
|
421
|
419
|
432
|
448
|
2.3
|
2.5
|
2.8
|
2.7
|
2.8
|
2.9
|
専門分野、事業サービス
|
424
|
540
|
474
|
486
|
511
|
469
|
2.3
|
2.9
|
2.5
|
2.6
|
2.7
|
2.5
|
教育、健康 サービス
|
293
|
316
|
305
|
304
|
275
|
305
|
1.4
|
1.5
|
1.4
|
1.4
|
1.3
|
1.4
|
福祉・社会 支援
|
263
|
283
|
269
|
265
|
240
|
269
|
1.5
|
1.6
|
1.5
|
1.5
|
1.3
|
1.5
|
娯楽
|
452
|
457
|
485
|
538
|
510
|
510
|
3.2
|
3.2
|
3.4
|
3.7
|
3.5
|
3.5
|
芸術・レクリエーション
|
40
|
53
|
42
|
47
|
52
|
46
|
2.0
|
2.5
|
2.0
|
2.3
|
2.5
|
2.2
|
宿泊・飲食サービス
|
412
|
404
|
443
|
491
|
458
|
465
|
3.4
|
3.3
|
3.6
|
4.0
|
3.7
|
3.7
|
連邦政府
|
148
|
131
|
129
|
134
|
131
|
131
|
0.7
|
0.6
|
0.6
|
0.6
|
0.6
|
0.6
|
州・自治体
|
137
|
119
|
118
|
124
|
120
|
120
|
0.7
|
0.6
|
0.6
|
0.7
|
0.6
|
0.6
|
(2014(p)は仮速報)(http://www.bls.gov/news.release/jolts.t04.htm)
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