2014年3月23日日曜日

14070 里山資本主義は自立できるか(社会福祉コストの削減)

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里山資本主義は自立できるか(社会福祉コストの削減)

TPPでは農業の5品目は死守すると頑張っている。だが既存の農業は構造的に変化を求められている。そこで里山資本主義という提案がだされているが、これは洋の東西の中間にあるかもしれない、非常にユニークな考えである。というより過去の農本主義の時代の生活と近代情報社会の部分的な協働、2重構造社会の提言である。

農業に8割従事した55年前の時代から、工業化、さらにはサービス化してゆく過程で、過去に充分に機能してきた農業人口が3~4%まで減った。今後どうすれば食糧は非常時の備蓄になり、平時には農業が自立でき納税できる産業になるかである。

6割が自給自足農家といえるが、補助金や支援金がかかっている。子供たちは農業だけでは食べられない。1部を大きく変革し農地を集約し、土地所有から切り離す賃貸者にして柔軟性をもたせる必要がある。それにより将来の有望産業のための予備スペースとして残せる。それも始っているが、外部からの資金援助がある内は持続可能とはいえない。

活き活きとした農業や木材加工などの経験豊富な高齢者を吸収する地域に改造でき、医療・介護などの費用負担を減らせればコスト削減につながる。人生を全うするまで健康を維持する機能とその費用がまかなえれば、充分に検討すべき考え方である。


里山のない人たちの選択肢

ベンチャーで資金集めの才能が足りない人、とりあえずパソコンがありネットにつながればどこでも仕事ができる人は、田舎の古民家を会社の工場にしてはどうか。営業マンは顧客に近い都市郊外の自宅を関東・関西営業所にして、月1回の打ち合わせで集まればよい。

年をとれば身のこなしも動きもスローになる。50年前の生活はすべて機械にたよらぬ人力で、ゆったりしていた記憶がある。そこで山のない地域の人でも、ゆったり生活できる方法はないかを考えてみた。

今地元おこしのキャンペーンで、童話や歴史の一時期を結びつけて観光の目玉にする運動が盛んだ。地域にお国自慢のできごとを復元し、観光・旅行のルートにしようというわけだ。これに自然のよさを加えたら嬉しいだろう。アジアの文化や価値観があれば、もっと共感をよぶだろう。
しかし大都市の真ん中には、子供がいなくなり、学校が廃校になり、アパートの入居率は7割を切り、ゴーストタウン化を心配する場所も少なくない。東京の大久保はそういうところではないようだが、そこにきちんとしたルールを作り、世話人や民生委員をおいて、外国人や年寄りが1~2年住む場所を提供するのもよいだろう。

欲をいえば、相手がどこから来ても、ゆっくりお互いに雑談したくなるような雰囲気のある場所ができないか昔ドイツの南端の町に泊まり、ホテルのバーに入った。そこではバーテンダーが地ビールを気の遠くなるような時間をかけて、手押しポンプでタルから注いでいた。待てずに缶ビールを飲むせっかちは日本人と米人だと笑われた。同じようにアイルランドの田舎でレンタカーにガソリンを古井戸のようなポンプでやっていたと聞いた。

急ぐ人と急がぬ人を分けて、過去の時代に戻って生活し、それを体験したい人たちが泊まる。それも里山の代りになるだろう。そういう四方山話が誰とでも楽しくできる人が地元にいれば、それで楽しい。それらの会話はどういう知恵と哲学を求められるのだろう。都会の真ん中に田舎の待ちあいが求められている。

経済性・採算をとれるか

それは現在の経済速度から離れ、他と比較せず、ゆったりと生きる生活である。それぞれの周りに宿泊施設をつくり、子供たちの寮をつくり夏季教育し、あるいは介護施設を作り町にしてゆく。

私の住むシカゴの郊外の町の1区画は2階建てのタウンハウスと呼ばれる。200軒くらいだが米人、インド人、日本人、ウクライナ人、韓国人、メキシコ人、その他大勢の外国生まれが生活する。それぞれの生活ペースで住んでいる。通学児童のいる家庭2割、50代が3割、それ以上が5割であろうか。

警備と非常時の助け合いに関しては、13年暮れからの大雪では、ガレージの前の除雪は、契約で雇われた除雪車2台では間にあわず各人がやっている。その費用はその区画の負担で原則は自立である。30軒か50軒に1人の若者(夫婦)がいれば間に合うのか、きちんとした採算計算は要るだろう。

開発会社の関係者が1名管理者になって、見事に建物の外の管理はやってくれる。建物外壁・屋根の補修、芝刈り、雑草除去、雪かき、街燈管理、街路樹(各戸表裏庭3本、入り口の低樹木)落ち葉除去、その他。維持費は1軒月200ドルでやり、CPA(公認会計士)が安く会計レポートは決算している。

この区画は7割以上が就労者だが、これを卒業する人は、ヘルパーや介護つき200戸くらいの住宅群に移る。更に50キロほど西(空港から80キロ)郊外のゴルフ場の横にあるが、完全に民営にすると利益優先になりすぎる。
そこで町村が土地を纏める段階で資本投資し、この村落を売却するときは、最初の(買収)拒否権をもつという条項をいれる場合もある。(転売されて町村の声が反映されなくなると、町村としては税収上の増減が生じうるので、公共性の維持のためである。)




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