2013年10月5日土曜日

13007見えない違いは採算性(07)

13007


(3) 見えない違いは採算性

先の例は、自社の機器の周辺部の例で、メーカーが全く違うために見落とされる例であるが、機械メーカーはホースメーカーとはお互いに関係があるが、頭の中ではそれほど重要な関係品と考えていないために生じる見落としである。

ロボットは1台だけでは田舎の工場には売れない?
もう1つ先述したロボットの販売では、ロボットは必ず作業の手順を入力する必要がある(ティーチングと呼ばれる;アームを伸ばす、その長さ、角度、次にアームを開くがその向き、品物を確認したら掴む、というような指示)。これはロボットが持ち上げたりする部品がどのような頻度で、どのような形状で流れてくるかでも変わる。

それに合わせて技師がティーチングするのだが、できる技師が工場にいないケースでは、たった1台のロボットのために、技師をどこから派遣するか。ロボットで作業員の人件費が減っても、高給なエンジニアが増えたら操業コストが増えて意味がない。技師が通勤圏内にいるかどうかである。むろん生産量により、またロボットの数により変わるが、1ロットで何͡個をつくるか、組み立てるかなどでも検討するが、通常は1台か2台のロボットでは修理サービスはなりたたない。

土木機械の例
右写真の杭打ち機(ディーゼル・パイルハンマー)の例は、日米で似て非なる違った台車に取り付けられているために、よもやそれが自社製品の販売に大きな影響を持つとは思わない例をあげておく。基礎杭を地中に打ち込んで、建設物の重量をささえ、沈下を防ぐ機器である。騒音のため先進国の都心部では使われていないが、後進国なら安いから広く使われる。(現在は大型の孔あけドリルが使われる)

この機器の2つの写真をみると、左の日本式は専用のくい打ちベース機が使われ、米国では汎用の大型クレーン(斜杭用突き出しシリンダー付き)が使われる点が、最大の違いである。
写真右のクレーン式はU型リーダーの間をスライドさせるが、吊り下げて垂直になるし杭と一緒に吊れる利点があると聞いた。

大きく違うのは採算の考え方だった
ハンマー専用機は、その稼動の必要性にあわせて専門業者が買って杭打ち工事を追いかけて全米をあるく。と言っても、25倍も広い国だから、せいぜい300~500Kmだ。

ところが米国式クレーンとの組み合わせの場合は、クレーンはハンマーの5~10倍の高価だから、クレーンのレンタル料=稼ぎが重要で、ハンマーの稼働率は添え物になる。ビジネスとしてはクレーンの付属とする方が稼動を高めると思う。
こういう製品を売ったためにアイオワの田舎やサンフランシスコの海岸まで出張したが、人件費を考えると、何台売れるかにもよるが、なかなか黒字にするには難しい商品である。

レンタル会社が年金生活者の投資を利用している
米国では定価から1ヶ月の賃貸料金を決めて、その3週間を計算し1週間レートを決める。その3分の1を1日レートというようなやり方で、それより下げることはしない。日本では機械を3ヶ月もただで貸すメーカーが多く、業界に参入者が増えすぎて、業界が崩壊しかねない安値競争になっていた。さすがに、そういう人は減ったが、意地で仕事をしているような会社が20人以下の多数の会社の過半数だという。
結局メーカーがレンタル業界に参入して、値段は下取り価格できまるという。こうなると、中古品の国外市場での競争になり、結局は品揃えの広いメーカー(大手)が有利になる。

米国では会社のサイズは20名以下でありながら、10万ドルもする機器を50~100台もち、レンタルしている会社もある。なぜできるのか調べると稼働率が高い空中作業車などは、不況になりメーカーのファイナンスが厳しい場合は、元業界で業界のわかる退職した少し裕福な年金生活者に中古機を買ってもらい、それをレンタル会社が長期リースでかりて、年率12%月に1%のリース料、つまり20万ドルの投資で2000ドルの月リース料を受け取る。
マンションの賃貸と同じようなレートだが、こうしたリース・短期レンタルのような形で、寝ている在庫の稼働率を上げる工夫があり、経済全体がROI利回りでまわっている

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