2013年9月17日火曜日

13906アメリカの《科学オリンピヤード》の競技の面白さ(63)

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⑥アメリカの《科学オリンピヤード》競技の面白さ

記憶と理解力のペーパーテストではなく、実験や具体的にモノをつくり、議論し、エッセイを纏める能力、学友達との議論を通じて、理解させ納得させる力をもつ教育が米国のすぐれた部分だと述べてきた。それを小・中学校から具体化した競技がある。
日本でもロボットの競技や、いろいろあるが米国での科学の全米コンテストは個人とチーム戦を学校ごとに競う。その競技の内容や考え方がユニークなのでご紹介したい。

シカゴ日米協会では12年から日系企業が主体となりノーベル賞を受賞された南部先生のお名前を冠した賞を創設し、その後米企業も参加を始めた。その際一緒に連携してやろうと選んだ競技で州別や全国的なユニークなコンテストである。

ご存知の方も多いと思うが、、科学オリンピヤードという組織は中学生などが学校ごとにチーム参加する。イリノイ大学(留学生が全米2位)がバックにあり、いろいろな地元企業がスポンサーになる。(www.IllinoisOlympiad.org)

発想が面白いと思うのは、中学校の部でいえば、1チーム最多15人で23の種目全部に参加しなければならないこと
その範囲が広く、今年の課題のうち半分だけを挙げても解剖・心理、星座、化学実験、病原菌発見、法医学、ヘリコプター、微生物、光学、蛋白質モデル、タワー、風力、技術的問題解決など、その中味の幾つかは毎年変わる。課目が多いから、生徒数の大きな学校や大都市が有利ではあるが。

例えば〈風力〉はCDに貼り付けたきまった寸法の3枚羽を造って持参し高速・低速でテストする。組み立て・設置からテストまで4分と規定され、高速・低速での電圧の高さで優劣を競う。理論だけでなく製作の両方求められる
〈書いて実行する〉の種目では、具体的または抽象的な物が示され、それを図を使わないですべて文書で書き、次に材料で実際に作る。一見に値すると思う(注2)。

もう1つ違うのは、個人の部もある学校対抗のチーム戦だが、勝つために誰と組めば有利になるかと子供のころからコーチと考える仕組みがあること。生徒それぞれの得意な能力を組み合わせないと、1種目2人か3人までで時間の制約もあり、半分は1人で2種かそれ以上に参加するので、人と組んでプロジェクトを取り組むことも自然に学べる。

将来選ぶ職種に合わせた学科に力を入れれば良いが、誰も20年、30年先に伸びる業種や職種の予測はむつかしい。(職人や伝統芸能を職業に選ぶ人を除けば)高付加価値が求められる職種には、自分の弱点をおぎなう能力を持つ人とのチームワークの重要性が分る。

日本の高校も参加して競争してもよいし、日本でも相手国にない違ったユニークなものを創作してもよいが、学生の交流がふえわくわくするものであればと思う。



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