2014年4月17日木曜日

14086 クラウドファンディング(新たな資金集め)について


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クラウドファンディング(新たな資金集め)について

 (気鋭の大山弁護士の説明を同氏の許可を得たのでご紹介する)(フォント、着色は筆者)
 クラウド・ファンディング(Crowdfunding)   弁護士 大山 もにか     
 お金がなくても夢を実現できる、最新資金調達・投資ツール

クラウド・ファンディングとは   

不特定多数の人(群衆/crowd)の投資による、インターネット上の資金調達(funding)方法で、アーティスト支援、音楽・映画作り、科学研究活動、政治運動、ベンチャー立上げ、執筆作業、発明など幅広い分野への出資に活用されている。プロジェクト企画者は、「ファンディング・ポータル (funding portal)」というネット上のプラットフォームに企画を掲示し、支援者(投資家)はネット経由で投資する。                       

KickstarterIndiegogo等のファンディング・ポータルが有名である。企画側には、開発費用を入手するだけでなく、宣伝費等のコストを削減できるという利点がある。投資側には、わずか数ドルから投資可能で、場合によっては見返りが得られるという利点がある。従来の資本市場との大きな違いは、従来は「富裕層」が対象だったのに対しクラウド・ファンディングは一般人にも利用可能な点である。
最近クラウド・ファンディングという言葉を耳にする。クラウド・ファンディングは、実は誰でも利用できる、比較的手軽な資金調達手段なのである。この資金調達ツールが紹介されてから、資本金のないベンチャー企業や資金を求めるアーティスト、発明家、企画プロデューサー等から注目を浴びていると同時に、少額で様々な面白いプロジェクトやアーティストの成功に貢献できることから、手頃な投資手段として幅広く一般市民に受け入れられている。

日本では、201210月にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授や、80歳で三度目のエベレスト登頂に成功したプロスキーヤーの三浦雄一郎氏が、実は、クラウド・ファンディングを通して資金集めてそれぞれの目標を達成した。

では、このクラウド・ファンディングとは、一体何なのか。本稿では、米国におけるクラウウド・ファンディングの仕組みや法体制について説明する。

種類   
 クラウド・ファンディングは、大きく三種類に分けられる。
一つ目は、売ろうとしている商品やサービスが貰える「ご褒美型」。二つ目は、見返りが一切ない「寄付型」。三つ目は、権利や金銭的な見返りを得る「権利型」である。
山中教授と三浦氏は、二つ目の寄付型クラウド・ファンディングを利用した。本稿では、三種類のうち唯一法律の規制範囲に入る、権利型クラウド・ファンディングに焦点を当てる

権利型クラウド・ファンディングは、201245日に国会が承認したJumpstart Our Business Act (JOBS Act)による証券取引法の一部改正によって実現可能となり、以降、有価証券の性質を持つ事から、米国証券取引委員会(SEC)の監督の下で行われている。現在、SECが具体的な規制を論議中で、今年の4月か5月頃に発表される予定である。前述の通り、クラウド・ファンディング取引における登場人物は、ファンディング・ポータル、企画者、投資家の三者である。では、それぞれの義務や制限を説明しよう。

ファンディング・ポータル                                                                                                                     
権利型クラウド・ファンディングは、ファンディング・ポータルを仲介して行う。かかるファンディング・ポータルJOBS Actの規定に従い、SECへの登録が義務付けられている上に、1934年証券取引所法で認可された全米証券業者協会の会員でなければならない。また、投資者保護を目的とする様々な規制下に置かれる。例えば、ファンディング・ポータルは、投資家が投資に纏わる様々なリスクを理解している事を確認したり、投資家の個人情報保護や、詐欺防止への対策を取ったりする義務を有する。さらに、投資に関する助言、投資家の資金の保持や管理、企画の広告や宣伝等の行為が禁じられている。

企画者と投資家の金額的上限 
JOBS Actにより、クラウド・ファンディングを利用して企画者がオファーできる金額と投資家が投資できる金額が制限されている。具体的には、企画者は12ヶ月間で100万ドル分の権利を売り出す事が可能である。投資家は、年収が10万ドル未満の場合は、2000ドルあるいは収入の5%の大きい額を、そして年収が10万ドル以上の場合は、10万ドルあるいは収入の10%の小さい額を上限に投資する事ができる。

企画者の義務 
 企画者は、最初の権利販売日から21日以内にSECに財務表等を含む特定の開示書類を提出する義務がある。開示義務のある財務情報はオファーされている合計金額によって異なり、50万ドル以上の売り上げがある場合は公認会計士による監査を要する。

投資家への規制 
 原則としてクラウド・ファンディング取引で購入した権利は、一年間、第三者への移転が禁止されている。例外としては、企画者に返還したり、投資家の家族に譲渡する場合等がある。

