2013年6月19日水曜日

13611なぜ国や自治体は経営者が少ないのだろうか【026】

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なぜ国や自治体は経営者が少ないのだろうか【026】

債務超過の原因

① 経済音痴ではもたない

自分の金を貯金してその金だけで創業し経営すれば、成長は遅いがまず倒産することはない。政府が財政でそうできないのは、政治家が再選されたいために、政策と言う名の予算で人を集め、それをあてにする人は自分で稼ぐ能力を失ってゆく。それが国や自治体、私企業の財政破綻の原因だと考えれば判りやすいのではないか。政治家の会計監査にも公認会計士を義務付け、つまらない寄付や使い込みをなくせば、予算委員会がもう少し国民のために議論ができる

(A)バランスシートの見方は勉強したい
民間企業と行政の1番の違いは、前者が利益を生むために何かで付加価値を創ろうとするのに対し、行政は購買係が主要な仕事で、外注管理が主要部を占めている。政治家が、国の財政を健全に運営する経営者の自覚がないと、海外の指導者との会話は難しい。

若い政治家や公務員が経営学の初歩を学ぶことは必須ではなかろうか。中味が判りにくいように言葉を変えたりせず、統計、分析とバランスシート(BS;貸借対照表)を読みやすくすれば大いに役に立つ。東京都が複式簿記にしたというが、全国がそうすればよい。


(B)デフレもインフレも価格安定政策のはず
安倍内閣になり、ようやくインフレ目標ができた。米国では何年もやっていたことをやらず、日本は不況を続けてきたが。日本の保有する米国債1兆ドルといわれて久しいが、1ドル100円なら100兆円だったが、円高で75兆円に目減りすれば、バランスシート左欄の資産の部がへるから、右欄の株主資産(国家資産)がへるのがすぐ見え、行政も円高を放置はできないと気づく。

民間だと金を貸したら、貸した側の日本が円安にすれば目減りしないばかりか返済額が増えるから、そちらに誘導した方が得だと考える。それを放っておいて、借りた相手に通貨を目減りさせて(円高にして)どうするのかなと思う兆円なら相当な予算だが、日本の総資産の増減で議員や公務員の給与が民間なみにGDPや歳入に連動したら、すぐ分ってくれるだろう。

その意味で、85年のプラザ合意で250円から125円にまで円高にしたのはとんでもないことだった。バブルを棚に上げて、いまだにデフレで何が悪いかという経済学者がいる。極端な例として1ドル50円にしたら、日本にどんな産業が残るか、それで何人が養えるか考えるのもシミュレーションとしては意味がある。 
行政手続は『法律に基づくことをするのだからミスは違法』、《公平原則》、《苦情の少ない》ものという考え方である。前例とやむをえずという守りになる。
それよりは運用は人間がやることだからミスがあって当たり前それを如何にへらすかという考え方が自然だ。確率の考えはミスを許してくれる。ただし原発や新幹線のような人命に関わる場合は、2重3重にフールプルーフ(ポカよけ)で防御するほかない。

② TPPと特定産業の保護

TPPに参加しようというのは、それがFTAの環太平洋のようなものだと思うからだが、中味が不透明で、参加するまで国民に内容がわからないというのは障害になるかもしれない。ユーチューブにでている反対派の意見では、《大企業の都合がよいルールが多く、法制度や訴訟の制限などは、参加国の主権を制限するものになる》と聞こえれば、慎重論がでるだろう。

しかし誰も反対しないような緩やかな合意といわれるアジア的なFTAと比べてどうなのか、やはり競争による向上をめざすか、または土地柄による自由との間のどこで妥協するかという点が争点だ。環境が変わったら条件を変えられるものが都合はよいのだろう。

参加国の産業政策まで左右できるのか疑問も残る。まあ交渉に参加して条件面でやってゆけるかどうかを判断するしかないだろう。
農家が騒いでいるがコメの敵は米国でもTPPでもなく、消費者の食生活が変り肉食になり、共働きで朝食などでも、コメの需要が下がったからである。消費者用に安いカリフォルニア米を入れて、高級な国産米は外貨稼ぎに輸出すれば、農家も他の産業に依存せずに自立できてよいと思う。

(A)業種別の売上げ数字(GDP貢献率)のトレンドと改善策
農業のGDP比率は1.1%でコメは0.38%だ。それに従事するのは全体で500万人弱、専業9%強、兼業32%弱、残り6割弱は自給・非農家。生産性を人口比でみると、50万人弱分の平均所得だからまだ農業者が多すぎ、食材や加工などに移り付加価値をつけた方がよいことになる(*)。

やはり他の産業がすべて受けている国際化の試練にチャレンジして、英語の初歩を習得し競争力を培うことが、将来への道をひらくことになると思う。
福島や東北3県では潮をかぶった農地は塩が抜けるのに3年かかるそうだが、後述する中山間を津波対策との関連で、山を削る大型の土地開発プロジェクトを行い30~50メートルの高台をつくり移住してはいかがか。省庁などの壁を変えれば可能だが。

冬季に積雪の多い地区でも、建物の中で野菜と魚を育てる会社がシカゴにある。採算に乗せるのは易しくなくても地元が受けいれるコストでできれば漬物だけよりは健康にもよいフレッシュな野菜が食べられる。

(B)マーケッティングの考え方の導入を
自家消費グループは除き、専業を40万人以上に伸ばすには、大国のやれない方法を開発することに夢がある。米国の卸会社は『儲けさせた、損をさせたという(貸し借りの)概念がない。マーケット価格が総てである。売るほうも買う方も自己責任で自立している』というから流通マージンでの競争は難しいと見える(『トウモロコシから読む世界経済』江藤降司)。 

その間、環太平洋の諸国との友好的な補完的発展にどう取りくむのかである。米国やオーストラリアのような大規模農地で作られた穀類と価格競争するのは無理があるが、他の方法で他の地域からも仕入れるやり方はあるはずだと思う。日本の食の安定自給というのは分かるが、大国とは違ったものを作る方が安定すると思う。

後継者を育てるには、職業としては成り立たないものを作りつづけるよりは、付加価値あるものへの転業、法人化、国際化である。不足分は石油と同様の備蓄体制が求められている。日本でもアボカドの試作が始っているようだが、ヘルシーで安価なので、マグロに代わる手巻き寿司の食材として米国では広く使われている。

エネルギーや鉄鉱石など産業の基本的資源のない国ができることは、相手国のできないことを開発することにあると思う。相撲の流行っている東欧のウクライナ他での供給者の育成、あるいは米国内での農地買収で供給源を確保する流通ループを拡大する道も拓けるだろう。

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