2013年6月14日金曜日

13607 優先順位の考えかたと問題点【022】

13607

優先順位の考えかたと問題点【022】


東北大震災での政権の対応は、外国人に言われなくても落第点としか言いようがない。しかし、優先順位が分らないのはどういうわけなのだろうか。

(A)権限を渡すには結果で判断すればよい

何度ものべてきたが、日本企業は海外の子会社との間でも、明確に事業の基本である目的を示さないことが多い。ほとんどの会社で現地子会社の決定範囲が定められていない。責任つきの権限が委譲されていないから、責任者は現地人に仕事を任せられない。持っていないものは渡せないのだ。『課長に部長の仕事をまかせるわけにはゆかない』と本社の上司はいうが、それでは現地の取締役会がきちんと働いていないことになる。現地法人は現地でものを決め、それを執行するのであって、つど本社に相談するのでは、本社が現地で商行為をすることになる(課税の対象のはず)。

時差があるのになんでも本社に相談し、出向社員だけが夜は遅くまで会社にいる習慣ができ、非効率なだけでなく家庭生活も犠牲になってしまう。そんな時間を無駄に過ごすより、英会話学校にでも通った方が遥かに大きな貢献ができるのだが。上司が《箸の上げ下ろしまで何でも指示する習慣があり》それが仕事だと思っているからだ。上司も部下に《任せて監督》する管理能力がつかないことになる。

どういうことかと言えば、『走れ』と指示して走らせながら、『あす役員に報告するから』と経営資料の中の項目別の数字や3年分の推移を聞いてくる。『どこに向かって?』の再確認などを日本中でやっている。走れといいながら、横か棒を突っ込んでいるようなものだ。相手の経験にもよるが要するに任せ切れていないのだ。


確かに指示待ち世代が増えているのも事実で、自発的に考えることを止めてしまった原因は《現地ではこういう考え方でOOを行ってほしい。あなたに任せる範囲はここまで。具体的なやり方は任せるが、結果だけ報告せよ。うまくいかないときは中間でOOに相談せよ》というような明確な指示がないか、不十分だからである。


(B)目的と戦略は指示する 


《いかにやるか》というプロセス=戦術にばかり力が偏り、上司(マネージャー)というよりもコーチである。つまりは、上が下の考えなければならない仕事をしている場合が多い。だいたいものを決めるには目的がある。目的には次のような2つの要素があると云える。それには
目的が価値観(モラル規準)に合っているか、
目的が戦略的な見地に立っているか。戦略は全体的で初めから終わりまで考えるビジョンによるものである。

C)優先順位は長期と短期でわかれる


ものを考えるのには長期と短期があり、何をやるか、何をやらないかを長期的な視野で考えるのが戦略で、短期的にはその手段を考えるといえる。長期は欲を言えばそれによって自社が他社に差をつけるられ(利益巾がふえ)る考え方である。
例えば日本のエネルギー政策として工場では電気とガス、家庭燃料はガス、車の燃料は石油などと20年先にはどういう理由でどんな生活をする国にするかというのが戦略といえるが、個々の手段が戦術であろう。しかし原発のように使用済み核燃料の処理に30年も50年もかかるものは、その影響力だけ考えても戦術では決められない。中長期ではこれが唯一というものは少ない。業界により変わるので1例として考えてほしい。

『同じ山に登ることを決めてからでないと、どの道をゆくかを議論しても纏まらない』からである。政党でも山を決めずに、再選されやすい道ばかりを選んだ人ばかり集まっても、なにも決められないのは見ての通りである。その理由は長期的な視野という山とそれに基づく戦略がないからである。細かい道は毛細血管みたいに数は多いがきりがない。
ドラッガーの選択は有名で、何をやるかでは勇気の重要性を、未来、チャンス、独自性、変革があるかで分けるドラッガー過去の問題で将来を左右させないのが条件だ。

若い人なら起きて欲しいことは何かで考え、ものが決まる順番、重要度、競争優位性などで並べる方法がある。しかし中小企業の経営者は図の流れと逆に時計回りで決定する会社が多い気がするが、逆に手持ちの人材と予算でやれることだけを考えるからである。

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