2013年9月30日月曜日

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米国市場の特色

実際に商社マンとして働いていた経験から、米国でモノを販売するというのは、どういうことかを、実務上で役立つと思うことを述べてみたい。その国のデータがどの位あるかにもよるが、他の国でも使える考え方だと思うからである。

米国に先に派遣された方がよいか、後進国がよいかで議論が分かれている。
先に後進国で仕事をした派遣社員は米国では、仕事がうまくゆかないと言われる。無論例外もあるのだろうが、派遣される人の個性によるが、後進国での上から目線で命令するような指示をすると、米国では強い反発にあう。ばか者と怒鳴って訴えられたり、本人が実力を発揮するチャンスもなく帰国になる。国の原則が自由で平等だから、上の人間は偉いという考えがない。職制上、会社にいる間はだ。


社内の地位による決定権のピラミッドを除けば、わりと平等な米国では、仕事を終ったら上下関係はそこで終る。パワハラ、セクハラなどの地位悪用もあるから、基本的に一切の差別はしないように心がける。見逃されている日米の隠れた違いを挙げておこう。


A)面積が日本の25倍=営業費と輸送費の比重が大きい。
地図がみにくくて恐縮だが、本社の幹部に米国は距離も離れ、輸送費の比率が高いことを示すために作られたマップである。(5大市場は東京・上海の距離よりはなれ分散、小円半径500km、大円1000Km)
ガソリン代がガロン2ドルのころ、東京・茨城のトラック陸上輸送費は、太平洋を渡る海上輸送費と同じといわれた。輸送費は燃料のコストが上がれば直接ひびいてくるから、米国ほど鉄道網、高速道路網の完成した国でも軽視できないのだ。


  • 営業人件費は3倍はかかる
  • ローカルで地元の(修理など)サービスが必要な商品はディーラー(地元販売店)を起用する 
  • とはいえ、消費者用の日用品はネットによる直売も増えている  
B) 競争原理を国が守る(競争 が自由経済を守るという考えが ある)   
  • 公正な競争; 価格は顧客で価格差別できない。
  • 差別できるのは合理的な説明のできる差のみ(発注量、与信つまり支払い条件、運賃、債権の担保つまり所有権を留保できるか、それを登録すれば、支払わずに転売する悪徳ユーザーに歯止めがかけられるかが重要)。              発注量が多ければ生産コストがさがり、例えば1ダース・1箱なら出荷の箱づめの手間も減る。代金の回収コストは米国にかぎらず新興国では重要だろう。
  • 数量割引も、ただ直感で値引くとかいうのでなく、合理的でないとロビンソン・パットマン法違反になる。金払いの良くない客は、未入金グループに分けて、そのリスクを計算しその分を値引率を下げるのは一般に行われている。
  • 運賃は工場からの運送距離での違いは認められる。(Ford車;全国同じ価格の平均運賃を計算して加算するのも許されていた。)                  
    C) 顧客で差別しないが; 中小企業を保護する法制度があるから調べる。
      ただ顧客が大手だから安くするとか、どの工程・プロセスでも賄賂があるようなアジア式   は違法になるから要注意。
      接待や招待は公認会計士の認めるやり方の範囲だけにすべきである。
      
      私の経験した建機やマテハン機械業界でいえば、ある街で2流、3流のディーラーは治安の    よくない安い場所に店やヤードを置いており、東欧圏や新興国からきた人たちが経営している   場合も多く、出身国の取引での習慣で米国のルールを知らないこともある。
      なかなか頭の痛い問題だが、地元の銀行の評判を聞くと、微妙なニュアンスのある評価が聞   けるから、そういう英語の聞き分けられる米人と話しを聞く方法もある。あとは資金回収の     専門家もいるから、そちらのサービスを使う。

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