2013年10月24日木曜日

13018 日本で何が欠落しているのかー1-

13018


日本で何が欠落しているかー1ー

(1) 現場と本社のギャップはなにか
2つあるが、1つは文書で指示すれば実行されるか、現場のわかる管理職という面をとりあげたい。もう1つは物事の大本まで戻って考えること、各所でのべたがあとで纏めたい。

場所の特定ができるか
JR北海道も、東電も、三陸の復興の現場も共通することで、それほど難しいことではない。会社の、また社会のインフラ、管理の基本ともいえる部分で抜け落ちている大切なことがある。
それは、何がどこで問題か、場所を特定する(できる)ことが必要だということ。5W1Hの最初のWが欠けていないかである。
テレビ報道をみて、東北の町全体のガレキやゴミの分別や仕分けの取り掛かる前に、場所を特定するための柱番号がないことに気付いた(あるという町村もあるかもしれないが)人も多いだろう。

つまり私の見おとしでなければ、現場にX軸;東西に10メートル毎に100、110、Y軸;南北にAA,BB、CCと大きな看板を立てずに重機やダンプを入れていたこと。GPSでデータをとればよいが、重機の作業者は、やはり柱番号を見て作業した方が早いと思う。
作業だけでなく事故発生時に救助をするのには、どう場所を連絡できるかということである。重機などが入れば、『今日はAA100から入ってAA150まで撤去して、次の指示をまってくれ』というような具体的な指示ができることだ。非常事故にも救急車に場所を伝えられる。

東電の汚染水パイプの取り替えでも、パイプ間違えで作業員が被災しかかったようだが、柱に番号が表示され、パイプ番号が大きく記載されていれば特定できただろう。
 これらは、作業員の問題でも原発エキスパートの問題でもない。現場を管理する人たちが、場所と部品を特定するというインフラの必要性が認識されていないのだ。それは指示先を特定しないでも、指示が届くと思っているのではないか。

文書で指示すれば現場は動くという勘違い
なぜこういう問題が起こるかと言えば、現場にいない人が、たぶん文書で指揮して、その通りに現場が動くと考えているからであろう。それが文書を作り会議をしているエリートの考えだが、いまの若い人は漢字が読めない、本を読まない人が多いという現実も知らないのだ。本当に大事な問題なら、直属のリーダーが口頭で指示する筈だと考える人も現場には多いのだ

知った人の言葉(音)でないと動かない人が大多数
文書族の誤解は、言葉になって《やらねばならぬと身体で感じること》が必要だということが理解されていない。また現場では指揮をするリーダーがいて、その人の口頭での指令がないと、どこの誰か知らないよそ者がきても動かない。大半の職制はそういう納得で動く。 専門用語をつかう人は、自分たちのわからない言葉でごまかそうとしているのではないかという考え方もある。

NHKの報道で、京都・滋賀近辺への台風18号の特別警報が出たことを知っていた人の70%は『特に、なにもしなかった』という。
行動への意識が低いというか、それが現実だ。ともかく行動に移し実行する人は17.5%だという声があったが、他の例でもそういう人は、大体2割弱の指導層ということで、昔から変わらない。これはピラミッド式の軍隊などでも同じだと感じるが、よそ者は信頼されないとも言えるのだ。

チェック機能のない指示系統は動かない


文書指令と実行
非実行
1.
実行を指示し、結果を確認する

2.
文書で理解し実行する

3.
結果を確認されるから実行する

4.
指示したから、実行したと思う
5.
実行したかは分からない
6.
実行したことにしておく
7.
実行しない
指揮命令の系統に従って動くのがルールなのだ。人を動かせるのが管理職の重要なしごとだが、この理解が欠けている管理職が多い。『仕事でやっているのだから、やって当たり前』という管理層だと実行は確保されない絶対チェックするのだ
米国でも『仕事でやっているのに、なぜサンキュウと言わねばならんのかね』という人がいるが、組織をまわせない人だ。やって当たり前と同様に、謝意を表するのが務めだ。

各人の行動に移したかをチェックし、行動しなかった場合は、それがバレる管理メカニズム(報告書の一部がマルバツの点検で返送される、給与に反映するなど)があってはじめて実行が確保され、改善される。これは、やる気があるかないかではなく、実行を重要だとするシステムが欠けるからである。
中国のモーター工場でも、モーターに製造番号がないものや、モデル別の置き場に仕分けてないのをみて、在庫がいくつか、金額の把握はどうしているのだろうかと驚かされたが、世界中でこういう管理が行われているのかもしれない。
                                 
正しいことを文書で記述すれば、それが世界の真実になる訳ではないと[45]項で述べたが、本社と現場の違いも、それに似ていて、書いたら読むというものでも、読めば実行するという訳でもないということを理解する必要がある。文書と会議の世界に生きる人たちが現場に移れば、ことは大半解決するが、それには現場を動かす何倍もの時間がかかるだろう。ではどうするか。

(2) 本社と現場のギャップを埋めるパイプ役

文書を書き会議でものを決める人の殆どが現場に移り、現場の報告係りを本社におくという時代になれば、多くのコミュニケーション問題が解決する。しかし本社にいて役員と会議の方に力をいれないとモノが進まないと思う人が多いうちは、そうはならない。

そこで、どうするか。それはギャップを埋める伝令を1~2名おいて、現場も本社も分かるように育成し、3月か半年でローテイト(回転)させるのも方法だ。だが上の表の行動がある程度は自動でわかる仕組みが欲しい。何もないと警戒され、情報を隠そうとするかもしれない。

この役割は重要で、非正規社員の中で文書用語と現場用語の両方わかる優秀な人を選ぶ登竜門になるのではないか。こういうと米国ではアンフェアだと問題になるが、指示されたことをキチンと実行する点で女性の方が信頼度が高いとすれば、男性はべつな特色を生かした役割がよいと思う。それで現在の日本中の男女ギャップがかなり埋まるだろう。上記の何もしない1割を除き6割が半減すれば、30%が行動に移すことになり、大きな向上である。

実は柱番号という考えは、70年代に米人のビッグ3のバイヤーから、メーカー工場の全消火器の所在位置を示す見取り図を提出せよと言われ、理由をきいたことがある。防火対策を確認しないと、継続納入に支障をきたすリスクがあるという。在庫管理でも棚の位置を部品ごとに入力することの重要さも学んだ。これは非常時にも欠かせないから、若い人はぜひ覚えて実行して欲しい。

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