問題点・注意点 
 まだ発展途中のクラウド・ファンディング。未解決の問題がいくつも存在する。その中でも気になるのは、クランド・ファンディング取引を通じて各当事者が受取る金銭の課税方法である。果たして、この金銭は課税対象の「収入」なのか、それとも課税対象外の「贈与」なのか。今年、SECによって発表される新ルールによる明確化を期待しよう。さらに、これからクラウド・ファンディングを使って資金を調達しようと思っている方々に注意したい点がある。それは、自身及び他人の知的財産を守ること。発明品や作成したアートを販売する場合、ファンディング・ポータルに上げる前に、必要な特許権や著作権を取得し、自身の提供する商品や作品が他人の特許権や著作権を侵害していないか確認することである。知的財産はとても貴重な財産なので、慎重に扱うことをお奨めする。

(本書に関するご質問は、大山もにか弁護士(電話:312.245.7500Email:;Moyama@ masudafunai.com) 、ビジネス部門主席ジェニファー・ワトソン弁護士(電話:312.245.7500  Email: jwatson@masudafunai.com)まで。
  
中国での1例; 楽視網、W杯でクラウドファンディング
 
深セン上場の動画配信サービス大手、楽視網信息技術(北京)股フン(北京市海淀区、楽視網)は 18 日インターネットで小口投資家から資金の提供を募るクラウドファンディングサイト 衆籌網 zhongchou.cn)と提携した。今年6月に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会に絡むマーケティングで協力する。19 日付中国経済網などが伝えた。

具体的には、楽視網が衆籌網でW杯に関連したクラウドファンディング5件を実施する。このうち「クリスティアーノ・ロナウド選手を広告塔に」は、1人1口1元(約 16.4円)で目標金額を1万元に設定。募集期間内に1万口が集まれば、楽視網はポルトガル代表スターのロナウド選手と広告キャラクター契約を結び、資金提供者全員に動画共有サイト「楽視網」を通じてW杯番組を提供する。
 昨年2月に開始した衆籌網はこれまで、科学技術、芸術、デザイン、音楽、映像、出版など 500 件の資金集めに活用され、サッカー関連の10件は全て期間内の目標額調達に成功している。2014 年(平成 26 年)3 20 日(木) The Daily NNA 中国総合版【CHINA Edition】 第 04374 号[7






















最近、クラウドファンディングという言葉を耳にする。しかし、何だか難しそう、自分には無縁そうという理由で疎遠に感じている人は少なくない。こんな印象とは違って、クラウド・ファンディングは、実は誰でも利用できる、比較的手軽な資金調達手段なのである。

この資金調達ツールが紹介されてから、資本金のないベンチャー企業や資金を求めるアーティスト、発明家、企画プロデューサー等から注目を浴びていると同時に、少額で様々な面白いプロジェクトやアーティストの成功に貢献できることから、手頃な投資手段として幅広く一般市民に受け入れられている。(1部略

日本では、201210にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授や、80歳で三度目のエベレスト登頂に成功したプロスキーヤーの三浦雄一郎氏が、実は、クラウドファンディングを通して資金集めてそれぞれの目標を達成した。では、このクラ
ウドファンディングとは、一体何なのか。本稿では、米国におけるクラウドファンディングの仕組みや法体制について説明する。

クラウドファンディングとは
不特定多数の人(群衆/crowd)の投資による、インターネット上の資金調達(funding
方法で、アーティスト支援、音楽・映画作り、科学研究活動、政治運動、ベンチャー
立上げ、執筆作業、発明など幅広い分野への出資に活用されている。プロジェクト
企画者は、「ファンディング・ポータル分野への出資に活用されている。プロジェクト
企画者は、「ファンディング・ポータル (funding portal)」というネット上のプラット
フォームに企画を掲示し、支援者(投資家)はネット経由で投資する。

KickstarterIndiegogo等のファンディング・ポータルが有名である。企画側には、開発費用を入手するだけでなく、宣伝費等のコストを削減できるという利点がある。投資側に
はわずか数ドルから投資可能で、場合によっては見返りが得られるという利点がある。
従来の資本市場との大きな違いは、従来は「富裕層」が対象だったのに対しクラウド
ファンディングは一般人にも利用可能な点である。

種類
クラウドファンディングは、大きく三種類に分けられる。一つ目は、売ろうとしている商品やサービスが貰える「ご褒美型」。二つ目は、見返りが一切ない「寄付型」。三つ目は、権利や金銭的な見返りを得る「権利型」である。山中教授と三浦氏は、二つ目の寄付型クラウドファンディングを利用した。本稿では、三種類のうち唯一法律の規制範囲に入る、権利型クラウドファンディングに焦点を当てる。

権利型クラウド・ファンディングは、201245日に国会が承認したJumpstart Our
 Business Act (JOBS Act)による証券取引法の一部改正によって実現可能となり、以降、有価証券の性質を持つ事から、米国証券取引委員会(SEC)の監督の下で行わ類クラウドファンディングは、大きく三種類に分けられる。
一つ目は、売ろうとしている商品やサービスが貰える「ご褒美型」。二つ目は、見返りが一切ない「寄付型」。
三つ目は、権利や金銭的な見返りを得る「権利型」である。山本教授と三浦氏は、二つ目の寄付型クラウドファンディングを利用した。本稿では、三種類のうち唯一法律の規制範囲に入る、権利型クラウドファンディングに焦点を当てる。

