14064
イノベーションの環境・条件
大会社(工場)と競争しない方法(全国にジョブショップを)
イノベーションは、人の思いつかない画期的なモノを考える。ペーパークリップを発明した主婦はそう考えたのだろう。いや逆に、何枚もの紙をとじておくことを考えて、やっている内にそれが商品になったのだろう。そういう画期的なアイディアが浮ばない人は、少量多品種でゆく方法がある。
「レンタルのニッケン」を創業して20年しない内に当時世界一のレンタル会社に発展させた創業者と米国で10年ほど共同創業し、学ぶところが多かった。議論したその1部を披露しよう。
大会社の考えには組織という檻(おり)がある
決定者
|
供給者が
主導
|
受益者の自由
|
商品や
サービス
|
標準品
(類似品)
|
カスタム又は
イージーオーダー(こだわり品)
|
供給者の
規模
|
大企業志向
|
小さくても作者が分かれば構わない
|
価格
|
経済的
|
値段は高い
|
どういうことかと言えば、先述したが、大会社
は創業して発展してきた過程で、商品やサー
ビスはグループ化されていく。
OO事業部、OO部、OO課、OO担当係長とい
う組織そのものの細分化である。社員が1千人、1万人もいると、お互いが組織の中で何
をやっているかを理解しコミュニケートできる
方法として大体がこういうピラミッドになる。
は創業して発展してきた過程で、商品やサー
ビスはグループ化されていく。
OO事業部、OO部、OO課、OO担当係長とい
う組織そのものの細分化である。社員が1千人、1万人もいると、お互いが組織の中で何
をやっているかを理解しコミュニケートできる
方法として大体がこういうピラミッドになる。
ところが、たとえば新しい掃除機を発明しよう
と考えれば、それは1人から、せいぜい数人
でやれることである。事業部、部、課、係りなどの役職も所属も要らないのだ。
と考えれば、それは1人から、せいぜい数人
でやれることである。事業部、部、課、係りなどの役職も所属も要らないのだ。
掃除機をどう創るかという議論や試行錯誤は、会社組織というグループとは余り関係がないのだ。組織だったものの考え方は、後から説明するには便利だろうが、新しいものを考える際は、非常に邪魔になることが多い。何かといえば、1つは社内の地位で発言者のアイディアに序列がつけられること。この地位によるランク付けは非常に危険で、なかなか逃げ出せない。
1万個の(規模の)檻(おり)
もう1つは規模による経済性という檻(おり)である。
これは誰もが体内に持っている値段とモノとの交換の物差しによるものからだろう。大会社の工場では年間1万個以上とかの物差しもある。幾つか興味深い研究があるがその1つ。(http:// www.waseda.jp/w-com/quotient/ publications/pdf/wcom423_07.pdf 井 上 達 彦)
話を会社に戻すと、たとえば月1000個(1日50個)という生産個数に達しないものは『うちじゃ無理だな』と捨てられる。単価で3万円とすれば、『1万個x3万円、年に3億円か、』
『弊社では売上げ原価33%、販売経費33%、営業利益33%として1億円。従業員の給与ほか経費で1人1千万円、設計、購買、営業も含め最大10名』更に開発費として、設計・強度計算・試作・性能テストなどが加わり、その償却は7年か。その上に、クレーム率予想、保証、サービス料なども入ってくる。『原価の詳細の検討は』という前に『無理だな』となりがちである。
では、1個あたりの売値が幾らの商品ならやろうと針が振れるか。ヤラナイという振れの防止策だが、目標をつり上げるから苦しい。10万円で売上げが年に10億円ならやる気になるか。販路がない中小企業では、これも無理かとなる。 では、1個あたりの売値が幾らの商品なら針が振れるか。
新しい分野は逆転の発想
数年まえ中国からモーターを買おうと考えてメーカーに見積もり依頼をしたら、いきなり『1機種10万個以上なら安くできます。それ以下なら興味がない』という返事があったという。なぜ5万個を中間の価格でという発想がないか。社会主義国では面倒だし、誰も褒めてくれない量なのだろうか。訪問して見ると工場のヤードは在庫の山である。自由な競争というより、生産能力を割り当てて、売ってやるという考えか。モーターではないが、インドでは50万から100万個だという。
米国で仕入れ60ドルのものが中国では半値になるが、そんなに多くは買えないという結論になった。巨大国にコピーされない方法は、数と価格だけで勝負させない方法を考えることだ。
米国で仕入れ60ドルのものが中国では半値になるが、そんなに多くは買えないという結論になった。巨大国にコピーされない方法は、数と価格だけで勝負させない方法を考えることだ。
多品種・少量・高品質、絶対に品質で負けないこと。コピーしにくい素材を使い、量産しにくい工程を使う。低労賃が役立たない方法、別な経済性を提供できることだ。
単価20ドルから50ドルの商品を買って、思った通りの性能がでない場合、米国ではそれで訴える人はいない。いたとしても怪我をさせられたとか、非常に希だろう。販売に金を掛けないようにネットで広告し、支払いはクレジットカード、これならやってみても、かかる経費はわりと少なくてすむ。
いま米国では統計には出てこないが、こういう商品の販売が非常に多く伸びている。
ここまでを纏めると、年にいくつ造るかという供給者の決める枠のなかで生きるか、その外に跳びだせるかが決め手になる。大会社でも、簡単にまねの出来ない商品を開発しているのは、ハイブリッド車や、超高回転のターボチャージャー、掃除機のモーターなどでも明らかだ。高速に出来ればサイズが縮小できる。高速で動かせるには精密仕上げが勝負になる。
0 件のコメント:
コメントを投稿