2013年5月29日水曜日

13514日本は仕事がしにくい理由

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日本は仕事がしにくい理由【013】

業務の仕分けと人材交流のハードル
日本から来た食品添加物メーカーの経営者がいうには『東京では人に会うにも一部上場かとか、役職など会社の規模や職位の壁がある。医学部出身者などは業種の壁でまず会えない。こちらでは日本人の卒業生にもこだわらず会えるので、ガンに効く補助材を開発できて大きなビジネスになるかも知れない』という。日本では起りえないことだと。

少しオーバーなことを言えば、日本での民間のビジネスを育てたければ、壁や仕切りによる人の交流の障壁を減らすである。部署がちがう話には全く興味を示さない人は、その部署どまりでいいか、その上の視野を持つ方がよいか。つまりは業種別の細分化の項目を流動的にして、心の中に生まれるセクショナリズムの壁を減らすことである。

1.混沌(こんとん=カオス)と細分化の弊害

つの光り輝く星を誕生させるために、人は自分の中につねに混沌を抱えていなくてはならない』と哲学者F・ニーチェが言った。『まずカオスに支配させ、それからカオスを支配すべし』(*)とインテルのA・グローブもいう。混沌をつくるために何が邪魔なのか考えたい。世の中に混沌をつくり、自分の中にも取り込めば今の日本はチャンスである。(*『なぜリーダーは「失敗」を認められないか』R・S・デドロー)

地位・地域・種類・人数での仕切り


日本を1つの市場と考えると、できるだけ短期間に特定の能力や知識をもつ人に会いたい場合どうするか。最近はウエブで検索すれば会社や役所までは簡単に行き着く。そこからが壁だらけである。都道府県・市町村の壁、業種別協会の壁、省庁の壁、出身校・先輩後輩の年次の壁、会社規模の壁、役職の壁、もう数かぎりない壁がある。その上ご本人の中にある壁で、知らない人には会わない。迷路だとすれば壁をとりのぞけばよいが、セキュリティーのためにその壁を維持する仕事をしている人も多いからますます難しい。

未知の人はチャンスであるより、ロスだという判断からだろう。その壁が急に消える錯覚をさせるのが選挙の時だけだから、選挙をチャンスとみる人がいるとしたら、これも止むをえないと考えるか、情けないと考えるか。

地域・範囲での区分け


行政区は碁盤の目になっていないから困る。放射線汚染地区はほうれん草の出荷を自粛などというが、空をふく風は行政区を境にして止まってくれない。自然任せの災害などのデータ集めは碁盤の目に方がディジタルマップ化しやすい

例えば100メートル区画での放射線量を連続して計測し線量をA1、A2など縦横の区域に分けてマップをネットで公表し続け、引っ越すのは市民の自由な判断としたらどうか。住民税の欲しい自治体は、放っておいても対策をするようになる。

用途別地域という区分け
地域仕分けの変形では、山地・河川・平地(農耕地と宅地なども)それぞれの用途で専門家が細分化されている。それでいながら、領土紛争中の中国・韓国などが買い占めているのは野放しというのでは、国防に穴があいている。領土紛争のある国の企業や個人は土地の取得はできぬようにすべきでないか。

行政区とは別に全国38万平方キロの面を、北海道の北端から沖縄の南端まで1キロごとに番号をつけ、東西も同じくで4桁の番号で表せば、災害時の位置決めが容易になる。
障害物競走と似て細分化は障壁になり受けもち範囲を分断するから、忙しいが非効率なのだ

決定者の受けもち範囲が細かく分かれすぎて、しかも任期が短いことで、全体の問題が何かを掌握できない。1人で判断した経験がないと非常時に間にあわず、トラブルの都度それを解決できる人や会社を周囲に探し回り大騒ぎになる。社員や行政官はできるだけ現場にでかけ、現地の広さや実物をみて話を聞いた方が、報告書だけの仕事より判断する能力が身につく。これは非常時にも役立つはずだ。

2.保護規制で逆に競争力が落ちる


《米国製の同じ資材を使い、同じ図面で住宅を造っても、日本で建てた家は米国の2.6倍の価格になる。監督者の人繰り能力の差も大きい》と15、6年ばかり前報道された。

『なに?木材の運賃と輸入税でせいぜい15%増しくらいではないの?』と日米間の海上運賃を知る人は思うだろう。様々な機関の承認をとる資格や規制と、見えない所もカンナがけを要求する規準や検査などであちこちに搬送する手間・物流費・待ち料金と、マネージメント能力の差、合計で材料費の2.6倍になる。日本人は仕事が速くて正確だと思い込んでいる人には意外だろうが、見えないところでコストアップになる規制で付加価値を減らしている場合も多い。

lマネージメント能力


能力差とは作業間の待ち時間を作らないことと、現場での作業をへらし、工場で仕上げたもの(雨天に左右されないコスト平準化)を的確な指示ラベルをつけて持ちこませること。住宅に限らず生産性の鍵で、間接費を削れる秘訣である。これは大工・左官・電気・ガス・水まわりなどの職種とは別な職種で、それだけで専門職である。レストランなども含めて、日本人は職人のような仕事につき、韓国人が経営者になっている例をみるが、彼らの方がマネジャーを雇える規模での経営を考えるように見える。

国内の木材を使えばという声もあるが、道路が開通していても、12メートルコンテナー単位にまとめれば国内で100キロ以上をトラックで陸上輸送するより、米国の西海岸から太平洋を渡る船賃のほうが安い。山奥での林業は輸送費の方が高いので、現地で家具や木工品のような付加価値をつける必要がある。かさ張ると運賃が上るから組み立て式であろうか。


業者規制


水道など水回りは蛇口からその取りつけまで、独占業者の認可を地域別で割り当てれば縄張りの外にでて競争できない。労賃は高く請求できても、少子化で住宅が減ってくると狭い地域を独占しても事業はなりたたない。昔は顧客を囲い込んでいた利権の枠かも知ないが、いつの間にか自分が閉じ込められている競争がない既得権に守られた業者のための政策は、どうみても消費者には不便である。

リフォームばやりだが求められるのは安物の家ではなく、中古で転売しても値下がりしない2世代・3世代が使える家か、古民家のような共同部分をもつ複数戸住宅である中古価格を高く維持して国民資産をふやすか、安物の家を売って修理費でかせぐ経費サイドの補修サービスを増やすのか。会社でいえば社長(総理)が決められるようにすれば早い。待てずに建設業者が介護ビジネスに転職すれば、土木建築業が減り復興も遅れる。 


政治に期待するのは、こうしたコスト増で単価をあげる障壁を一つずつとり除くこと。それが市場競争力のある商品の開発へのプレッシャーなり、人は頭を使い工夫をはじめる。今やっていることは逆で、単価をあげて差額の一部をいただこうというものに見える。

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