権利型クラウド・ファンディングは、201245日に国会が承認したJumpstart Our 
Business Act (JOBS Act)による証券取引法の一部改正によって実現可能となり、以降、有価証券の性質を持つ事から、米国証券取引委員会(SEC)の監督の下で行われている。現在、SECが具体的な規制を論議中で、今年の4月か5月頃に発表される予定である。前述の通り、クラウドファンディング取引における登場人物は、ファンディング・ポータル、企画者、投資家の三者である。では、それぞれの義務や制限を説明しよう。

ファンディング・ポータル
権利型クラウド・ファンディングは、ファンディング・ポータルを仲介して行う。
かかるファンディング・ポータルは、JOBS Actの規定に従い、SECへの登録が義務付けられている上に、1934年証券取引所法で認可された全米証券業者協会の会員でなければならない。また、投資者保護を目的とする様々な規制下に置かれる。例えば、ファンディング・ポータルは、投資家が投資に纏わる様々なリスクを理解している事を確認したり、投資家の個人情報保護や、詐欺防止への対策を取ったりする義務を有する。さらに、投資に関する助言、投資家の資金の保持や管理、企画の広告や宣伝等
の行為が禁じられている。

企画者と投資家の金額的上限 JOBS Actにより、クラウドファンディングを利用して企画者がオファーできる金額と投資家が投資できる金額が制限されている。
具体的には、企画者は12ヶ月間で100万ドル分の権利を売り出す事が可能である。投資家は、年収が10万ドル未満の場合は、2000ドルあるいは収入の5%の大きい額を、そして年収が10万ドル以上の場合は、10万ドルあるいは収入の10%の小さい額を上限に投資する事ができる。

企画者の義務
企画者は、最初の権利販売日から21日以内にSECに財務表等を含む特定の開示書類を提出する義務がある。開示義務のある財務情報はオファーされている合計金額によって異なり50万ドル以上の売り上げがある場合は公認会計士による監査を要する。

投資家への規制
原則としてクラウンドファンディング取引で購入した権利は、一年間、第三者への移転が禁止されている。例外としては、企画者に返還したり、投資家の家族に譲渡する場合等がある。

 問題点・注意点
まだ発展途中のクラウンドファンディング。未解決の問題がいくつも存在する。
その中でも気になるのは、クラウンドファンディング取引を通じて各当事者が受取る金銭の課税方法である。果たして、この金銭は課税対象の「収入」なのか、それとも課税対象外の「贈与」なのか。今年、SECによって発表される新ルールによる明確化を期待しよう。

さらに、これからクラウンドファンディングを使って資金を調達しようと思ってい
る方々に注意したい点がある。それは、自身及び他人の知的財産を守ること。発明品
や作成したアートを販売する場合、ファンディング・ポータルに上げる前に、必要な特許権や著作権を取得し、自身の提供する商品や作品が他人の特許権や著作権を侵害していないか確認することである。知的財産はとても貴重な財産なので、慎重に扱うことをお奨めする。

JCCC NewsChicago著者;大山 もにか弁護士イリノイ州弁護士。Masuda/Funai弁護士事務所;2010年慶応義塾大学法学部法律学科卒業(LL.B)。2013年ペンシルベニア州立大学 ディキンソン・ロー・スクール卒業(J.D.)。シカゴ弁護士会、アジア系アメリカ人 法律家協会、全米アジア太平洋系アメリカ人法律家協会、シカゴ三田会の会員。主要業務分野は、ビジネス法、流通販売法、知的財産法である。)
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(中国でも)楽視網W杯でクラウドファンディング
 深セン上場の動画配信サービス大手、楽視網信息技術(北京)股フン(北京市海淀区、楽視網)は 18 日インターネットで小口投資家から資金の提供を募るクラウドファンディングサイト 衆籌網 zhongchou.cn)と提携した。今年6月に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会に絡むマーケティングで協力する。19 日付中国経済網などが伝えた。
 具体的には、楽視網が衆籌網でW杯に関連したクラウドファンディング5件を実施する。このうち「クリスティアーノ・ロナウド選手を広告塔に」は、1人1口1元(約 16.4円)で目標金額を1万元に設定。募集期間内に1万口が集まれば、楽視網はポルトガル代表スターのロナウド選手と広告キャラクター契約を結び、資金提供者全員に動画共有サイ
ト「楽視網」を通じてW杯番組を提供する。
 昨年2月に開始した衆籌網はこれまで、科学技術、芸術、デザイン、音楽、映像、出版など 500 件の資金集めに活用され、サッカー関連の10件は全て期間内の目標額調達に成功している。
2014 年(平成 26 年)3 20 日(木) The Daily NNA 中国総合版CHINA Edition】 第 04374 号[7



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