2013年6月28日金曜日

13616職務範囲と条件が明確な海外の権限委譲【031】

仕事を任せるということは、人件費(給与)つまり勤務時間をどう使うかを任せることだから、勤務中に好き勝手はできない。任せられる人にも部下があれば、その人件費や設備の運営と費用も含めて任せることになる。

一定のルール(規則・規範・実行基準などの判断基準)を作って仕事を渡したら、その範囲内の行動により目標を達成していたら、それでよしとする方がよい。
うまく行かないときはルールか指示か状況がまずかったと考えて見直し改善する。そうでないと勇気と責任をもって新しいことに挑戦しようとする人材が現われないし育たない。無論なかには不慣れな人や人のせいにするトラブルメーカーもいるが。

外国人に任せる場合、《任された範囲を越えてマネジャーの指示に反する行為をしたら、それを事前に相談に来なかったときは、減点か選手交代を行います。任せられた信頼を裏切るような行為(ルールの悪用など)は罰則を適用します》というような社内のルールがないとパワハラになってしまい、上司の強制力が働かない場面では責任もとれない。



もう1つ大事なことは、人間は相性もあるから、リーダーには部下として一緒に仕事をしたくない人間はとり換えてよしという人事権を与え、そうされた人は恥ずかしいことではないから、さっさと社内転籍を願いでる。本人が引く手あまたになればよい。

外国人との協働と権限委譲

ピラミッドが形だけでなくトップダウンの指示が機能するには、トップが政策の決定(部下の起案を受けたとしても)をする必要がある。

(A)社長の選択肢を提案するのが企画  
ブレーンとしての企画・参謀は、実行系統のピラミッドの外にいて、トップの決定する選択肢の提案や比較・分析、補佐に徹する方が適切な方向付けができる。
メーカーの場合は、社長の下で全体の戦略をつくるマーケティング、具体的な業務を行う営業、設計、製造、経理などの部門が横並びに組織されることが多いが、マーケティングが企画と参謀役を担なう

部の中も大体は似たような形で部長の下に課長が並ぶ。
大会社は部の数がおおく、部の中の課の数がおおいだけ。
市場の需要をしらべ、データを分析し、何をやるかについてトップを補佐するのが本業である。また社長とVPの中間で脇に位置しているケースも多い。

良くある問題は、トップが最終決定をせず、企画・参謀という本来脇にあるべき情報・政策提言部門がラインの中に入りこみ実行部隊の指揮をとり始めたりする場合だ。重箱の隅をつつくような細かい質問に答えられないからという理由で、バイパスが始まるからだ。

するとトップダウンが機能せず、トップは単なるお飾りになり責任をとれず、ピラミッドの指揮系統が混乱する。日本企業での隠れた大きな問題はここにある。

一つの職種を任されたら、そこの責任を負って結果を達成する。部門の場合も同じである。ここで創業者が始めた会社と大企業の大きな違いがある。
創業会社の場合は、こういう基本的な理念と長期戦略でやってくれという事業目標が出されたら、その理念と目標にそってあとは結果を追求するだけである。大企業の場合は会社に雇われたのだから、一つの事業がうまくゆかなくてもその責任は自分だけで負う必要はないという考えの社員が多い。これがその事業(商品寿命)を延命できるだろうか。私は疑問に思う。

(B)仕事は市場がつくると考えるのが米国流  
任されたマネジャーはその範囲では責任付きで権限を渡さないと、上司は部下に「こうい
う基準(ルール)で判断してください」というプロセス設定(条件設定+結果ウオッチ)
を明確にする習慣ができない。米国では、上司の指示を3度無視したら、普通の会社では
まず間違いなくストライク・アウト、配置換えか解雇である。
そうしなければルールは無視されるからだ。

だから上司は何が原因でうまくいかないかに注目し、伸びているものは任せておく。上司の仕事は部下の仕事の範囲+目標(戦略)を決め、実行を監督する。
的外れな指示を出し続ければ、結果がえられず困るのはボスである。中間管理職くらいになると、目標がおかしいと考える時は、直接ボスに意見をいい、通らなければ役から外してもらう。(中に残って意見を主張し続けるという人もいるが)とにかくピラミッドの指示系統での命令を聞きいてよく走る。本来はそれが職制である。

先述したが、社内で配置換えしてもらうよりは転職する方がよいという考えがある。商品寿命を曖昧にして、できない理由のレポートに力を入れ仲良しクラブにい続けても会社の延命にはならないからだ。皆で渡れば安全どころか怖いのだ。 
『責任は上司である私が取ります』といわれ喜ぶ米人はいない。逆に『なにを任せてくれますか』という質問が返ってくる。任されて責任がないということはありえない

若手には『不良率がどこまで下がり、処理スピードがどこまで上がったら任せる』というように、数値目標を用意して部下に頑張らせることも行なわれる。異文化の人々との協働では、管理職は契約と責任という考えに徹すると、仕事がうまくいきやすい

細かいことまで口出しされてうんざりしながら仕事をするより、任せてもらい力一杯やる方がやりがいもある。責任をとって失敗しても殺されることはない。マネジャー本人やグループが一生懸命にやったと判かれば、それ以上に文句をつけても意味がない。

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