2014年3月30日日曜日
14075 中国での商品開発は中国国内むけで
14075
中国での商品開発は国内むけで
中国のリーダー層は非常に優秀だといわれるが、米国での経営修士などの資格をとってもどった人も必ずしも、経営のエキスパートだなと思えない事例が見える。それは現実の中国と米国との差をあまり重視せず、米国の理論でそのまま中国でも応用しようとするからではないか。
資本投資を招きながらうまく行かない理由
私が対中輸出メーカーの経営者なら、世界最大の人口13億人の中国市場を狙う。GDPの数字も疑問らしいが、人口が日本の10倍なら個人所得は日本の10分の1以下のはずだ。何ごとも政治的な配慮優先な様だが、マーケッティングの理解がもっと必要なはずである。消費者に売るためには、中クラスの価格で長持ちする品質の商品開発が求められているのだ。
真面目に製造能力を育て、段階的にグレードアップさせるのかと思ったが、2~3年して2006~7年頃から、中古機械の持ち込みに規制をかけ《外資は最新の機械設備を持ち込め》というポリシーに変えたが、これは適切だったのか疑問に思う。
GDPが日本と並んでも、消費者である国民は幾ら払えるか平均収入を見落としたのではないか。湾岸の上海などは内陸農村部とは10倍くらいの所得差があったから、高いほうに合わせるかどうかで、地域別に商品開発をすべきなのだ。
中国メーカーが、高齢者が多く品質にやかましい今の日本人むけと同じモノを作っても、自国民の多数には高すぎて買えない。最大の消費者マーケットの自国民が買えないものを造り、輸出だけしてどうする気だろう。外貨は貯まっても、ドルは国民が使えない。貿易赤字になる輸入国は、為替レートで調整するしかないのは、日本の1985~87年の為替レートを見れば明らかだ。
何でも修理できるサービス力をもつ人材を全国に育成する方が重要ではないか。サービスを手抜きして金儲けに走れば、むろん『国内で不良品を売るな』と国民は怒る。ドル預金を増やしても、自国の消費者が豊かにならなければGDPを増やすために、高級マンションばかり建てても、豊かにならない国民は全国で衝突する。
投資家の外国人に大きな失望をかったのは誠実さに欠けていたこと
04年頃、現地に進出していた工場で起りうる問題点を調査したが、1番疑惑をもったのは、進出した外資企業の集会を禁じるという規制であった。日本からの投資家は、ジェット機1時間半で日本に戻れば、会いたい人達に会って意見交換できるのに。目的はなにかと考えると、都合の悪い事例の公表をおさえることしかあるまい。今のマスコミの報道規制とおなじである。
更に規制や法規のめまぐるしい変更や解釈の違いである。どんどん自国の都合でルールを変える市場は、投資条件が変わってしまうから、当初の事業計画が遂行できず投資利益率を達成できない。カントリーリスクそのものに見えた。更に停電は多く、鉄板も(50枚も重ねたらすぐわかるが)左右で厚さが違い、キチンとしたモノは入ってこない。排水口は図面どおりに埋設されていない。まるで砂上に楼閣を作ろうとするような目まいを覚えたのを覚えている。
進出外資の工場の現場でのストや嫌がらせや打ちこわし
”熱烈歓迎”は工場が稼動し始めると変わるとは聞いていたが、外交上強引な要求が通らないと、上海で日系店に投石をさせたり、進出工場は人質あつかいである。
最初から騙しであったのか、やはり孫武の『詐をもって立ち』の国だったのかと工場を造った友人達の声を聞いた。コピーし終わったから工場をおいて出て行けという略奪国家の姿を現せば、外国資本は逃げ出し、自国経済が危うくなる。メーカーも自己開発して改良技術を持たないと、70年代の日本品のような頑丈で長持ちする、中位の価格のものが作れない。
そこに見えるのは経済第2位という数字への錯覚ではないか。1930年代の日本も『追いつけ、追い越せ政策』で産業を伸ばしたが、バランスのとれた輸出入ができず、軍備増強をやり戦争で敗れた。それのを見ていて批判しているのに、同じ事をやるのだろうか。
世界一のサービス力を求められる米国などは、車のケースでもサービス料が安く、機能が維持出来るかで商品は判断される。広い市場をもつ国で、どこでも24時間以内に部品を届けるサービス力を持つのは大変な人材投資がいる。品質は買換え時の転売価格(下取り時)に現われる。
中国で求められている政策は、戦前の日本のような対外進出でも、国民を成熟国へ追い出すことでもなかろう。最大市場にいま住む自国の消費者を豊かにすることだ。それには国内を平均所得で幾つかの州にわけて中華合衆国になり、市場をみた考え方で発展することではないか。そういう政策がとれずに軍拡に走るなら、進出メーカーはさっさと他の国に移った方が安全であろう。
中国のようなつかみ所のない巨大国を侵略するような国はないから、無茶な防衛予算を使う資金で、見せるための法律でなく執行できる法治国としての国内整備をして、外国企業が安心して投資できる国にすることだと思うのだ。
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