2014年4月8日火曜日

14081 ベンチャー、イノベーション、M&Aの必要なわけ


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ベンチャー、イノベーション、M&Aの必要なわけ

先に述べてきたように、世界市場のなかで販売してゆく限り、競争はなくならない。そして自社製品が未来永劫に続くことはありえない限りは、単なる改良だけではないイノベーションが求められる。


ベンチャーキャピタル(VC)

必ずしもそれがベンチャー企業によって販売される必要は無いが、大企業では画期的な技術や商品は既存のルートを使っては販売しにくい。なぜ成功しにくいかといえば、その技術が成功するとは限らないリスクが高いからである。例えば消費者向けの商品は、ウオルマートなどの大手のチェーン店で売られ、その棚は多数の商品を供給出来るメーカーが抑えているからだ。

そこで米国で始ったベンチャー企業はベンチャーキャピタルの資金を使い急成長する手法を使う。

売上げの急カーブで伸びる、販売エネルギーを大量に投下する部分で、プロの経験者や人材を集める資金にする。(図の破線部分)

日本ではベンチャー企業というのは少なく、起業して数年して安定して成長が見込めるようになってから、技術に重点がある会社、例えば理系の社長の会社が、更に成長するためにベンチャー企業を名乗ったりする印象がある。

その必要な資金需要に応じるのは、日本では金融機関(銀行・証券・保険)が60%以上、米国では10%くらい。米国では殆ど80%以上が独立系の企業いわゆるVCである。

金額でも日本は1件1億円、欧州5億、米国10億円といわれる。日本は失敗をマイナスと評価するからである。

この部分は、最近はクラウドファンディングなどの小額X多数の株主というリスク分散や、銀行の投資以前の萌芽期に出資をする機関や支援があると言われるので、ジェトロ他を当たってみると道が拓ける可能性が増えている。

稼ぎ儲けるために経営する

ベンチャーキャピタルは成長が始るところで投資する。リスクの高い時期なので、1~2年投資して上場までで売ってしまう。
グラフでいうと、売上げ利益が会社の総経費を超える前の赤字の時期に資金ショートして倒産するケースが多いが、採算分岐点はこえて黒字化しても、急に伸び始めて入金と支払いの時期がマッチしないで黒字倒産するケースも少なくない。とくに不況になると”危険な小企業”とみなされてローンの早期返済を要求される場合もある。

米国では毎年60万社起業するが、5年で50%、10年で3%生存。だから、5年以内に20%位の投資で生存率を高め、100~200%の投資回収となることを目標にして、20社に1社成功すればよいという計算
日本ではなんでも長続き、長寿を大事にするが、生存率も大事だが、何倍になってもどるかを米国では重視する。株主利益よりは従業員(経営者)のための判断が優先する。中高齢者は、はっきりと存続すると分かった会社で、それでも一般企業よりは高い成長率か配当を選ぶ。

日本の商社では、新規事業の成功率(失敗率)5割の打率でと言われたが、打率(生存率)5割を要求されたらホームランを狙える人はいない。この影響をうけたので、卒業し独立してからもこの習慣を余り変えられず、日本からの進出企業との協働でも同様だった。日系は利益率より生存比率である。米人は食べたいものを食べず長生きしても仕方が無いという。

慎重すぎるとリスクが高まる

どういうことかと言えば、何かのポリシーを決める場合、どこまで確率の高いデータに基づくかという点で、6割、7割の的中率にあげてゆく費用はベルカーブの累計でエスカーレートして増える点にある。ただY=1x の1次直線ではなく、S字的に増えてゆくので、図の売上げ利益と似ている。リスクを減らすため経費を上げて安全策をとれば、採算分岐点が遠のき、おくれる。
それは失敗を恐れるのと同じだから。そのくらいなら、今うまく経営している会社を買収して、早く売上げ利益率を上げた方がよい。これに少子化が加わりM&Aが伸びている理由だと考える。

米国も日本からの対米投資も増えてきて、それに影響され起業家も長生きしたいから、打法が変わってきたように見える。とは言っても病院メディカル投資専門だと、その道の経営した経験者を1~3人、年率15%リターン位を目標で選別し投資して、10%以下だと売ってしまう。
その意味では商社の販売網つくりと似ている。3年で5割増、5年で2倍。10年なら4倍。これでギリギリですと。16~18%の伸びをねらう。これなら約5倍で、20社に1社当たれば元がとれるから、更にリスキーなものを狙える、と考える。

アイディアが良いからとIT型で検討し、会社オーナーに5億払って株の6割を押さえ、必要な人材を集めて5億を人材にあてて投資して、その連中にも残りは株で払い伸ばすというやり方のカリフォルニア型と少し違うように感じる。こちらが本当のベンチャーだろうが、6割も持ってゆかれるなら、自分で公開してしまうというFacaBook型もある。集められる人材のレベルだろうか。

自動車産業では日本メーカーが健在

テスラという電気自動車メーカーが注目されている。
自動車市場では、米国依存の比重が大きい。機械産業では3Dプリンターの技術はかなり遅れているように見え、ものつくりの基礎教育用は日米の協力が欠かせないと考えて、シカゴではそれをどう行えるか議論している。
日本では欧州の紛体蒸着をレーザーなどで行う工作機のものがぽつぽつ現れている。

ただし、米軍が撤退すれば自助努力を強めることが求められると予想され、武器関係では3原則をもう少し柔軟にするほか自立が難しくなりつつあるから、経済優先だけでは中韓のコンビには対抗するのが難しいという課題が鮮明になるだろう。


米国
日本
大手メーカー
組み立てラインの自動化は
できるだけ押さえる

イノベーション不足で
売値の差別化が難しい
組み立てライン自動化投資は
最大限まで

ハイブリッド、リチウムイオンバッテリー、炭素繊維、
ロボット溶接、無人自動車
中小企業
周辺機器を自動化し残業をさせない

新興国からの価格圧力は
短納期・変更への対応力で
周辺機器を自動化できず
肉体労働とサービス残業

新興国の低コスト圧力


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